【恩知らず】と【不義理】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「恩知らず」(読み方:おんしらず)と「不義理」(読み方:ふぎり)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「恩知らず」と「不義理」という言葉は、どちらもマイナスのイメージで使う言葉を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「恩知らず」と「不義理」の違い

「恩知らず」と「不義理」の違いを分かりやすく言うと、「恩知らず」は感謝の気持ちを示さないこと、「不義理」は人としての義理や礼儀を欠いた行為のことという違いです。

一つ目の「恩知らず」を使った分かりやすい例としては、「長年助けてくれた親に対して恩知らずな態度をとるのは許せない」「恩知らずな行為を見て周囲の人々はあ然とした」「助けてくれた上司に何の感謝も示さないとは本当に恩知らずだ」などがあります。

二つ目の「不義理」を使った分かりやすい例としては、「世話になった人に何の連絡もせず不義理を働いてしまった」「結婚式に呼ばれたのに欠席の連絡もしないのは不義理だ」「忙しいからといって返事をしないのは不義理な対応と受け取られても仕方ない」などがあります。

「恩知らず」と「不義理」はどちらもマイナスのイメージで使う言葉を意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「恩知らず」は、「恩を受けたにもかかわらず感謝を示さない人」を指す言葉で、主に人格や心の在り方を非難するときに使います。例えば「彼は周囲の助けを当然と思い、まるで恩知らずだ」のように、感謝を欠いた態度そのものを問題視する場合に用いられます。

一方、「不義理」は、「義理や約束、礼儀を欠く行為」を指す言葉で、具体的な行動の怠りを非難するときに使います。例えば「お世話になった人に年賀状も出さないのは不義理だ」のように、社会的な礼節を守らない態度に対して用いられます。

つまり、感謝の気持ちを示さないことを指すのが「恩知らず」、人としての義理や礼儀を欠いた行為を指すのが「不義理」と覚えておきましょう。

「恩知らず」を英語にすると「ungrateful」「thankless」「ingratitude」となり、例えば「恩知らずな態度を取る」を英語にすると「He behaved like an ungrateful person」または「He showed no gratitude」となります。

一方、「不義理」を英語にすると「breach of obligation」「neglect of duty」「failure to show courtesy」となり、例えば「恩人に不義理を働く」を英語にすると「He committed a breach of obligation toward his benefactor」となります。

「恩知らず」の意味

「恩知らず」とは、恩を受けてもありがたいと思わずそれに報いる気のないことを意味しています。

「恩知らずな人」「恩知らずな態度」「恩知らずな仕打ち」などが、「恩知らず」を使った一般的な言い回しになります。

「恩知らず」を使った分かりやすい例としては、「長年世話になった人に冷たくするなんて恩知らずだ」「恩知らずな言葉を言ってしまい、後で深く反省した」「助けてくれた人に感謝もしないなんて、恩知らずにもほどがある」などがあります。

「恩知らず」は、人から受けた恩義・親切・助けを当然のことのように思い、感謝を示さない態度や行動に対して使われます。簡単に言えば、感謝の心を欠いた人や恩を忘れた人を指す言葉です。

また、「恩知らず」は人の道に外れた行為や冷淡な態度に対して非難するニュアンスを強く持ちます。特に、長年の恩人・親・上司・先生など、自分を支えてくれた相手に対して使う場合が多いのが特徴です。

「恩知らず」という言葉には、単なる行為の批判ではなく、「恩をかけた側の悲しみ」や「裏切られたような気持ち」などの感情的な響きが含まれます。そのため、道徳的な意味だけでなく、人間関係の信頼や情の裏切りを表す際にもよく使われると覚えておきましょう。

「恩知らず」は基本的にマイナスのイメージで使われます。ただし、本人に悪気がなくても、感謝の気持ちを表さなかった場合に、周囲から「恩知らず」と受け取られることもあります。

