【超越】と【凌駕】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「超越」(読み方:ちょうえつ)と「凌駕」(読み方:りょうが)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「超越」と「凌駕」という言葉は、どちらも何かを超えていることを表現するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




超越と凌駕の違い

超越と凌駕の意味の違い

超越と凌駕の違いを分かりやすく言うと、比較するものがない場合には「超越」と表現し、比較するものが具体的にある場合には「凌駕」と表現するという違いです。

また、超越という言葉は「超」と「越」のどちらの漢字も常用漢字ですが、凌駕という言葉は「凌」と「駕」のどちらの漢字も常用外漢字です。

超越と凌駕の使い分け方

超越という言葉も、凌駕という言葉も、日常生活であまり頻繁に使われることはありません。しかし、万が一公的な書類に記載するような場合には、凌駕という言葉は「勝っている」「長けている」などという別の表現で記載するようにしましょう。

超越というのは、人間の思考の範囲や常識の範疇を超えて、その更に先にある状態のことを意味しています。普通に考えられる程度をはるかに超えている様子を「超越している」と言います。

超越というのは、限界や常識の枠から外れて、それを超えているという意味なので、特に比較するものは必要ありません。強いて言うのであれば、一般的に限界とされているところ、一般的に常識とされているところを基準として比較をしています。

対する凌駕というのは、比較する対象が具体的な時に使われる言葉です。例えば「○○を凌駕する」という風に、何と比較をしているのか、何よりも勝っているのかをはっきりさせている状態で使用する言葉です。

そのため、ビジネスシーンなどでも他社製品との比較をする際に「他社製品を凌駕するほどの機能性を持っています」という風に使ったりします。他にも、過去の自分と比べて考えて「前作を凌駕する出来栄え」という風に使用したりもします。

比較する対象が具体的にない場合や、人知や常識の枠を超えてしまっている場合には「超越」という言葉を使用し、何かと具体的に比較した状態で勝っている場合には「凌駕」という言葉を使うのだと覚えておくようにしましょう。

超越の意味

超越とは

超越とは、普通に考えられる範囲や枠をはるかに超えてしまっていることを意味しています。何かがずば抜けていることや、人間の出来る範囲を超えていることを表現する言葉であり、類語としては「超凡」や「非凡」があります。

超越という言葉は、なにか具体的な物事と比較をしているわけではない時にも使える言葉です。人知を超えていたり、時代を超えていたりする場合に使われる言葉が「超越」であると覚えておくようにしましょう。

超越は由来は哲学

この超越というのは、元々は哲学用語でした。哲学用語としての超越というのは、あらゆる可能であると考えられる経験を超えた、とても直感的な感性のことを表現するものです。

超越という言葉は、一般的には良い意味で使われることの多い言葉ですが、良い意味にだけ使用するというわけではありません。あまりにも酷い出来事などが起こった際などに「常識を超越している」などのように使われることもあります。

これはマイナスの意味の言葉であり、常識を逸脱しているという意味です。自分自身が理解できる範疇を超えてしまった場合に、良い意味でも悪い意味でも「超越」という言葉を使うことが出来るのだと覚えておくようにしましょう。

超越は語源

超越というのは、他と比べることも出来ないほどに、ずば抜けていることを示す言葉です。超越の「超」という漢字は、限度をこえる、飛びこえるという意味を持っています。あらゆる範囲から抜き出ているという意味です。

そして、超越の「越」という字は、超と同じように、飛びこえるという意味を持っています。また、抜きんでて優れていることも示す漢字です。超越という言葉は「物事の範囲や程度をこえる」という意味を持つ漢字が重なって成り立っているものです。

表現方法は「超越した存在」「超越的な人」「超越した人」

「超越した存在」「超越的な人」「超越した人」「超越者」「超越的存在」などが、超越を使った一般的な言い回しです。

超越の使い方

超越を使った分かりやすい例としては、「長年に渡って努力を続けられた人こそが超越した存在となる」「本当に超越的な人は自分のことを超越した人間だとは言わない」「結婚などの古くからの風習にとらわれない超越者を目指している」などがあります。

超越の類語

超越の類語・類義語としては、大多数の中でも指を折って数えれるほど優れていることを意味する「指折り」、良質でよく揃っていることを意味する「粒揃い」、周りよりも目立っていることを意味する「突出」などがあります。

超越の「超」という漢字を使った単語としては、困難や苦しみに打ち勝ってそれを乗りこえることを意味する「超克」、物事にこだわらずに平然としている様子を意味する「超然」などがあります。

超越の「越」という漢字を使った単語としては、群をぬいて優れていることを意味する「卓越」、他より大きな権限を持つことを意味する「優越」、自分の地位や立場を越えて出過ぎたことをすることを意味する「僭越」などがあります。

凌駕の意味

凌駕とは

凌駕とは、他のものよりも価値や能力などが上であることを意味しています。何か比較する対象がある場合に、それを超えて前に出ている様子を表すのが凌駕という言葉です。凌駕の類語には「勝る」や「長ける」などがあります。

どの言葉も何かと比較している状態で、その物よりも価値や能力が上であることを意味しているものです。超越とは違い、凌駕は比べるものがあってはじめて使うことが出来る言葉であると言えます。

