似た意味を持つ「並列」(読み方:へいれつ)と「同列」(読み方:どうれつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「並列」と「同列」という言葉は、どちらも「並べること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
並列と同列の違い
並列と同列の違いを分かりやすく言うと、並列とは物理的に並べることのみを表し、同列とは物理的だけでなく概念的にも並べることを表すという違いです。
一つ目の並列を使った分かりやすい例としては、「並列回路の方が直列回路よりも電球が明るくなる」「並列回路の抵抗にかかる電圧の大きさを調べる」「語句を並列するときに句読点を入れる」「日本語と英語の並列助詞を一覧表にまとめる」などがあります。
二つ目の同列を使った分かりやすい例としては、「CEOを重役と同列に扱っていいのだろうか」「大学進学率は東京と神奈川が同列1位になっています」「体重40キロの子どもたちと50キロの子供たちをそれぞれ同列に並べる」などがあります。
並列と同列という言葉は、どちらも並べることや列をつくることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
並列とは、「語句を並列する」のような使い方で、いくつかの物が並び連なることを意味します。また、「並列回路」のような使い方で、数個の電気機器を、同種の端子をそれぞれ一括して並べて接続することも意味します。並列は、物理的に並べることを表す言葉です。
同列とは、「子供たちをそれぞれ同列に並べる」のような使い方で、物理的に同じ列に並べることを意味します。また、「CEOを重役と同列に扱う」のような使い方で、同じレベルや同じ地位にあることを意味し、概念的に対等な関係で並べることも表します。
つまり、並列とは物理的に並べることのみを表現し、同列とは物理的にも概念的にも並べることを表す言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
並列を英語にすると「parallel」「synchronizing」となり、例えば上記の「並列回路」を英語にすると「parallel circuit」となります。一方、同列を英語にすると「same line」「same rank」となり、例えば上記の「重役と同列」を英語にすると「the same rank as company directors」となります。
並列の意味
並列とは、二つ以上のものが並ぶこと、また、並べ連ねることを意味しています。
その他にも、「電池・抵抗器・蓄電器などの正電極どうし、あるいは負電極どうしを接続すること、並列接続」の意味も持っています。
「有名な絵画が壁一面に並列していた」「並列を表す英語の接続詞について説明します」「発電機の並列運転にはいくつかのメリットがあります」などの文中で使われている並列は、「二つ以上のものが並ぶこと、並べ連ねること」の意味で使われています。
一方、「並列回路の抵抗の求め方を習いました」「並列つなぎは電池の容量を増やすことができます」「並列回路の合成抵抗を計算する」などの文中で使われている並列は、「正電極どうし、あるいは負電極どうしを接続すること」の意味で使われています。
並列とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。並列の「並」は二つ以上のものが列をつくって位置すること、「列」は順に長く連なることを表す漢字です。
並列を用いた日本語には「並列回路」があります。並列回路とは、電流の流れる道筋が枝分かれしていて、それぞれの道筋に電気部品が接続されている回路のことです。1つの部品が壊れても他の部品には影響が出にくいことが、直列回路との大きな違いです。
並列の対義語・反対語としては、電気回路で抵抗や電池などを正電極と負電極で接続することを意味する「直列」などがあります。
並列の類語・類義語としては、きちんと列をつくって並ぶことを意味する「整列」、いくつかの列に分かれて並ぶことを意味する「分列」、大勢が並んで立つことを意味する「列立」、二つの事柄が並んで交わることなく存在すること「パラレル」などがあります。
同列の意味
同列とは、列が同じであること、同じ列を意味しています。
その他にも、「地位・程度・資格・待遇などが同じであること」の意味も持っています。
「あの人と同列に並んでください」「あなたの席は私と同列にあります」「彼と同列の左から三番目が私の姉です」などの文中で使われている同列は、「列が同じであること、同じ列」の意味で使われています。
一方、「同じ血液型だからと言って同列に語るのはやめて欲しい」「医師と他の職業を同列に扱うことは難しい」「テロとデモを同列視すべきではない」などの文中で使われている同列は、「地位・程度・資格・待遇などが同じであること」の意味で使われています。
同列とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられるため、文脈により意味を判断する必要があります。同列の「同」は訓読みで「おなじ」と読み、二つ以上のものの内容や状態などに区別がないさまを表します。
上記の例文にある「同列視」とは、複数の物事や人を、同じレベルや同じ価値のものとみなすことを意味します。本来は同等ではないものに対して使用される表現であり、「保護者と教師を同列視することはできない」のように使います。
同列の対義語・反対語としては、特別の取扱いをする地位を意味する「別格」などがあります。
同列の類語・類義語としては、程度や等級などが同じであることを意味する「同等」、階級や等級が同じであることを意味する「同級」、同じ地位または順位を意味する「同位」、同じ程度の力や地位をもって張り合うことを意味する「肩を並べる」などがあります。
並列の例文
この言葉がよく使われる場面としては、いくつかの物が並び連なること、電気回路で、電池やコンデンサーなどのそれぞれの二端子がすべて共通に接続される状態を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「並列助詞」とは、助詞の一種であり、二つ以上の言葉を対等の関係で接続するのに用いられるものです。「月とスッポン」「松や梅」「上か下か」などの「と・や・か」が並列助詞に当たります。
同列の例文
この言葉がよく使われる場面としては、同じ列に並ぶこと、同じ程度・地位・待遇であることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、同列の慣用的な言い回しには「同列に並べる」「同列に語る」「同列に扱う」などがあります。「同列に語る」とは、複数の物事や人を、区別せずに同じレベルあるいは同じ扱いとして論じることを表します。
並列と同列という言葉は、どちらも「並ぶこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物理的に並べることのみを表現したい時は「並列」を、物理的だけでなく概念的にも並べることを表現したい時は「同列」を使うようにしましょう。