似た意味を持つ「差別」(読み方:さべつ)と「区別」(読み方:くべつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「差別」と「区別」という言葉は、どちらも「ある物事と他の物事との違い」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
差別と区別の違い
差別と区別の使い方の違い
差別と区別の違いを分かりやすく言うと、差別とは主観的な価値観にもとづいて不当に扱うこと、区別とは客観的な特徴にもとづいて分けることという違いです。
「差別」と「区別」の使い方の違い
一つ目の差別を使った分かりやすい例としては、「人種差別をなくすための取り組みを調べています」「差別化戦略の成功例を調べています」「英語の先生は生徒を差別している」「公私の差別をつけてください」などがあります。
二つ目の区別を使った分かりやすい例としては、「両者の間にはっきりとした区別がありません」「本当の話なのかフェイクニュースなのかを区別する」「生成AIの写真か実写なのかの区別がつかない」などがあります。
差別と区別の使い分け方
差別と区別という言葉は、どちらも特定の基準にもとづいた違いや扱いを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
差別とは、もともと「公私の差別をつける」のような使い方で、差をつけて分けることを意味する言葉です。現代においては、「人種差別」「生徒を差別する」のような使い方で、特定の価値観や偏見などにより不当に低く取り扱うことの意味で使用されることがほとんどです。
区別とは、物事の間にある差異を認識して分けることを意味します。区別は物事の特徴や性質を客観的に捉える行為であり、例えば「日本人とアメリカ人」は国籍の区別であり、「女性と男性」は性別の区別になります。
つまり、差別とは主観的な価値観にもとづいて不当に扱うことを表し、区別とは客観的な特徴にもとづいて分けることを表す言葉です。また、差別という言葉にはマイナスのイメージが伴うことも、二つの言葉の違いになります。
差別と区別の英語表記の違い
差別を英語にすると「discrimination」「distinction」となり、例えば上記の「人種差別」を英語にすると「racial discrimination」となります。
一方、区別を英語にすると「differentiation」「distinction」となり、例えば上記の「はっきりとした区別」を英語にすると「a clear distinction」となります。
差別の意味
差別とは
差別とは、あるものと別のあるものとの間に認められる違い、また、それに従って区別することを意味しています。
その他にも、「取り扱いに差をつけること、特に、他よりも不当に低く取り扱うこと」の意味も持っています。
差別の使い方
「仕事とプライベートの差別をつける」「メリハリをつけて差別する」「物事の差別がはっきりとしている」などの文中で使われている差別は、「あるものと別のあるものとの間に認められる違い」の意味で使われています。
一方、「彼女は人種差別主義者なのかもしれない」「自社の優位性を見出し競合と差別化を図る」「ネットで差別用語の一覧を探す」などの文中で使われている差別は、「取り扱いに差をつけること。特に、他よりも不当に低く取り扱うこと」の意味で使われています。
差別の読み方
差別の読み方は「さべつ」の他に「しゃべつ」とも読みますが、一般的には「さべつ」と読まれています。
差別とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、現代の日本語では「取り扱いに差をつけること、特に、他よりも不当に低く取り扱うこと」の意味で用いられることが多くなっています。差別の「差」は状態や数量などの違いを表し、「別」は物事間の区別やけじめを表す漢字です。
表現方法は「差別化戦略」
差別を用いた日本語には「差別化戦略」があります。差別化戦略とは、ビジネス用語で、競合他社の商品と比較して機能やサービス面において差異を設けることで、競争上の優位性を得ようとする戦略を意味します。
差別の対義語
差別の対義語・反対語としては、判断や処理などが偏っていないことを意味する「公平」、かたよりや差別がなく等しいことを意味する「平等」などがあります。
差別の類語
差別の類語・類義語としては、物事の種類や性質などを見分けることを意味する「識別」、種類や種目によって区別することを意味する「種別」、前もっていだいている固定的な観念を意味する「先入観」、客観的な根拠なしにいだかれる非好意的な先入観や判断を意味する「偏見」などがあります。
区別の意味
区別とは
区別とは、あるものと他のものとが違っていると判断して分けること、また、その違いを意味しています。
区別の使い方
表現方法は「区別化」上記の例文にある「区別化」とは、ビジネスシーンで用いられることがある言葉です。区別化とは、物事の違いに着目して、それぞれを別々のものとして分けることを意味します。ビジネスでは、他社との違いを明確に打ち出し、自社製品やサービスを独自のものとして認識させる活動を表します。
区別の対義語
区別の対義語・反対語としては、ごったにして区別しないことを意味する「混同」、性質などの違うものを同じものとみなすことを意味する「同一視」などがあります。
区別の類語
区別の類語・類義語としては、区別していくつかに分けることを意味する「区分」、全体をいくつかの区切りに分けることを意味する「分節」、細かく分けることを意味する「細分」、ある区域をいくつかに分けることを意味する「区分け」などがあります。
差別の例文
この言葉がよく使われる場面としては、けじめをつけること、差をつけて区別すること、あるものを正当な理由なしに他よりも低く扱うことを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「ジェンダー差別」とは、性別にもとづいた思い込みやイメージを押し付けることであり、男性または女性であることを理由に不当な扱いを受けることを意味します。
区別の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある事物を違いや種類によって分けることを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「区別がつかない」とは、簡単に見分けがつかないほど似ていること、互いに共通の性質を持っているさまを表しています。
差別と区別という言葉は、どちらも「ある物事と他の物事との違い」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、主観的な価値観にもとづいて不当に扱うことを表現したい時は「差別」を、客観的な特徴にもとづいて分けることを表現したい時は「区別」を使うようにしましょう。