似た意味を持つ「微分」(読み方:びぶん)と「積分」(読み方:せきぶん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「微分」と「積分」という言葉は、どちらも「関数について求めること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
微分と積分の違い
微分と積分の意味の違い
微分と積分の違いを分かりやすく言うと、微分とは関数の変化率を求めること、積分とは関数の変化量の合計を求めることという違いです。
微分と積分の使い方の違い
一つ目の微分を使った分かりやすい例としては、「ラプラス変換を使って微分方程式を解いてみよう」「微分幾何学の成り立ちを理解する」「無料の微分計算サイトを見つけました」「微分係数を利用して接線の方程式を求める」などがあります。
二つ目の積分を使った分かりやすい例としては、「積分方程式の基本さえ理解できません」「RC方式の積分回路を設計する」「不定積分のやり方を教えてもらいました」「積分計算機を使って定積分の問題を解く」などがあります。
微分と積分の使い分け方
微分と積分という言葉は、どちらも関数について求める数学用語ですが、意味や使い方には違いがあります。
微分とは、関数の変化の様子を表す概念です。微分は関数の変化率を求める計算であり、関数のグラフ上では接線の傾きを求めることになります。自動車の速度計算、天気予報や経済成長率の変化などに用いられています。
積分とは、分けたものを積んで集めることを表す概念です。積分は、微分とは逆の演算であり、グラフ上では関数とx軸で囲まれた面積を求めることになります。自動車の走行距離計算や、人口増加率の変化から将来の人口を予測することなどに役立てられています。
つまり、微分と積分は互いに逆の演算になります。この関係性は微分積分学の基本定理と呼ばれ、解析学という数学の一大分野になっています。
微分と積分の英語表記の違い
微分を英語にすると「differential」「differentiation」となり、例えば上記の「微分方程式」を英語にすると「a differential equation」となります。一方、積分を英語にすると「integral」となり、例えば上記の「積分方程式」を英語にすると「an integral equation」となります。
微分の意味
微分とは
微分とは、ある関数の導関数を求めることを意味しています。
その他にも、「ある関数で表される曲線の、ある点における接線の傾き、すなわち変化率を極限値として求めること」の意味も持っています。
微分の使い方
「教わった定義に従って微分する」「スカラー値をベクトルで微分する」「関数を微分すれば導関数を求めることができます」などの文中で使われている微分は、「関数の導関数を求めること」の意味で使われています。
一方、「微分方程式の解き方をマスターした」「微分積分は解析学の基本的な分野です」「英語の先生は微分が得意だそうです」などの文中で使われている微分は、「ある関数で表される曲線の変化率を極限値として求めること」の意味で使われています。
微分とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。微分の「微」は訓読みで「かすか」と読み、非常に細かなことを表し、「分」は訓読みで「わける」と読み、全体をいくつかにわけることを表します。
表現方法は「微分方程式」
微分を用いた日本語には「微分方程式」があります。微分方程式とは、変数とその関数との関係を導関数を含む形で表した方程式のことです。未知関数が一変数のときは「常微分方程式」、多変数のときは「偏微分方程式」と呼ばれています。
微分の対義語
微分の対義語・反対語としては、微分の逆演算を意味する「積分」などがあります。
微分の類語
微分の類語・類義語としては、物事を細かくとき分けて組織的かつ論理的に調べることを意味する「解析」、数列の隣り合う二項の差を取って作られた数列のもとの数列に対する称を意味する「差分」、関数 y=f(x) の x=a における増加率を極限値で表したものを意味する「微分係数」などがあります。
積分の意味
積分とは
積分とは、与えられた関数について、微分してこの関数になるすべての関数、それを求めること、不定積分を意味しています。
その他にも、「ある関数で表される曲線とx座標軸に挟まれた部分を、一定区間に区切ってその面積を極限値として求めること」の意味も持っています。
積分の使い方
「有理関数の不定積分を手順に従って求める」「変数変換により積分する方法を習いました」などの文中で使われている積分は、「与えられた関数を微分して、この関数になるすべての関数を求めること」の意味で使われています。
一方、「積分計算サイトを使って答えを確かめる」「数学Ⅱで習得すべき積分公式を一覧にしました」などの文中で使われている積分は、「ある関数で曲線とx座標軸に挟まれた部分を、一定区間に区切って極限値として求めること」の意味で使われています。
積分とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。積分の「積」は訓読みで「つむ」「つもる」と読み、つみ重ねること、掛け合わせて得た数値を表す漢字です。
表現方法は「積分定数」
積分を用いた日本語には「積分定数」があります。積分定数とは、不定積分や微分方程式の解を求める際に加えられる任意の定数を意味します。「積分常数」とも言い、微分すると0になるものです。
積分の対義語
積分の対義語・反対語としては、ある関数の変化率を求める手法を意味する「微分」などがあります。
積分の類語
積分の類語・類義語としては、ある数量に別の数量を加えて計算することを意味する「加算」、数学で同一の数を順次に加えていくことを意味する「累加」与えられた関数f(x)を導関数とする関数を意味する「原始関数」などがあります。
微分の例文
この言葉がよく使われる場面としては、関数の導関数を求めること、関数の微小な変化の近似値、微分学の略を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「偏微分記号」とは、微積分で偏微分演算を示すために使用される記号のことです。
積分の例文
この言葉がよく使われる場面としては、積分学の略、原始関数を求めること、定積分を求めることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「積分公式」とは、数式で表される積分の定理であり、積分の計算を容易にするために使われるものです。
微分と積分という言葉は、どちらも「関数について求めること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、関数の変化率を求める操作を表現したい時は「微分」を、変化の合計を求める操作を表現したい時は「積分」を使うようにしましょう。