【系譜】と【系図】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「系譜」(読み方:けいふ)と「系図」(読み方:けいず)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「系譜」と「系図」という言葉は、先祖から子孫に至る代々のつながりを表した記録という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




系譜と系図の違い

系譜と系図の意味の違い

系譜と系図の違いを分かりやすく言うと、系譜は血縁関係以外にも様々な情報が読み取れ、系図は血縁関係のみを読み取ることができるという違いです。

系譜と系図の使い方の違い

一つ目の系譜を使った分かりやすい例としては、「天皇と皇后に関する系譜を眺める」「ある一家の系譜にみる美術品の展示会が行われる」「有名な画家の作品も系譜をたどれば同じ様式に分類された人がわかる」などがあります。

二つ目の系図を使った分かりやすい例としては、「一度も自身の家系図を見たことがない」「彼はナポレオンの系図を引いている」「とある人より前の系図が明らかにされていない」などがあります。

系譜と系図の英語表記の違い

系譜も系図も英語にすると「genealogy」「pedigree」となり、例えば上記の「天皇と皇后に関する系譜」を英語にすると「a genealogy of the major Imperial lines」となります。

ただし、系図を由来の意味で英語にした場合「derivation」「descent」となり、例えば上記の「系図を引く」を英語にすると「be descended from」となります。

系譜の意味

系譜とは

系譜とは、先祖代々のつながりや師弟関係、また同じような要素や性質を受け継いでいる事物のつながりを意味しています。

表現方法は「系譜をたどる」「系譜に連なる」「系譜を継ぐ」

「系譜をたどる」「系譜に連なる」「系譜を継ぐ」などが、系譜を使った一般的な表現方法です。

系譜の使い方

系譜を使った分かりやすい例としては、「系譜を遡ることで明らかになる歴史もある」「今日ではDNAから系譜を調べていくこともできる」「そのシリーズの系譜に連なる新しい作品が発表された」「系譜学は他の学問とのつながりも深い」などがあります。

「系譜学」の意味

上で挙げた「系譜学」とは特定の家族の親子、血のつながりのない親戚、養子関係を明らかにし家系図を作成する学問を指し、「系図学」とも言います。

もともと世襲制をとっていたことから、ヨーロッパの王侯貴族の間では重要視されていた学問です。政治的効果を狙って王や皇帝が自分を民衆に神聖視させるため、神や文明の創始者の子孫を自称していました。

イスラーム世界では、最高指導者であるカリフを無関係な人が自称するなども起きていました。そのため、より正確な家系図を作るために系譜学が発展することとなりました。

系譜の譜の字を使った別の言葉としては、図や写真を集録して説明をした書物を意味する「図譜」(読み方:ずふ)、代々その家計が続いてきていることを意味する「譜代」、楽譜に書かれていない曲を書きとることを意味する「採譜」などがあります。

系図の意味

系図とは

系図とは、先祖から子孫に至る一族の系統を記した記録、また由来や来歴を意味しています。

系図の使い方

系図を使った分かりやすい例としては、「系図を書いてもらうよう依頼する」「家系図は実家の金庫にしまってある」「巻末に書かれている系図を眺めるのが好きだ」「系図をまとめることのできる期間は決まっている」などがあります。

系図を作成する際に必要な戸籍ですが、先祖までも自分の居住区で生活をしていたとは限りません。どちらにせよ、戸籍は子孫が探しに行かない場合は役所や法務局の倉庫に封印、もしくは破棄処分され二度と取得することができなくなります。

系図を使った言葉として、「系図買い」「系図立て」「乞食の系図話」があります。

「系図買い」の意味

一つ目の「系図買い」とは、金持ちがその家柄をよく見せようとして、貧乏な貴族などの系図を買い取ることや相手の人柄よりも家柄を重視して夫婦や養子の関係を結ぶことを意味します。

「系図立て」の意味

二つ目の「系図立て」とは、何かにつけて自分の系図を自慢することを意味します。

「乞食の系図話」の意味

三つ目の「乞食の系図話」とは、乞食が落ちぶれる前の自分の家計についての自慢話をすることを意味し、言ったとしても何の効果もなさない愚痴を言うことのたとえとして使われます。

系図の図の字を使った別の言葉としては、物事をわかりやすくするために図によって示すことを意味する「図示」(読み方:ずし)、何かをしようとすることを意味する「意図」、あることをくわだてることを意味する「企図」(読み方:きと)などがあります。

系譜の例文

1.ギリシア神話の神々の系譜を自分でまとめるのは、時間がかかる作業と言えるだろう。
2.王族の系譜を汲んで行われた祭祀は荘厳で、まるで王宮にいるかのような雰囲気であった。
3.中華料理の名店の系譜を継ぐ新しい飲食店は、食事時となると毎日行列ができている。
4.この新商品は、同じ会社が過去に出した最高モデルの系譜に連なる製品であるといえる。
5.東京で食べられる蕎麦は、食べられる場所などによって味が異なっており、そのルーツを辿ると蕎麦の三大系譜に行き着く。
6.彼女の歌は昔の歌謡曲のように覚えやすく雰囲気もいい意味で普通っぽくて昭和のアイドルの系譜を継いでいる気がする。
7.日本の政治家は実態としては世襲であり、歴史上の著名な政治家たちの系譜に連なっているのである。
8.そのディレクターは、今度の特集にジャズの系譜を俯瞰した1時間番組を作ろうと考えていた。
9.このお米について調べてみたら、 コシヒカリとひとめぼれの系譜を持つしっかりとした食感がある品種だそうだ。
10.その地域の歴史を知るためには、ただ史跡をまわるだけではなく、その地域の系譜をたどることが必要だ。

この言葉がよく使われる場面としては、代々の血のつながりや同じような性質などのつながりを意味する時などが挙げられます。

例文2の「系譜を汲む」という使い方で、例文3の「系譜を継ぐ」や例文4の「系譜に連なる」と同様、その流派や系統に属することを意味します。「流れを汲む」という言葉と言い換えることもできます。

系図の例文

1.スペインの歴史を学ぶ時、国王の系図を見ていると神聖ローマ皇帝と兼任した国王を見つけた。
2.絵系図は中世および近世の仏教を研究するための史料として大いに役立っている。
3.家系図を作成して事件の犯人を特定する方法は、プライバシーの観点から議論となった。
4.王室の系図が作品の題材として使われることもあるため、事前に目を通しておくだけで数倍楽しめる気がする。
5.母親が誰かに注目した女系図を中心に考えると、本来権力を持つはずだった子孫が途絶えていたりする。
6.有名人の家系図をドキュメンタリー風にさかのぼる番組を見ていたらどんどん引き込まれ、自分の家系図も調べてみたくなった。
7.父親は自身のルーツを辿るべく古い家族の系図を探して、その家族の歴史を調べ始めた。
8.この系図によると、同級生の女の子と僕は遠いところで親戚関係にあるらしい。
9.この時代は成金の系図買いが横行していたので、無理やり名家の出という風にしたのかもしれません。
10.うちの和菓子屋が数百年続いている証拠としては、江戸時代に書かれた系図が残っており、それに載っているのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、血族のつながりや一つの宗派のつながりを意味する時などが挙げられます。

例文2の「絵系図」とは、名前と共に肖像画が描かれている系図のことで、中世から近世にかけての日本で作られていたものです。信者の名前を記すのに仏寺で使われるようになった名帳を共に使われていました。

系譜と系図どちらを使うか迷った場合は、続柄以外にも様々な情報が記載されている記録を表す場合には「系譜」を、続柄のみが記載されている記録を表す場合は「系図」を使うと覚えておけば間違いありません。

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