似た意味を持つ「よしなに」と「よろしく」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「よしなに」と「よろしく」という言葉は、どちらも良い具合であることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「よしなに」と「よろしく」の違い
「よしなに」と「よろしく」の意味の違い
「よしなに」と「よろしく」の違いを分かりやすく言うと、「よしなに」は一般的に使われていない、「よろしく」は一般的に使われているという違いです。
「よしなに」と「よろしく」の使い方の違い
一つ目の「よしなに」を使った分かりやすい例としては、「私は帰りますのであとはよしなに頼みます」「どうぞよしなにお願いします」「今日は暖かいですねどうぞよしなに」「お父さんににもよしなにお伝えください」などがあります。
二つ目の「よろしく」を使った分かりやすい例としては、「奥様にもよろしくお伝えください」「ご検討のほどよろしくお願いいたします」「先に行きますのであとはよろしく頼みますよ」などがあります。
「よしなに」と「よろしく」の使い分け方
「よしなに」と「よろしく」はどちらも良い具合であることや他の人に好意を示したり何かを頼んだりするときに添える言葉のことの意味で使われる言葉です。
違いを挙げるならば「よしなに」は大和言葉で現代ではあまり使われておらず、「よろしく」は一般的に使われているという点です。また、「よろしく」にはいかにもそれらしいことという意味があるのも違いになります。
「よしなに」と「よろしく」はどちらもほぼ同じ意味を持つ言葉なので、置き換えることができます。例を挙げると、「よしなにお願いいたします」を「よろしくお願いいたします」と置き換えることや「よしなにお伝えください」を「よろしくお伝えくださいと」とすることが可能です。
ただし、「よしなに」は現代では馴染みのない言葉なので「よろしく」の方を使うのが無難でしょう。
「よしなに」と「よろしく」の英語表記の違い
「よしなに」も「よろしく」も英語にすると「appropriately」「best regards」となり、例えば上記の「お父さんににもよしなにお伝えください」を英語にすると「Please give my best regards to your father」となります。
「よしなに」の意味
「よしなに」とは
「よしなに」とは、良い具合になるようにやよろしくのことを意味しています。
表現方法は「どうぞよしなに」「よしなにする」「よしなにお伝えください」
「どうぞよしなに」「よしなにする」「よしなにお伝えください」「よしなにお願いします」などが、「よしなに」を使った一般的な言い回しになります。
「よしなに」の使い方
「よしなに」を使った分かりやすい例としては、「午後は外回りなのでよしなに頼みますね」「この企画ですがひとつよしなにお願いいたします」「どうぞよしなによろしくお願いします」「先生によしなにお伝え願えますか」などがあります。
「よしなに」は良い具合になるようにや、他の人に好意を示したり何かを頼んだりするときに添える言葉のことの意味で使われる言葉です。
ビジネスシーンと日常生活どちらでも使うことが可能ですが、馴染みがない人の方が多いため、使うのを避けた方がいいでしょう。
「よしなに」は京都府の方言ではない
「よしなに」を京都府など関西弁の方言と勘違いする人もいると思いますが、大和言葉であって方言ではないと覚えておきましょう。大和言葉とは漢語でも外来語でもない、日本で生まれ日本で育った言葉のことです。
「よしなに」の語源
「よしなに」の語源は奈良時代の古事記だと言われています。この話は、ある姫君が3つ子を出産しました。祝いで訪れた4人の信濃県主がへその緒を祀らせて欲しいと頼みました。
しかし、へその緒は3つしかありません。この3つしかないへその緒を4つに分けるために、喧嘩にならないようよしなに取り計らって欲しいと指示を出したのが「よしなに」の語源になります。
「よしなに」の類語
「よしなに」の類語・類義語としては、良いようにすることを意味する「然る可く」(読み方:しかるべく)、程度や状態などが丁度いいことを意味する「適当」、その時々に応じて各自が良いように行動することを意味する「適宜」(読み方:てきぎ)などがあります。
「よろしく」の意味
「よろしく」とは
「よろしく」とは、丁度いい具合のことを意味しています。その他にも、他の人に好意を示したり何かを頼んだりするときに添える言葉のことやいかにもそれらしいことの意味も持っています。
表現方法は「よろしくお伝えください」「よろしくお願いいたします」
「よろしくお伝えください」「よろしくお願いいたします」などが、「よろしく」を使った一般的な言い回しになります。
「よろしく」の使い方
「今頃あの二人はよろしくやっているはずです」「よろしくお取り計らいください」「悲劇のヒロインよろしくの涙を流す」などの文中で使われている「よろしく」は、「丁度いい具合のことやいかにもそれらしいこと」の意味で使われています。
一方、「お母さんによろしくお伝えください」「ご指導のほどよろしくお願いいたします」などの文中で使われている「よろしく」は、「他の人に好意を示したり何かを頼んだりするときに添える言葉のこと」の意味で使われています。
「よろしく」は敬語ではなく目上の人に使えない
「よろしく」という言葉自体は敬語ではないのですが、前後の言葉が丁寧な表現になっていれば、ビジネスシーンなどで目上の人に対して使っても問題ない言葉になります。
「よろしく」の漢字表記
「よろしく」を漢字にすると「宜しく」と表記することができますが、平仮名で「よろしく」と書くのが一般的です。
「よろしく」の類語
「よろしく」の類語・類義語としては、物事が上手くまとまるように処理することを意味する「首尾よく」、その状態や条件が相応しいことを意味する「善く」、あるものが他によく似ていることを意味する「あたかも」などがあります。
「よしなに」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、良い具合になるようにやよろしくのことを表現したい時などが挙げられます。
「よしなに」は現代ではあまり使われていない言葉になります。
「よろしく」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、丁度いい具合のことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、他の人に好意を示したり何かを頼んだりするときに添える言葉のことやいかにもそれらしいことを表現したい時にも使います。
例文1の「よろしく」は丁度いい具合のこと、例文2から例文4の「よろしく」は他の人に好意を示したり何かを頼んだりするときに添える言葉のこと、例文5の「よろしく」はいかにもそれらしいことの意味で使っています。
「よしなに」と「よろしく」どちらを使うか迷った場合は、どちらも同じ意味を持つ言葉なので、広く一般的に使われている「よろしく」を使うようにしましょう。