似た意味を持つ「風潮」(読み方:ふうちょう)と「風習」(読み方:ふうしゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「風潮」と「風習」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
風潮と風習の違い
風潮と風習の意味の違い
風潮と風習の違いを分かりやすく言うと、風潮とは世のありさまを意味し、風習とは昔からの行事や習慣を意味するという違いです。
風潮と風習の使い方の違い
一つ目の風潮を使った分かりやすい例としては、「その時代の風潮」「自由主義を支持する風潮がある時代だった」「なんでも国産を有難がる風潮がある」「震災以降は原発反対の風潮が高まっている」などがあります。
二つ目の風習を使った分かりやすい例としては、「昔からの風習を伝えたい」「お盆には灯籠を流す風習がある」「お中元の風習は廃れつつある」「子供たちが好きなお正月の風習はお年玉だ」などがあります。
風潮と風習という言葉は、どちらも「風」という共通する漢字があり、似ている言葉なのですが、意味は大きく異なります。風潮は時代の推移に伴って変わる世の中のありさまを意味しており、風習は土地や国に伝わる生活や行事などの習わしを意味しています。
二つの言葉が表す範囲や内容には違いがあります。風潮は、社会や世の中など大きな範囲に対して使われ、考え方や雰囲気など抽象的なものを表すことが多い言葉です。風習は、地域や地方など比較的小さな範囲に対して使われ、行事や行動様式など具体的なものを表すことが多い言葉です。
風潮と風習の英語表記の違い
風潮を英語にすると「trend」となり、例えば上記の「その時代の風潮」を英語にすると「trend of the times」となります。一方、風習を英語にすると「custom」「habit」となり、例えば上記の「昔からの風習」を英語にすると「traditional custom」となります。
風潮の意味
風潮とは
風潮とは、時代の推移に伴って変わる世の中のありさまを意味しています。
その他にも、風によって起こる潮の流れの意味も持っています。
表現方法は「風潮が高まる」「風潮がある」「世の中の風潮」
「風潮が高まる」「風潮がある」「世の中の風潮」「会社の風潮」「社会の風潮」などが、風潮を使った一般的な表現方法です。
風潮の使い方
「昨今は環境保全の風潮が高まっている」「自由を大事にする風潮がある」「トップダウンの風潮が強い企業」「世間の風潮に逆らう」などの文中で使われている風潮は、「時代の推移に伴って変わる世の中のありさま」の意味で使われています。
一方、「風潮によって釣り場を変える」「船は風潮に逆らって進んだ」などの文中で使われている風潮は、「風によって起こる潮の流れ」の意味で使われています。
風潮の読み方
「風潮」は「ふうちょう」と読み、「世の中のありさま」と「風によって起こる潮の流れ」の二つの意味があります。「かざしお」と読むと、「台風などの強風によって起こる高潮」を意味する別の語句になるので注意しましょう。
風潮は世の中の動向や傾向を表す
風潮という言葉は、上記の例のように二つの意味を持っているのですが、一般的に使われるのは、「世の中のありさま」の意味です。「世の中のありさま」の意味は、日常生活やビジネスシーンなど幅広い範囲で使われています。
風潮という言葉は、世の中の動向や傾向を表します。上記の例の「自由を重んじる風潮」のように、はっきりとした事象だけでなく考え方や雰囲気を表すことが多い言葉です。また、「トップダウンの風潮が強い企業」のように、ある集団や組織での動向や傾向も表します。
風潮の類語
風潮の類語・類義語としては、潮の流れや時代の傾向を意味する「潮流」、その時代の社会一般の思想の傾向を意味する「時流」、社会などの全体の流れを意味する「趨勢」(読み方:すうせい)などがあります。
風潮の潮の字を使った別の言葉としては、ある時代の支配的な思想の傾向を意味する「思潮」、潮が引いて海水面が最も低くなる現象を意味する「干潮」などがあります。
風習の意味
風習とは
風習とは、その土地や国に伝わる生活や行事などの習わしを意味しています。
表現方法は「風習がある」「風習が残る」「風習に倣う」
「風習がある」「風習が残る」「風習に倣う」などが、風習を使った一般的な言い回しです。
風習の使い方
風習を使った分かりやすい例としては、「5月5日に菖蒲湯に入る風習がある」「海女ならではの風習や信仰がある」「イギリスに古くから伝わる風習」「年賀状という風習が廃れつつある」「少数民族に残る奇妙な風習」などがあります。
その他にも、「地方によってお通夜の風習が違う」「一歳の誕生日に一生餅を背負う風習がある」「欧米文化を強引に日本で風習化しようとした」「長い会議はこの会社の悪しき風習だ」などがあります。
風習の由来
風習という言葉は、「風俗習慣」を縮めた言葉であり、ある地域や集団において長年に渡り行われてきた行事や習わしを意味します。上記の例にあるように、5月5日に菖蒲湯に入ることや、お正月の年賀状、一歳の誕生日に一生餅を背負うなどが風習にあたります。
風習という言葉は、ある地域や集団の行為に対して使われ、個人に対して使われることはありません。個人の長年に渡り行われる行為は「習慣」と表現します。
風習の類語
風習の類語・類義語としては、生活上の習わしやしきたりを意味する「風俗」、人々のあいだで行われる物事のやり方を意味する「習慣」、ある社会で伝わっている風俗や習慣を意味する「習俗」などがあります。
風習の習の字を使った別の言葉としては、後天的に性質となったものを意味する「習性」、悪い風習や習慣を意味する「悪習」などがあります。
風潮の例文
この言葉がよく使われる場面としては、世の中のありさまや、風によって起こる潮の流れを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4で使われる風潮は、時代の推移に伴って変わる世の中のありさまを意味します。例文2や例文3にある「風潮が高まる」とは、その時の考え方や雰囲気の傾向が強まったことを表す表現です。例文5の風潮は、風によって起こる潮の流れを意味します。
風習の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その土地や国に伝わる生活や行事などの習わしを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある風習と文化は、どちらも生活様式や習わしを意味します。この場合、風習は地域などの比較的狭いエリアに使われ、文化は国などの比較的広いエリアに使われます。例文4にある「風習に倣う」とは、習わしの通りにすることを意味します。
風潮と風習どちらを使うか迷った場合は、世の中のありさまを表す場合には「風潮」を、昔からの行事や習慣を表す場合は「風習」を使うと覚えておけば間違いありません。