似た意味を持つ「酵素」(読み方:こうそ)と「酵母」(読み方:こうぼ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「酵素」と「酵母」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
酵素と酵母の違い
酵素と酵母の違いを分かりやすく言うと、酵素とはタンパク質の一種、酵母とは微生物の一種という違いです。
一つ目の酵素を使った分かりやすい例としては、「酵素の作用をコントロールする」「話題の酵素洗顔パウダーを買いました」「酵素の最適温度はどれぐらいでしょうか」「少し酵素風呂に入っただけで効果を実感しました」などがあります。
二つ目の酵母を使った分かりやすい例としては、「顕微鏡を使って酵母菌を観察してみよう」「天然酵母でクラフトビールを開発する」「大学院で酵母分類学の研究をしています」「業務スーパーの天然酵母パンがお気に入りです」などがあります。
酵素と酵母という言葉は、音の響きが似ており、どちらも健康に役立つイメージを持ちますが、意味や使い方には違いがあります。
酵素とは、主にたんぱく質で構成されており、生体内外で起こる消化・吸収・代謝などの化学反応を促進するものです。「酵素洗顔」とは、酵素を配合した洗顔料のことであり、主にたんぱく質や皮脂を分解する作用があります。
酵母とは、糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物のことです。酵母は自然界のあらゆるものに生息しており、酒の醸造や発酵食品の製造に利用されています。「天然酵母パン」とは、果物や穀物など自然界に存在する酵母菌を使用して発酵させたパンのことです。
つまり、酵素とはタンパク質の一種で食べ物を消化したり分解したりする作用があり、酵母とは微生物の一種で発酵食品を作る際に用いられています。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
酵素を英語にすると「enzyme」「ferment」となり、例えば上記の「酵素の作用」を英語にすると「the action of the enzyme」となります。一方、酵母を英語にすると「yeast」「ferment」となり、例えば上記の「酵母菌」を英語にすると「yeast fungus」となります。
酵素の意味
酵素とは、細胞内で作られ、生体内のほとんどの化学反応の触媒の働きをする、タンパク質を主体とする高分子化合物を意味しています。
酵素を使った分かりやすい例としては、「美容家がおすすめする酵素洗顔を使っています」「酵素玄米の作り方は意外と簡単です」「酵素ドリンクは様々な効果が期待できます」「定期的に酵素風呂に入って汗を流しています」などがあります。
その他にも、「洗濯する時に酵素系漂白剤を必ず入れています」「酵素サプリはダイエットにも効きますか」「加熱によって酵素が失活したようです」「ほとんどの酵素はタンパク質で構成されています」などがあります。
酵素とは、細胞によって作られ、生体内で起こる化学反応を触媒するタンパク質の総称です。細菌や酵母の酵素を利用して酒やみそなどの食品製造に使われるほか、生体内から抽出して消化剤などの医薬品にも用いられています。
酵素を用いた日本語には「補酵素」(読み方:ほこうそ)があります。補酵素とは、「助酵素」「コエンザイム」とも言い、酵素が基質に完全に作用するために必要な補助分子のことです。ビタミンの多くは補酵素の主要成分となっています。
酵素の類語・類義語としては、力や波動などの物理的作用を他へ伝える仲介物となるものを意味する「媒質」、化学反応の前後でそれ自身は変化しないが反応の速度を変化させる物質を意味する「触媒」、発酵作用を応用して酒類や味噌などを製造することを意味する「醸造」などがあります。
酵母の意味
酵母とは、子嚢菌 (しのうきん) 類の球形または楕円形の単細胞の菌を意味しています。
酵母を使った分かりやすい例としては、「酵母菌の採取方法を調べています」「酵母エキスは科学的安全性が認められています」「酵母は原核生物ではなく真核生物です」「英語の先生の趣味は天然酵母パンを焼くことです」などがあります。
その他にも、「酒酵母を加えてアルコール発酵させる」「それぞれの酵母の大きさを比較してレポートにする」「酵母様真菌による感染症にかかりました」「自家製酵母の作り方をママ友に教えてもらいました」などがあります。
酵母とは、「酵母菌」「イースト」とも呼ばれ、真菌類に属する単細胞の生きている菌の塊です。アルコール発酵を行うので、酒の醸造やパン製造に利用されています。ぶどう酒酵母やパン酵母など多くの種類があり、それぞれ別種の固有の菌で醸造または発酵されます。
酵母を用いた日本語には「酵母エキス」があります。酵母エキスとは、パンや醤油などの生成に用いられる酵母菌を、特別な手法で有効成分を抽出したものを意味します。微生物培養の培地に使われるほか,錠剤として食用にされたり調味料として用いられています。
酵母の類語・類義語としては、大麦からつくった麦芽汁を発酵させてビールとするときに加えられる酵母を意味する「ビール酵母」、糖類を分解して乳酸をつくる働きをする細菌の総称を意味する「乳酸菌」、特にパン製造に用いるパン酵母を意味する「イースト」などがあります。
酵素の例文
この言葉がよく使われる場面としては、細胞内で作られて、体内の化学反応や代謝の媒体をするたんぱく質を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「消化酵素」とは、消化にたずさわる酵素の総称です。炭水化物の加水分解に働くアミラーゼやサッカラーゼ、タンパク質の加水分解に働くペプシンやトリプシンなどがあります。
酵母の例文
この言葉がよく使われる場面としては、酵母菌の略、出芽または分裂によって増殖し、生活環のほとんどを単細胞で過ごす菌類の総称を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「ビール酵母」とは、大麦からつくった麦芽汁を発酵させてビールとするときに加えられる酵母のことです。
酵素と酵母という言葉は、似ていますが意味は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、食物を消化したり分解したりするタンパク質を表現したい時は「酵素」を、発酵食品を作る際に用いられる微生物を表現したい時は「酵母」を使うようにしましょう。