似た意味を持つ「名産」(読み方:めいさん)と「特産」(読み方:とくさん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「名産」と「特産」という言葉は、どちらも「その土地で作られているもの」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
名産と特産の違い
名産と特産の違いを分かりやすく言うと、名産とはその地域で作られていることが有名なこと、特産とはその地域でしか作れないものという違いです。
一つ目の名産を使った分かりやすい例としては、「お歳暮に福岡名産の明太子を贈りました」「名産のリンゴでお菓子を作る」「四国の名産品や特産品の魅力を紹介します」「全国各地の名産品を集めた物産展を開催します」などがあります。
二つ目の特産を使った分かりやすい例としては、「特産品の富有柿を皇室に献上する」「グルメフェスで特産品や農産物を販売する」「中国雲南省の特産品にはプーアル茶などがあります」「全国各地の特産品や名産品が当たる懸賞に応募する」などがあります。
名産と特産という言葉は、どちらもその土地や地域で作られていることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
名産とは、その土地で産出する有名なものを意味します。「名産品」とは、その土地で作られた品であり、全国的に有名であるものです。例えば、桃の有名な産地はいくつかあるため、「桃は山梨県の名産品」とも「桃は岡山県の名産品」とも言えます。
特産とは、特にその地方で産出したり生産されることを意味します。「特産品」とは、ある特定の地域で産出されるものであり、その地域でしか作れない産品を表します。例えば、ブランド桃である「白桃」は岡山県の特産品です。
つまり、名産とは地域の産品であることが有名なことを表し、特産とはその地域でしか作れない産品を意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
名産も特産も英語にすると「specialty」「special product」「local specialty」となり、例えば上記の「福岡名産」を英語にすると「a specialty of Fukuoka」となります。
名産の意味
名産とは、その土地の名高い産物を意味しています。
名産を使った分かりやすい例としては、「大阪の名産品をアンテナショップで買いました」「地元の名産をアピールする」「名産品を博物館に展示してもらう」「都道府県の名産や特産をネタにクイズを作りました」などがあります。
その他にも、「スイカの名産地はどこですか」「自由研究として各地の名産品を調べる」「新潟市名産会に加入しています」「SNSで名産品の擬人化イラストが流行っています」「タオルの名産地と言えば今治市でしょう」などがあります。
名産の「名」は優れていることや名高いことを表し、「産」は物を作り出すことや作り出されたものを表します。名産とは、その土地で産出された優れたものを意味し、その地域を代表する有名な品物を広く指す言葉です。
名産を使った日本語には「名産地」があります。名産地とは、その地域の産品であることが全国的に広く知られているものを指します。必ずしもその地域でしか作れないものとは限りません。例えば、コシヒカリの新潟県、カステラの長崎県、タオルの今治市などが名産地として知られています。
名産の対義語・反対語としては、一般の商店や小売店で流通している商品を意味する「一般商品」などがあります。
名産の類語・類義語としては、その土地特有の名高い産物を意味する「名物」、すぐれた品や有名な品を意味する「名品」、地域独自の食材の組み合わせや調理法で他地域との違いを出した料理を意味する「ご当地グルメ」などがあります。
特産の意味
特産とは、特にその土地や地方で産出すること、また、その産物を意味しています。
特産を使った分かりやすい例としては、「特産キノコキムチをネットで買いました」「特産品で異文化交流も可能です」「トランプで遊びながら各地の特産や名産を覚えよう」「普通の松阪牛ではなく特産松阪牛を食べてみたいです」などがあります。
その他にも、「飛鳥時代の日本には特産物を納める税がありました」「特産品で交易活性化を図ります」「今年度の特産果樹生産動態等調査を取りまとめる」「青森県特産品センターで八戸せんべい汁を試食しました」などがあります。
特産の「特」は他と異なってそれ一つだけのさま、それだけ目立って著しいさまを表す漢字です。ものを作り出すことを表す「産」と結び付き、特産とは、特にその地方で産出すること、その産物を意味します。
上記例文にある「特産松阪牛」とは、松阪牛の中でも、兵庫県産の子牛を導入し松阪牛生産区域で900日以上肥育した牛を指します。通常の松阪牛よりも肥育期間が長く、松阪牛全体の数パーセントしかない非常に希少価値が高い松阪牛です。
特産の対義語・反対語としては、卸売店などを通じて広く流通する一般的な商品を意味する「一般品」などがあります。
特産の類語・類義語としては、最初に産出したことを意味する「原産」、特産品などを通常の流通経路を通さずに生産者から消費者へ直接供給することを意味する「産直」、その地域に特有の料理を意味する「郷土料理」などがあります。
名産の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その土地で産する有名なものを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある名産品とご当地グルメの違いは、名産品は全国的に有名になった農産物や加工品などを指し、ご当地グルメは地域独自の食材や調理法で作られた料理を指す点にあります。
特産の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その地方で産出または生産されることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にある特産物と特産品の違いは、特産物はその土地から産出された肉や野菜などを指し、特産品とは特産物を人の手で加工したものを指す点にあります。
名産と特産という言葉は、どちらも「その土地で作られているもの」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、その地域で作られていることが有名であるものを表現したい時は「名産」を、その地域でしか作れないものを表現したい時は「特産」を使うようにしましょう。