似た意味を持つ「語彙力」(読み方:ごいりょく)と「語弊力」(読み方:ごへいりょく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「語彙力」と「語弊力」という言葉は、どちらも言葉に関する能力であるという共通点があり、本来の意味は違いますが混同して使われる傾向があります。
語彙力と語弊力の違い
語彙力と語弊力の意味の違い
語彙力(ごいりょく)と語弊力(ごへいりょく)の違いを分かりやすく言うと、言葉の知識が乏しいことを意味しているのか、誤解を招く言葉を使っているのかの違いです。
語弊力は間違いで語彙力は正しい日本語
しかし、一般的には「語弊力」という言葉は存在しません。漢字の成り立ちが似ていることから、語彙力のことを間違えて「語弊力」として使っている人がほとんどです。
語彙と語弊の意味の違い
語彙力の「語彙」という言葉を考えてみます。この語彙という言葉は、言語を表す「語」という字に、集める、集まるという意味を持つ「彙」という字を組み合わせて出来たものです。
つまり、言語を集めるという意味があり、語彙力が高いというのは、言語を集める能力に長けていると言い換えることが出来ます。語彙力とは、その人の持っている言葉の知識が豊富であり、同時にその知識を使いこなす能力が高いことを意味しています。
次に、語弊力の「語弊」という言葉を考えてみます。この語弊という言葉は、語彙と同じく言語を表す「語」という字に、害になる、よろしくないという意味を持つ「弊」という字を組み合わせて出来たものです。
語弊とは、言葉の使い方が適切でなかったために、害になっている、よろしくないという意味があります。誤解を招くような言い方をしてしまったことを謝罪するような場面で「語弊があり、申し訳ありませんでした」などと使うことが多いです。
「語彙力が低い」と「語弊力が低い」の違い
言葉の意味から考えると、「語弊力」という能力は「言葉の使い方が不適切で、誤解を招く力」という意味になります。語弊力という言葉はよく、「語彙力が低い」という表現と混同されて「語弊力が低い」という風に使われています。
しかし、語弊というのは「誤解」とも言い換えられる言葉ですので「語弊力が低い」「語弊力がない」というのは、誤解を与える能力が低いということになり、良い意味だということになります。
本来の「語彙力が低い」という言葉は「言語能力に自信がない」という謙虚さを持つ意味合いがありますが、「語弊力が低い」と書いてしまうと言語力に自信があるような含みを持ってしまい、真逆の意味になってしまいます。
語彙力と語弊力の使い分け方
「語彙力」という言葉はあっても「語弊力」という言葉は存在しないことを覚えておきましょう。同時に「語弊」という単語の意味についても「言葉の使い方が適切でなく、誤解を招きやすい言い方である」と覚えておくようにしましょう。
語彙力の英語表記
語彙力を英語にすると「vocabulary」(ボキャブラリー)となり、例えば上記の「語弊力が低い」を英語にすると「Poor vocabulary」となります。
語彙力の意味
語彙力とは
語彙力とは、言葉の知識量や言語能力のことを意味しています。
語彙力の使い方
語彙力を使った分かりやすい例としては、「ライターの仕事には語彙力は必要不可欠」「子供の語彙力低下が問題となっている」「語彙力を鍛えるゲームが面白い」「この教室では英語の語彙力強化ができる」「語彙力をつけるメリットは表現力が上がることだ」などがあります。
表現方法は「語彙力が高い」「語彙力が低い」「語彙力が乏しい」
語彙力は、一般的に「語彙力が高い」または「語彙力が低い」「語彙力が乏しい」などと表現され、言語能力に長けているかどうかを表す言葉です。言葉をよく知っていて、知識が豊富な人を「語彙力の高い人」と呼んだりします。
語彙力とは、日本語に関する知識だけに留まらず、外国語などが流暢に話せる人や、多国語を話せる人などを指しても「語彙力が高い」などと表現することがあります。
言葉という分野において、知識が豊富であり、その知識を上手に活用できる人に対して「語彙力が高い」と表現すると覚えておくと良いでしょう。
語彙力の類語
語彙力という言葉にある「彙」という字を使用した熟語としては、漢字を類別して集め、用法などを解説した書物を意味する「字彙」、いろいろな事柄を集めて説明した辞典を意味する「事彙」などがあります。
語弊力の意味
語弊力とは
語弊力とは、語彙力の間違った使われ方です。
語弊力という言葉は存在せず、間違った言葉として広まっています。漢字の成り立ちが似ているために「語彙力」と混同して使われたことから広まった言葉です。
表現方法は「語弊を招く」「語弊がある」「語弊を恐れず」
「語弊を招く」「語弊がある」「語弊を恐れず」などが、語弊を使った正しい言い回しです。紛らわしいのですが「語弊を生む」は間違った使い方となり、この場合は「語弊がある」が正しい使い方となります。
「語弊のないように心掛ける」の意味
例えば「語弊のないように心掛ける」という使い方をした場合、これは「誤解が生じないように気を付ける」という意味になります。
語弊の意味
語弊とは、言葉の使い方が適切ではなく誤解を招くような言い方をすることや、その誤解のせいで起こってしまった害のことを指します。語弊は少ない方が良く、語弊力という言葉をあえて使うとすれば、語弊力は低い方が良いということになります。
どうしても、あえて「語弊力」という言葉を使いたい場合は、語弊という言葉の意味を理解した上で、正しく使うようにしましょう。ただし、使用する際には、相手に語弊を与えないように気を付けることが大切です。
語弊の類語
語弊力という言葉にある「弊」という字を使用した熟語としては、他に悪い影響を与える物事を意味する「弊害」、古い習慣や制度などによる害を意味する「旧弊」、心身が疲れて弱っていることを意味する「疲弊」などがあります。
語彙力の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の言語能力について表現する時などが挙げられます。
「語彙力が低い」などと表現される場合は、自分の言語能力について悲観的に捉えていたり、自分の言葉の能力を控えめに評価しているような意味を持ちます。
語彙力については、語彙力が「ある・ない」または語彙力が「高い・低い」などと表現されます。基本的には、語彙力がある、語彙力が高い人ほど国語的能力が優秀であるという意味を持ちます。
この言葉は、自身に対して使う場合は謙遜などの意味も含まれるので問題ありませんが、他人に対して「語彙力が低い」などと使うのは、相手を傷つけてしまう可能性があるので注意が必要です。
語弊力の例文
この言葉がよく使われる場面としては、語彙力という言葉と間違えて語弊力としている時などが挙げられます。
語弊力という言葉は、広く使われている言葉ではなく、語彙力を間違えて使っている可能性が高い言葉です。語弊という言葉の意味を理解した上で、あえて使っている場合以外は、語弊力ではなく、語彙力とするのが正しい使い方です。
語弊というのは、誤解を招くような言葉の使い方のことを指し、語弊は少ない方が良いとされます。あえて語弊力と使うような場合は「語弊力が低い」というのは良い意味となりますので、語彙力の場合と混同しないように注意しましょう。