似た意味を持つ「完遂」(読み方:かんすい)と「遂行」(読み方:すいこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「完遂」と「遂行」という言葉は、どちらも「物事を成し遂げること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
完遂と遂行の違い
完遂と遂行の意味の違い
完遂と遂行の違いを分かりやすく言うと、完遂とは行為の終了時点に焦点をあてた表現、遂行とは終了時点だけでなく進行中の行為にも使用できる表現という違いです。
完遂と遂行の使い方の違い
一つ目の完遂を使った分かりやすい例としては、「彼らはついに大事業を完遂した」「仕事を完遂して達成感を味わう」「完遂力の高い人材を採用したいです」「何事も完遂することは容易ではありません」などがあります。
二つ目の遂行を使った分かりやすい例としては、「計画の遂行に遅れが出ている」「公務遂行中に事故を起こしてしまった」「自衛隊として任務を遂行する」「遂行機能障害のためリハビリを受けています」などがあります。
完遂と遂行の使い分け方
完遂と遂行という言葉は、どちらも物事をやり通すことや成し遂げることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
完遂とは、物事を最後までやり通すこと、完全に成し遂げることを意味します。行為が終わる局面に焦点をあてた表現であり、行為の途中を指すことはありません。完全あるいは完璧に物事を行うというニュアンスを伴う言葉です。
遂行とは、仕事や任務をやり遂げることを意味します。「遂行に遅れが出る」「公務遂行中」のような使い方で、行為の終了時点だけでなく進行中の事態についても用いることができる言葉です。「公務遂行中」とは、公務員がその職務に従事している最中であることを表します。
つまり、完遂とは行為が終わる局面に焦点をあてた表現であり、遂行とは終わりの局面だけでなく進行中であることも表します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
完遂と遂行の英語表記の違い
完遂を英語にすると「accomplishment」「achievement」「completion」となり、例えば上記の「大事業を完遂する」を英語にすると「accomplish the great undertaking」となります。
一方、遂行を英語にすると「performance」「execution」「pursuit」となり、例えば上記の「計画の遂行」を英語にすると「execution of the plan」となります。
完遂の意味
完遂とは
完遂とは、最後までやり通すこと、完全に成し遂げることを意味しています。
完遂の読み方
完遂の読み方は「かんすい」です。誤って「かんつい」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「完遂させる」「完遂することができる」
「完遂させる」「完遂することができる」などが、完遂を使った一般的な言い回しです。
完遂の使い方
完遂を使った分かりやすい例としては、「任された職務を完遂する」「目標達成に完遂力は欠かせません」「英語の学習リストを完遂できません」「意地でも完遂させるつもりです」「今月中に研究開発を完遂させる」などがあります。
その他にも、「私の長所は完遂力があることです」「今世紀中の廃炉完遂は難しいだろう」「初の中南米ツアーを完遂した」「指導医のサポートによりオペを完遂しました」「英語の勉強は完遂よりも完璧を目指してください」などがあります。
完遂の「完」は訓読みで「まっとうする」と読み、物事を最後まで完全に終わらせるを表します。「遂」は訓読みで「とげる」と読み、目的を果たすことを表す漢字です。完遂とは、完全にやり通すこと、最後まで成し遂げることを意味します。
「完遂力」の意味
完遂を用いた日本語には「完遂力」があります。完遂力(読み方:かんすいりょく)とは、物事を最後まで諦めずにやり遂げる意思や能力を意味します。完遂力はビジネスにおいて重視される能力であり、就活の自己PRでも挙げられています。
完遂の対義語
完遂の対義語・反対語としては、中途でやめることを意味する「中止」、途中で途切れることを意味する「中断」などがあります。
完遂の類語
完遂の類語・類義語としては、時間を費やして仕事や研究などを完全にしとげることを意味する「大成」、完全に出来上がることを意味する「完成」、目的を果たすことを意味する「達成」、完全に終わらせることを意味する「全うする」などがあります。
遂行の意味
遂行とは
遂行とは、任務や仕事をやり遂げることを意味しています。
遂行の読み方
遂行の読み方は「すいこう」です。同じ読み方をする熟語に「推敲」や「推考」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「遂行する」「業務を遂行」
「遂行する」「業務を遂行」などが、遂行を使った一般的な言い回しです。
遂行の使い方
遂行を使った分かりやすい例としては、「海外で業務を遂行するだけの英語力がある」「町をあげて防災プロジェクトを遂行中です」「計画力はあるのに遂行力がありませせん」「強い覚悟と責任感を持って自らの任務を遂行する」などがあります。
その他にも、「高齢の祖母に遂行機能障害の症状がみられる」「体調不良で任務を遂行できません」「病気による職務遂行能力の欠如が認められた」「若手社員のビジネス遂行力を向上させる」などがあります。
遂行の「行」は訓読みで「おこなう」と読み、物事をすることや実施することを表します。やり終えることや成しとげることを表す「遂」と組み合わさり、遂行とは、仕事や職務などを計画どおりに成しとげることを意味します。
「遂行機能障害」の意味
遂行を用いた日本語には「遂行機能障害」(読み方:すいこうきのうしょうがい)があります。遂行機能障害とは、事故や疾病で脳に損傷を受けた場合などに起こる高次脳機能障害の一つです。遂行機能障害になると、物事を論理的に考えたり、計画を立てて実行したりすることが困難になります。
遂行の対義語
遂行の対義語・反対語としては、やりかけて成しとげないことを意味する「未遂」、事業などが遂行できなくなることを意味する「頓挫」などがあります。
遂行の類語
遂行の類語・類義語としては、計画や理論などを実際に行なうことを意味する「実行」、政策や計画などを実行することを意味する「施行」、政治や事務などをとり行うことを意味する「執行」、法律や計画などを実際に行うことを意味する「実施」などがあります。
完遂の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある行為や目標を最後まで終わらせることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、完遂という言葉は、ビジネスシーンで多く使用されています。
遂行の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事をやり通すことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、遂行という言葉は、主にビジネスシーンで用いられています。
完遂と遂行という言葉は、どちらも「物事を成し遂げること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、終了時点に焦点を当てて表現したい時は「完遂」を、進行中であることを表現したい時は「遂行」を使うようにしましょう。