似た意味を持つ「神様」(読み方:かみさま)と「仏様」(読み方:ほとけさま)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「神様」と「仏様」という言葉は、どちらも「信仰の対象」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
神様と仏様の違い
神様と仏様の意味の違い
神様と仏様の違いを分かりやすく言うと、神様とは神道の信仰対象、仏様とは仏教の信仰対象という違いです。
神様と仏様の使い方の違い
一つ目の神様を使った分かりやすい例としては、「あとは神様に祈るしかありません」「音楽の神様を祀った神社に参拝する」「縁結びの神様として崇められています」「日本アニメ界の神様と言えば誰ですか」などがあります。
二つ目の仏様を使った分かりやすい例としては、「仏様の教えを生活に取り入れる」「慈悲深い祖母は仏様のような人です」「仏様に供える花を買ってきました」「不慮の事故で亡くなられた仏様の冥福を祈ります」などがあります。
神様と仏様の使い分け方
神様と仏様という言葉は、どちらも日本において人々が敬ったり崇拝したりする宗教上の対象を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
神様とは、「神」の敬称であり、神は神道に基づく人知を超越した存在です。日本では、自然や地域、歴史や人物など様々なものに神様が宿ると考えられています。また、「アニメ界の神様」のような使い方で、ある分野で絶対的な権力や能力を持つ人を表します。
仏様とは、「仏」の敬称であり、仏は仏教の信仰対象となるすぐれた存在です。基本的には仏道で悟りを開いた聖者を指しますが、「仏様に供える花」のような使い方で仏像や仏壇を、「仏様の冥福を祈る」のような使い方で故人や死者を表すこともあります。
つまり、神様とは神道における信仰対象であり、仏様とは仏道における信仰対象のことです。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
神様と仏様の英語表記の違い
神様を英語にすると「god」「deity」「superior person」となり、例えば上記の「pray to god」を英語にすると「pray to god」となります。
一方、仏様を英語にすると「Buddha」「dead person」「deceased」となり、例えば上記の「仏様の教え」を英語にすると「Buddhist teachings」となります。
神様の意味
神様とは
神様とは、神を敬っていう語を意味しています。
その他にも、「ある専門分野について、特にすぐれた知識・才能・技術を持った人」の意味も持っています。
神様の使い方
「日本には数多くの神様が存在します」「子どもは神様からの贈り物です」「日本の神様の家系図を作成しました」「どちらにするか神様の言うとおりにしよう」「神様に英語のテストで満点を取れるようお願いする」などの文中で使われている神様は、「神を敬っていう語」の意味で使われています。
一方、「ジャズピアノの神様のCDを買いました」「サッカーの神様といわれる選手にインタビューを申し込む」などの文中で使われている神様は、「ある分野について、特にすぐれた知識や技術などを持った人」の意味で使われています。
神様とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で使用されているため、文脈により意味を捉える必要があります。神様の「神」は信仰の対象として尊崇される存在を表し、「様」は尊敬の意を表します。
表現方法は「天神様」
神様を用いた日本語には「天神様」(読み方:てんじんさま)があります。天神様とは、天満宮、またはその祭神である菅原道真を敬い親しんでいう語です。菅原道真は平安時代中期の貴族に生まれ、幼少の頃より詩文に大変すぐれて「学問の神様」として祀られるようになりました。
神様の対義語
神様の対義語・反対語としては、人に災いをもたらし悪に誘い込む悪霊を意味する「悪魔」などがあります。
神様の類語
神様の類語・類義語としては、キリスト教で神またはキリストを意味する「主」、キリスト教における神を意味する「父」、キリスト教で創造主や神を意味する「ゴッド」、すぐれた業績などがあり長く語り伝えられるであろう人を意味する「レジェンド」などがあります。
仏様の意味
仏様とは
仏様とは、仏を敬っていう語を意味しています。
その他にも、「仏像や仏壇」「死んだ人、死人」の意味も持っています。
仏様の使い方
「仏様の教えは慈悲に根ざしています」「仏様の誕生日はいつですか」「仏様にランクがあることはあまり知られていません」「英語教室で仏様のような人に会いました」などの文中で使われている仏様は、「仏を敬っていう語」の意味で使われています。
一方、「お寺に立派な仏様が祀られています」「仏様の花が枯れてしまいました」などの文中で使われている仏様は「仏像、仏壇」の意味で、「お供えする仏様のご飯を炊く」「仏様は生前、英語の教師をしていました」などの文中で使われている仏様は「死んだ人や死人」の意味で使われています。
仏様の読み方
仏様の読み方は「ほとけさま」です。誤って「ぶつさま」「ふつさま」などと読まないようにしましょう。
仏様とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられるので、文脈により意味を判断する必要があります。仏様の「仏」は梵語(ボンゴ)の音訳でブッダの略、「様」は名前などの下に添えて敬意を表す語です。
表現方法は「仏様のような人」
上記の例文にある「仏様のような人」とは、慈悲深く穏やかで優しい人、あるいは人格的にすぐれている人をいう誉め言葉です。仏教の釈迦や菩薩のような、高い精神性や人格を備えた人を指すことが多くあります。
仏様の対義語
仏様の対義語・反対語としては、僧に対して世間一般の人を意味する「俗人」などがあります。
仏様の類語
仏様の類語・類義語としては、仏教の開祖で世界三大聖者の一人を意味する「釈迦牟尼」、仏身や仏像を意味する「仏体」、死んだ人を意味する「故人」、死んだ人や死人を意味する「死者」などがあります。
神様の例文
この言葉がよく使われる場面としては、神の敬称、ある分野で絶対的な権力や極めてすぐれた能力を持つ者を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「氏神様」(読み方:うじがみさま)とは、自分が住んでいる土地を守る神様のことです。その神を信仰する者同士を氏子(読み方:うじこ)と呼びます。
仏様の例文
この言葉がよく使われる場面としては、仏の敬称、仏像や仏壇、仏葬にした死者の霊、死んだ人を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある仏様は、仏像や仏壇の意味で用いられています。例文5の仏様は、死んだ人の意味で使われています。
神様と仏様という言葉は、どちらも「信仰の対象」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、神道における信仰対象を表現したい時は「神様」を、仏教における信仰対象を表現したい時は「仏様」を使うようにしましょう。