【臭覚】と【嗅覚】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「臭覚」(読み方:しゅうかく)と「嗅覚」(読み方:きゅうかく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「臭覚」と「嗅覚」という言葉は、においを感じる感覚を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




臭覚と嗅覚の違い

臭覚と嗅覚の意味の違い

臭覚と嗅覚の違いを分かりやすく言うと、臭覚は口語的に使われ、嗅覚は専門的にも口語的にも使われるという違いです。

臭覚と嗅覚の使い方の違い

一つ目の臭覚を使った分かりやすい例としては、「においが感じられず臭覚異常を疑った」「臭覚過敏症かもしれない」「臭覚が鋭い友人に会う時はにおいに気を遣う」「臭覚の衰えを感じる」などがあります。

二つ目の嗅覚を使った分かりやすい例としては、「嗅覚過敏症で日常生活もままならない」「嗅覚の感度が一時的に低下した」「嗅覚疲労と診断された」「嗅覚の役割の一つに異常事態から身を守ることがある」などがあります。

臭覚と嗅覚は同義語

臭覚と嗅覚という言葉は、においを感じる感覚を意味する同義語です。同じ意味を持つ言葉ですが、生物学用語や医学用語としては嗅覚を使います。臭覚は、生物用語以外の話し言葉や口語表現として使われています。

においに関する病名で使われる言葉は、嗅覚です。「嗅覚過敏症」「呼吸性嗅覚障害」「末梢性嗅覚障害」などがあります。上記の例の「臭覚過敏症」は、正しくは「嗅覚過敏症」と表現します。話し言葉として通用しますが、正しく表現したい時は嗅覚を使いましょう。

臭覚と嗅覚の英語表記

臭覚も嗅覚も英語にすると「sense of smell」「olfaction」となり、例えば上記の「嗅覚過敏症」を英語にすると「olfactory hyperesthesia」となります。

臭覚の意味

臭覚とは

臭覚とは、においを感じる感覚を意味しています。

臭覚の使い方

臭覚を使った分かりやすい例としては、「臭覚がないことに気づく」「父は臭覚が鈍いようだ」「臭覚と認知症は関係あるのだろうか」「臭覚を取り戻す漢方薬を試してみる」「何を食べたか当てられるほど臭覚が鋭い」などがあります。

その他にも、「臭覚障害は手術では治らないのかな」「臭覚治療の名医を紹介して欲しい」「この臭覚を生かした仕事に就きたい」「臭覚は主観的な食味を増強するらしい」「臭覚が鋭いのが私の自慢です」などがあります。

臭覚という言葉は、においを感じる感覚を意味し、日常生活において馴染みのある言葉のはずです。ただし、臭覚は口語表現であり、生物学用語や医学用語には使われません。よって、上記の例の「臭覚障害」「臭覚治療」は通用するのですが、正しくは「嗅覚障害」「嗅覚治療」と表現します。

表現方法は「臭覚が鈍い」「臭覚が鋭い」

臭覚に関する言い回しには、においをあまり感じないことを意味する「臭覚が鈍い」、においを敏感に感じ取ることを意味する「臭覚が鋭い」があります。

臭覚の類語

臭覚の臭の字を使った別の言葉としては、不快感を催すようなにおいを意味する「悪臭」、くさいにおいを意味する「臭気」、人に不快感を与えるにおいを意味する「臭味」 などがあります。

嗅覚の意味

嗅覚とは

嗅覚とは、においを感じる感覚を意味しています。

表現方法は「嗅覚がいい」「嗅覚が鋭い」「嗅覚が鈍くなった」

「嗅覚がいい」「嗅覚が鋭い」「嗅覚が鈍くなった」などが、嗅覚を使った一般的な言い回しです。

嗅覚の使い方

嗅覚を使った分かりやすい例としては、「鋭い嗅覚や聴覚を持つ警察犬」「嗅覚検査ができるか問い合わせた」「嗅覚障害の特効薬はあるのか」「嗅覚障害がこんな簡単な事でにおいが戻った」などがあります。

その他にも、「毎日、嗅覚訓練のために通院している」「飛びぬけた嗅覚をもつソムリエ」「昆虫の嗅覚機能が究明された」「嗅覚刺激療法を試してみる」「病院で嗅覚検査を受ける」などがあります。