つまり、実際の行為よりも「相手にどう見えたか」「恩を感じているかどうか」が重視される点で、感情的な評価を伴う言葉と言えます。

「恩知らず」の類語・類義語としては、情けや思いやりに欠けることを意味する「薄情」、他人に対して思いやりがなく冷たいことを意味する「冷淡」などがあります。

「不義理」の意味

「不義理」とは、義理を欠くことを意味しています。

「不義理をする」「不義理を働く」「不義理を詫びる」「不義理にしてしまった」などが、「不義理」を使った一般的な言い回しになります。

「不義理」を使った分かりやすい例としては、「長い間ご無沙汰していて不義理をしてしまいました」「忙しさにかまけて年賀状も出さず、不義理を重ねてしまった」「彼は恩人に対して不義理な態度をとって信用を失った」などがあります。

「不義理」は、人との関係において果たすべき礼儀・義務・恩義を怠ることを表します。たとえば、「お世話になった相手に連絡しない」「お礼を言わない」「約束を守らない」といった行為が「不義理」とされます。

つまり、「不義理」は単なるマナー違反ではなく、人情や社会的つながりを軽視する行動を指す言葉です。特に日本社会では「義理人情」を重んじる文化があるため、「不義理」は道徳的な非難を含む強い表現になります。

「不義理」は、相手を裏切るというよりも、無視や怠慢によって信頼を損なうような場面で使われます。たとえば、「忙しさのあまりお世話になった人への挨拶を忘れた」「感謝の言葉を伝えずに疎遠になった」といった場合にも、「不義理をした」と表現されます。

このように、「不義理」は必ずしも悪意を持った行動を指すわけではありませんが、社会的・人情的なつながりを大切にしない態度として、反省や謝罪の意味を込めて使われることが多い言葉です。

「不義理」は主に目上の人や恩人など、礼を欠いてはいけない相手に対して使われます。また、自分の行為をへりくだって述べるときにもよく使われ、「長らくご無沙汰しており、不義理をしております」というように、丁寧で控えめな表現として使われます。

そのため、「不義理」は日常会話だけでなく、手紙やメールなどの改まった場面での謝罪の言葉としても非常によく用いられます。

「不義理」の類語・類義語としては、礼儀を欠いた行為や態度のことを意味する「無礼」
があります。

「恩知らず」の例文

1.長年面倒を見てもらった恩人に冷たい態度を取るなんて、あまりにも恩知らずだと思います。
2.助けてくれた友人に感謝の言葉ひとつも言わないのは、さすがに恩知らずすぎると言えるでしょう。
3.恩知らずな態度を取ってしまった自分を反省し、きちんとお礼を言おうと決心しました。
4.親の苦労を理解せず反抗ばかりする子どもを見ると、少し恩知らずに見えてしまいます。
5.これまで支えてくれた人たちに感謝もせず離れていくのは、とても恩知らずな行為だと思います。

この言葉がよく使われる場面としては、恩を受けてもありがたいと思わずそれに報いる気のないことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「恩知らず」は感謝の気持ちを示さないことを指す時に使う言葉です。

「不義理」の例文

1.お世話になった先生に年賀状も出さなかったのは、自分でも不義理をしたと反省しています。
2.結婚式に招待されたのに、欠席の連絡を入れなかったのは不義理な対応だったと思います。
3.仕事を紹介してくれた先輩にお礼を伝えないままで、不義理を働いてしまいました。
4.忙しさを理由に恩人への挨拶を怠ってしまったのは、不義理であったと感じています。
5.冠婚葬祭の連絡を無視するのは、どう考えても不義理な行為だと思います。

この言葉がよく使われる場面としては、義理を欠くことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「不義理」は人としての義理や礼儀を欠いた行為を指す時に使う言葉です。

「恩知らず」と「不義理」はどちらもマイナスのイメージで使う言葉を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、感謝の気持ちを示さないことを指すのが「恩知らず」、人としての義理や礼儀を欠いた行為を指すのが「不義理」と覚えておきましょう。

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