似た意味を持つ「飽和状態」(読み方:ほうわじょうたい)と「満杯」(読み方:まんぱい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「飽和状態」と「満杯」という言葉は、どちらも「最大限まで満ちていること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
飽和状態と満杯の違い
飽和状態と満杯の意味の違い
飽和状態と満杯の違いを分かりやすく言うと、飽和状態とは化学やビジネスの分野で使われることが多く、満杯とは日常生活で使われることが多いという違いです。
飽和状態と満杯の使い方の違い
一つ目の飽和状態を使った分かりやすい例としては、「飽和状態にある蒸気に圧力をかける」「物質が溶ける限り溶けた状態を飽和状態という」「飽和状態の市場でビジネス展開は出来ない」「首都圏の病床が飽和状態になっている」などがあります。
二つ目の満杯を使った分かりやすい例としては、「冷凍庫はアイスクリームで満杯です」「満杯になる前にこまめに捨ててください」「避難所はすでに満杯になってしまった」「会場が満杯になるほどの盛況ぶりです」「今週のスケジュールは満杯だ」などがあります。
飽和状態と満杯の使い分け方
飽和状態と満杯という言葉は、どちらも「余地が無いくらいまでいっぱいに満ちていること」を表し、ほぼ同じ意味を持ちますが、使い方には違いがあります。
飽和状態とは、含めることのできる最大限度に達している状態であり、それ以上余地のないことを意味します。「飽和状態にある蒸気」のように化学分野で用いられる一方、「飽和状態の市場」のようにビジネスシーンで用いられる言葉です。
満杯とは、容器がいっぱいになり、それ以上入らないことを意味します。また、「避難所はすでに満杯」のように、収容できる人員がいっぱいになることや、「スケジュールは満杯」のように予定した数量に達することも意味します。
つまり、飽和状態と満杯は使われる分野が異なります。飽和状態は化学分野やビジネスシーンで使われることが多く、満杯は日常生活で使われることが多い言葉なのです。
飽和状態と満杯の英語表記の違い
飽和状態を英語にすると「saturated state」「saturated state」となり、例えば上記の「飽和状態にある蒸気」を英語にすると「steam at a state of saturation」となります。
一方、満杯を英語にすると「full」「brimming」となり、例えば上記の「冷凍庫は満杯です」を英語にすると「the freezer is full」となります。
飽和状態の意味
飽和状態とは
飽和状態とは、最大限に達している状態を意味しています。
表現方法は「気持ちが飽和状態」「飽和状態になる」「飽和状態にある」
「気持ちが飽和状態」「飽和状態になる」「飽和状態にある」などが、飽和状態を使った一般的な言い回しです。
飽和状態の使い方
飽和状態を使った分かりやすい例としては、「飽和状態の国内市場ではなく海外でビジネスチャンスを掴む」「いまの日本で飽和状態の職業は何だろう」「コンビニ業界は飽和状態だと言われています」「飽和状態の市場で需要を生み出す」などがあります。
その他にも、「温度を下げると飽和状態となり結露が生じる」「飽和状態での出力電圧と電源電圧の関係をグラフにする」「湿度が高いとすぐに飽和状態になりますか」「微量ガスの化学反応により飽和状態になった」などがあります。
飽和状態の「飽和」とは、最大限度まで満たすことや、最大限度まで満たされていて、それ以上余地のないことです。飽和状態とは、最大限に達しており、それ以上余地のないありさまを意味する言葉です。
理科や化学の分野の飽和状態
飽和状態という言葉は、理科や化学の分野では、ある物質が他の物質に限界まで溶けていることを表します。また、ビジネスや市場における飽和状態とは、人手や商品などがあり余っている状態を表します。
飽和状態の対義語
飽和状態の対義語・反対語としては、内部に物のないことを意味する「空」、飽和に達していない状態を意味する「不飽和」、足りないことや十分でないことを意味する「不足」、足りないところのあることを意味する「不十分」などがあります。
飽和状態の類語
飽和状態の類語・類義語としては、液体が入れ物にいっぱいで揺れ動くことを意味する「だぶつく」、満ち足りて不足のないさまや充実して完全であるさまを意味する「十分」、限度いっぱいであるさまを意味する「フル」などがあります。
満杯の意味
満杯とは
満杯とは、容器がいっぱいになることを意味しています。
その他にも、「収容できる人員がいっぱいになること、予定した数量に達すること」の意味も持っています。
表現方法は「満杯になる」「満杯です」「満杯である」
「満杯になる」「満杯です」「満杯である」などが、満杯を使った一般的な言い回しです。
満杯の使い方
「バケツが満杯になるまで水を入れてください」「葡萄酒で満杯の壺があります」「汚染水の貯蔵タンクはほぼ満杯の状態だ」などの文中で使われている満杯は、「容器がいっぱいになること」の意味で使われています。
一方、「英語の幼児クラスは満杯になるほどの人気ぶりです」「親戚の子で座席を満杯にしてドライブに行く前にガソリンを満タンに入れる」「ストレージの容量が満杯だ」などの文中で使われている満杯は、「収容できる人員がいっぱいになること、予定した数量に達すること」の意味で使われています。
満杯は「満盃」とも書ける
満杯は「満盃」とも書きますが、常用漢字を用いた「満杯」と表記することが一般的です。
満杯の「満」は訓読みで「みちる」と読み、一定の数量や期限に達することを表します。「杯」は訓読みで「さかずき」と読み、酒を入れて飲む器を表します。満杯とは、入れ物がいっぱいでそれ以上入らないことを意味する言葉です。また、ある空間や場所が人や物で満ちていることも表します。
満杯の対義語
満杯の対義語・反対語としては、中に何も入っていないことを意味する「空っぽ」、中に何もなくて広々していることを意味する「がらんどう」、内部がからであることを意味する「うつろ」などがあります。
満杯の類語
満杯の類語・類義語としては、容器や場所などに物が満ちているさまを意味する「一杯」、燃料などが容量の限度まで入っていることを意味する「満タン」、新聞や雑誌に読み物などをいっぱい載せることを意味する「満載」、一定の空間などにいっぱいに満ちることを意味する「充満」などがあります。
飽和状態の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物質が溶解度まで溶けていること、最大限度に達している状態を表現したい時などが挙げられます。
例文1の文中にある飽和状態は、物質が溶解度まで溶けている状態を意味します。例文5にある「気持ちが飽和状態」とは、ある事柄しか考えられなくなっており、少しの余裕もないさまを表しています。
満杯の例文
この言葉がよく使われる場面としては、容器がいっぱいでそれ以上入らないこと、人や物が収容していっぱいになること、予定した数量に達することを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある満杯は、容器がいっぱいでそれ以上入らないことの意味で用いられています。例文2から例文5の満杯は、人や物が収容していっぱいになること、予定した数量に達することの意味で用いられています。
飽和状態と満杯という言葉は、どちらも「人や物で満ちていること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、化学やビジネスの分野で満ちていることを表現したい時は「飽和状態」を、日常生活で満ちていることを表現したい時は「満杯」を使うようにしましょう。