嗅覚は五感のひとつ

動物や人が外界の状態を認識する感覚は五つあり、五感と言います。においを感じる感覚も、その一つであり、「嗅覚」と表現します。五感には、嗅覚のほか、味覚、視覚、触覚、聴覚があります。においを感じる五感のひとつは、臭覚ではなく嗅覚と言います。

「嗅覚障害」の意味

嗅覚を用いた日本語には、「嗅覚障害」があり、においが判らなくなったり、においの感じ方が変わったりする状態を表します。この他にも、においを感じる感覚の疾病名には、臭覚ではなく嗅覚が用いられています。

このように、嗅覚という言葉は、生物学用語や医学用語に使われます。また、上記の例のように「飛びぬけた嗅覚」など口語表現でも使えるため、日常生活からビジネスシーンまで幅広い場面で多用されています。

嗅覚の類語

嗅覚の嗅の字を使った別の言葉としては、匂いの刺激を中枢に伝える神経を意味する「嗅神経」、鼻からかがせて意識を回復させる薬を意味する「嗅剤」などがあります。

臭覚の例文

1.ある日突然、臭覚がないことに気づき、焦りと恐怖を感じた。
2.臭覚異常があれば、新型コロナが疑われるご時世だ。
3.臭覚と嗅覚の意味に違いはなく、臭覚は話し言葉で使われることが多い。
4.医師に「臭覚過敏症ですね?」と確認したら、「嗅覚過敏症だ」と言われた。
5.アロマテラピーは、臭覚からの視点でストレスを緩和する手軽なケアだ。
6.昨今は柔軟剤の過剰な香りによって体調不良になるなどの臭覚にまつわる公害がクローズアップされつつある。
7.私の友達は遠く離れていても食べ物の匂いをすぐに嗅ぎつけるのでやはり臭覚が鋭いのではないかと思う。
8.あるIT企業では香りで人々を癒やしたり楽しんだりする臭覚のエンターテイメントを実現するべく大学と共同で研究開発しているそうだ。
9.臭覚がやられたのか、漏れたガスの臭いに気づかなかった。
10.香道なんてものをたしなんでいる人は、やはり人より臭覚が鋭いのだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、においを感じる感覚を表現したい時などが挙げられます。

例文4にあるように、医療の場では臭覚ではなく嗅覚と表現します。臭覚は、例文1や2のように、日常生活の話し言葉として使われる言葉です。例文5にある「臭覚からの視点」とは、においを感じる感覚から考えたことを表しています。

嗅覚の例文

1.嗅覚障害の原因には、副鼻腔炎や頭部外傷や感冒性ウイルスなどあるが、特定が難しいケースもある。
2.臭いを感じない嗅覚障害は、想像以上に味気なく困った状態になるという。
3.嗅覚過敏の私には、お隣のベランダに干してある洗濯物の柔軟剤の香りも辛く感じる。
4.新型コロナの症状として、嗅覚異常や味覚異常が挙げられる。
5.嗅覚障害の原因は、精神的ストレスによるケースもある。
6.副鼻腔炎から回復してコーヒーの香りを知覚出来た時は、嗅覚の有り難さが身にしみた。
7.彼は警察官なのだが、生まれつき嗅覚がずば抜けて優れているので事件捜査でも警察犬に負けないくらいの成果を上げているそうだ。
8.嗅覚に自信のある人は臭気判定士という国家資格があるそうなので挑戦してみてはどうだろうか。
9.犬の嗅覚は人間よりはるかに優れているというが刺激臭なら人の1億倍と言われているので驚きだ。
10.嗅覚がおかしいと感じるなら食べ物もおいしさが分かりにくくなるし、生活上も困ることが出来てくるので早めに病院に行って検査をしてもらい、原因を突き止めてもらおう。

この言葉がよく使われる場面としては、においを感じる感覚を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、においを感じる感覚は、生物学用語や医療用語では嗅覚と表現します。例文3にある「嗅覚過敏」とは、何らかの原因によって嗅覚が異常に敏感になるような状態を意味します。

臭覚と嗅覚は同じ意味を持つ言葉ですが、臭覚は生物学や医療用語には使えず、嗅覚のほうが幅広いシーンで使うことができます。臭覚と嗅覚のどちらを使えば良いのか迷ったら、嗅覚の方を使っておけば間違いありません。

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