表現方法は「凌駕した」「凌駕する」「凌駕される」

「凌駕した」「凌駕する」「凌駕される」などが、凌駕を使った一般的な言い回しです。

凌駕の使い方

凌駕は、他の物と比べて優れている様子を表しているので、テレビCMなどでもよく使用される言葉です。他社商品と自社商品とを比較して、機能の充実性などを表現した時などに「他を凌駕する機能性」などと言い表したりします。

また、他人と比較するのではなく、過去の自分と比較する際にも凌駕という言葉は使われるものです。「過去の作品を凌駕する出来栄えである」などのように使われます。このように、何かと比べて勝っている場合に「凌駕」という言葉を使います。

凌駕の語源

凌駕の「凌」という字は、しのぐ、こえる、という意味を持つ漢字です。しのぐというのは、困難や苦境に堪えて切り抜けることや、何かを乗り越えて前へ進むことを意味する言葉です。

凌駕の「駕」という字は、他よりも上に出て乗り越えるという意味を持つ言葉です。つまり、凌駕というのは「困難などを切り抜けて、他の人よりも前に出る」ということを意味する言葉であると言えます。

凌駕という言葉に使われている「凌」という字も、「駕」という字も、どちらも常用外の漢字です。凌駕という言葉自体、あまり日常生活上で使われることのないものですが、公的な書類などには書かないようにしましょう。

凌駕の類語

凌駕の類語・類義語としては、他より優れていることを意味する「優越」、他よりも飛び抜けて優れていることを意味する「逸出」などがあります。

凌駕の「凌」という漢字を使った単語としては、雲をしのぐほどに高いことを意味する「凌雲」、相手を傷つけるような言動をして恥をかかせることを意味する「凌辱」、花の一種である凌霄花(読み方:のうぜんかずら)などがあります。

凌駕の「駕」という漢字を使った単語としては、天子が行幸の際に乗る車を意味する「車駕」、相手の来訪を敬っていう語を意味する「枉駕」、人が移動をする際に乗る乗用具の一種である「駕籠」などがあります。

超越の例文

1.彼女には、人間の力を超越した霊力のようなものがあるらしいよ。
2.時代をも超越する名作というものが、この世には存在する。
3.あの人の陶芸の腕前は、趣味の域を超越してしまっていると思うな。
4.宇宙には人間の知識を超越した未知の世界が広がっているのだろうなぁ。
5.彼のその考え方は、一般的な常識を超越しているものだと思う。
6.脆弱な人類はなぜ他の生物を超越することが出来たのか。それは知能が発達したからである。
7.友人は物理法則を超越する力を手に入れたと豪語しているが、まさにこういうことを中二病というのだろう。
8.彼の発想は今までのどんな発想よりも超越したものであったので、結局誰にも理解されなかった。
9.彼らは人智を超越したとしか思えないような出来事に、ただただ唖然とするしかありませんでした。
10.現代社会は、現状を超越する力が求められているが、その反面、現状に甘んじていたいという力も根強い。

この言葉がよく使われる場面としては、なにか人間が考えられる範囲を超えた物事が起こった時などが挙げられます。人知を超えていたり、時の流れや歴史を超えていくような物事に出会った際に「超越」という言葉を使います。

例文1のように、人間の力では考えられないような能力を持っているような場合にも「超越」という言葉を使いますし、例文2のように時代を超えて評価される芸術作品などに対して「時代を超越する」という風に表現したりします。

また、例文3のように、元々ある程度決まっているような範囲を超えている場合などにも「超越」という言葉を使うことが出来ます。趣味のレベルを超えていると思わせるほどに腕前が良い場合などに褒め言葉として「超越」という表現を使ったりします。

凌駕の例文

1.今回の作品は、前回の作品を凌駕する素晴らしい出来栄えだと思うよ。
2.彼の実力は、他の選手たちを凌駕している。
3.他者を凌駕する勢いで勉学に勤しんでいるのだから、君が学年トップの成績なのは当然のことだと思うよ。
4.今年の夏の暑さは、昨年度を凌駕すると言われている。
5.前年度を凌駕するほど、我が社の売上げは好調だそうだ。
6.彼は入社2年目なのに取引先との交渉力や社内での根回しなど、すでに先輩や上司を凌駕する実力の持ち主だ。
7.メタバースが社会に受け入れられていくにつれて、いずれ現実を凌駕してしまう時代が来るかも知れません。
8.グローバルなIT企業は小国の国家予算を凌駕するのだから、どれだけ影響力があるか想像がつくだろう。
9.このスマホはiPhoneを凌駕するだけの性能があったが、だからといって売上が上回っているわけではない。
10.アニメの新シリーズは過去のシリーズを凌駕する出来栄えだとネットで絶賛されていたが、私はまったくその意見に賛同できない。

この言葉がよく使われる場面としては、何かと比較した際に、勝っていると感じた時などが挙げられます。比較する対象は他人だけでなく、過去の自分でも良いものです。比較する物が具体的にある場合に「凌駕」という言葉を使うことが出来ます。

例文1のように、過去の自分と比較して今回の方が前回よりも良く出来たと感じた場合や、例文2のように他者と比べて勝っている場合などに「凌駕する」「凌駕している」という表現を使います。

比較対象が具体的であるときに「凌駕」という言葉を使い、比べられるものがないほどに一般的な枠を超えてしまっている場合に「超越」という言葉を使うのだと覚えておくようにしましょう。

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