【押収】と【没収】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「押収」(読み方:おうしゅう)と「没収」(読み方:ぼっしゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「押収」と「没収」という言葉は、どちらも「取り上げること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




押収と没収の違い

押収と没収の違いを分かりやすく言うと、押収とは一時的に取り上げること、没収とは所有権を剥奪して取り上げることという違いです。

一つ目の押収を使った分かりやすい例としては、「まだ押収の手続きが終わっていません」「税関で押収の対象となるものを確認する」「薬物の押収量は前年を上回っています」「家宅捜索し拳銃を押収しました」などがあります。

二つ目の没収を使った分かりやすい例としては、「授業中にスマホを触ったら没収します」「没収されたスマホを何とか返してもらった」「密輸した金は税関で没収されます」「必要的没収が任意的没収へと変更されました」などがあります。

押収と没収という言葉は、どちらも所有者から物品などを取り上げることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

押収とは、裁判所あるいは捜査機関による証拠品などの一時的な確保を意味します。捜査や裁判に不要と判断されれば、所有者に返還される可能性があるものです。ただし、押収された物が没収の対象となることもあります。

没収とは、強制的に取り上げることを意味し、犯罪行為によって得た物などを所有者から奪って国庫に帰属させる処分を表す言葉です。没収は判決で言い渡されるもので、所有権そのものを剥奪するため、永久に返還されません。

つまり、押収とは捜査のために一時的に取り上げることであり、没収は犯罪行為に関連した物の所有権を取り上げることを表現します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

押収も没収も英語にすると「confiscation」となり、例えば上記の「押収の手続き」を英語にすると「procedures for confiscation」となります。

押収の意味

押収とは、裁判所や捜査機関が証拠物または没収すべき物を占有・確保すること、また、そのための強制処分を意味しています。

押収を使った分かりやすい例としては、「押収した薬物の重さを記録する」「押収物還付公告令が改正されました」「トレカ数十枚を押収して保管庫に収めた」「押収物の陳列展覧会が話題になっている」などがあります。

その他にも、「押収拒絶権は8つの業種で認められています」「押収品目録交付書を確認してください」「押収物の証拠価値について吟味する」「押収物還付請求を申請しました」「押収した証拠品を元の所持人に返還する」などがあります。

押収の読み方は「おうしゅう」です。同じ読み方をする熟語に「応酬」「欧州」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。

押収の「押」は訓読みで「おす」「おさえる」と読み、押さえつけて動きがとれないようにすることを表す漢字です。受け取って自分のものとすることを表す「収」と結び付き、押収とは、裁判所または捜査機関が、証拠物または没収すべき物の占有を取得する処分を意味します。

押収を用いた日本語には「押収品目録交付書」があります。押収品目録交付書とは、警察などの捜査機関が証拠品などを押収した際、その所有者や保管者に対して交付される書類で、何が押収されたかを記録した書類です。

押収の対義語・反対語としては、もとの所有者に所有権をもどすことを意味する「返還」などがあります。

押収の類語・類義語としては、国などの権力機関が個人の所有物を強制的に取り上げることを意味する「接収」、国家権力によって特定の物について私人の処分を禁止する行為を意味する「差し押さえ」などがあります。

没収の意味

没収とは、強制的に取り上げることを意味しています。

その他にも、「刑法上の付加刑で、犯罪行為に関連した物の所有権を取り上げて国家の所有に移すこと」の意味も持っています。

「親にゲーム機を没収された」「没収された私物を返してもらう」「没収品保管室の鍵を手に入れる」「公認野球規則に基づいて没収試合になりました」などの文中で使われている没収は、「強制的に取り上げること」の意味で使われています。

一方、「没収保全命令が発せられた」「没収は付加刑の一種です」「没収することができない場合はその価額を追徴します」などの文中で使われている没収は、「犯罪行為に関連した物の所有権を取り上げて国家の所有に移すこと」の意味で使われています。

没収の読み方は「ぼっしゅう」の他に「もっしゅう」「もっしゅ」がありますが、一般的には「ぼっしゅう」と読まれています。

没収とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。没収の「没」は、それまであったものが無い状態になることを表す漢字です。

没収を用いた日本語には「没収試合」があります。没収試合とは、野球で、一方のチームが試合の開始や続行を拒否するなどの規則違反のために、球審が試合終了を宣告し、過失のないチームに9対0で勝ちを与える試合のことです。「放棄試合」とも言います。

没収の対義語・反対語としては、もといた所に返すことを意味する「返却」などがあります。

没収の類語・類義語としては、強制的に取り上げることを意味する「収奪」、取り上げて使用することを意味する「収用」、官府や主君が所有物を取り上げることを意味する「召し上げる」などがあります。

押収の例文

1.盗撮に使用したスマートフォンを、証拠品として押収しました。
2.現役警察官が、担当していた窃盗事件の押収品を転売した容疑で逮捕されました。
3.押収物には、強制的に押収された物と任意提出して押収された物があります。
4.警察は、容疑者の住宅から大量の武器と爆発物を押収したことを発表した。
5.弁護士には刑事訴訟法により押収拒絶権が保障されており、捜査機関による押収を拒否することができます。

この言葉がよく使われる場面としては、裁判所や捜査機関などが、証拠物または没収すべき物を占有、確保しておくための処分を表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「押収拒絶権」とは、弁護士や医師など特定の専門職が、業務上委託された他人の秘密に関する物について、捜査機関による押収を拒否できる権利です。

没収の例文

1.覚せい剤や麻薬を所持していたら、必要的没収として必ず没収されます。
2.没収は付加刑であり、単独の刑罰として下されることはありません。
3.英語のテスト中に電子辞書を使っていたのが見つかって、没収されてしまいました。
4.今の時代、お金を取り上げるよりもスマホを没収する方がダメージが大きいと思いませんか。
5.学校にスマホを持って行ってはいけない校則なので、見つかったら没収されます。

この言葉がよく使われる場面としては、財産や権利などを取り上げること、犯罪行為によって得たりなどした物の所有権を犯人から強制的に奪って国家の所有に移すことを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「必要的没収」とは、刑法や特別法で必ず没収しなければならないと定められている物を意味します。具体的には、薬物や賄賂がこれに当たります。「任意的没収」に対する言葉です。

押収と没収という言葉は、どちらも「取り上げること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、捜査のために一時的に取り上げることを表現したい時は「押収」を、所有権を剥奪して取り上げることを表現したい時は「没収」を使うようにしましょう。

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