似た意味を持つ「辣腕」(読み方:らつわん)と「敏腕」(読み方:びんわん)と「凄腕」(読み方:すごうで)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「辣腕」と「敏腕」と「凄腕」という言葉は、能力が優れているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
辣腕と敏腕と凄腕の違い
辣腕と敏腕と凄腕の意味の違い
辣腕と敏腕と凄腕の違いを分かりやすく言うと、辣腕は正確な処理能力を表現する時に使い、敏腕は正確にすばやい処理能力を表現する時に使い、凄腕はずば抜けた能力を表現する時に使うという違いです。
この三つの言葉を能力が高い順に並べた場合、凄腕>敏腕>辣腕の順になります。どの言葉にも「マネージャー」という言葉と共に使うことが出来ますが、それぞれ意味が若干異なります。
「凄腕マネージャー」の意味
一つ目の凄腕の凄には、すさまじい、はなはだしいといった意味があります。そのため、人並外れた能力があることを意味します。
「凄腕マネージャー」という表現をした場合、仕事の処理能力だけではなく、他の面でも普通は出来ないようなことをやってのけるマネージャーであることを意味します。
「敏腕なマネージャー」の意味
二つ目の敏腕の敏には、すばやい、賢いといった意味があります。そのため、物事をすばやく処理することができる能力があることを意味します。
「敏腕なマネージャー」という表現をした場合、処理能力が優れているマネージャーであることを意味します。
「辣腕のマネージャー」の意味
三つ目の辣腕の辣には、厳しい、激しい、むごいといった意味があります。そのため、解決能力はありますが、やり方が多少乱暴であったりするため、他に与える影響も少なからずあることを意味します。
「辣腕のマネージャー」という表現をした場合、多少やり方が乱暴であったり他者をやや傷つけることとなったりしても職務を完遂するためであれば強引に進めるような意味を含みます。この言葉のニュアンスが辣腕、敏腕、凄腕の明確な違いです。
また、凄腕には「優れた能力の持ち主」という意味が含まれていますが、辣腕と敏腕には優れた能力があることやその様子を表す意味しかありません。
そのため、「彼女は凄腕である」という表現をすることができますが、「有名なアーティストは辣腕である」「あの芸人は敏腕だ」といった表現をすることはできません。
辣腕の意味
辣腕とは
辣腕とは、物事を躊躇することなく的確に処理する能力があることを意味しています。
表現方法は「辣腕を振るう」「辣腕家」「辣腕弁護士」
「辣腕を振るう」「辣腕家」「辣腕弁護士」などが、辣腕を使った一般的な表現方法です。
辣腕の読み方
辣腕の読み方は「らつわん」です。辣腕の辣は「辣油」(読み方:らーゆ)ような読み方もできますが間違えないようにしましょう。
辣腕家の意味
辣腕を使った言葉として「辣腕家」があります。辣腕な人や物事を処理する際に躊躇しない人を意味する言葉です。
辣腕の類語
辣腕の類語・類義語としては、腕っぷしが強いことや自分の考えを強引に押し通す力を意味する「剛腕」、腕前のある人を意味する「やり手」、頭の回転が速く物事をてきぱきと処理する才能のある人を意味する「切れ者」などがあります。
辣腕の辣の字を使った別の言葉としては、言うことや他に与える批評が極めて厳しい様子を意味する「辛辣」、たちが悪く情け容赦もなく、あくどいことやその様子を意味する「悪辣」などがあります。
敏腕の意味
敏腕とは
敏腕とは、物事を正確にすばやく処理する能力があることを意味しています。
表現方法は「敏腕プロデューサー」「敏腕カメラマン」
「敏腕プロデューサー」「敏腕カメラマン」などが、敏腕を使った一般的な表現方法です。
敏腕の読み方
敏腕の読み方は「びんわん」です。敏腕の敏は「さとい」や「とし」とも読むことがありますが間違えないようにしましょう。
敏腕家の意味
敏腕を使った言葉として「敏腕家」があります。敏腕な人や技能が優れている人を意味する言葉です。
敏腕の対義語
敏腕の対義語・反対語としては、物事を処理する能力が劣ることや腕前がにぶいことを意味する「鈍腕」(読み方:どんわん)があります。
敏腕の類語
敏腕の類語・類義語としては、才能のあることを意味する「有能」、便利で役に立つことや便利な者として常に使うことを意味する「重宝」、目的は果たすのに都合の良いことを意味する「便利」、技能が優れていることを意味する「腕利き」などがあります。
敏腕の敏の字を使った別の言葉としては、頭の働きや行動のすばやいことを意味する「敏活」、感覚などの鋭いことを意味する「鋭敏」、反応や行動のすばやいことを意味する「敏速」、判断や行動がすばやいことを意味する「俊敏」などがあります。
凄腕の意味
凄腕とは
凄腕とは、普通にはできないようなことをやってのける手腕を意味しています。
表現方法は「凄腕の持ち主」「凄腕の上司」
「凄腕の持ち主」「凄腕の上司」などが、凄腕を使った一般的な表現方法です。
凄腕の読み方
凄腕の読み方は「すごうで」です。凄腕の凄は「せい」や「すさまじい」「さむい」とも読みますが間違えないようにしましょう。
凄腕の類語
凄腕の類語・類義語としては、策略を立てることが上手い人を意味する「策士」、深く物事の道理に通じた人を意味する「達人」腕力や技能の優れていることを意味する「腕達者」、手慣れていてたくみなことを意味する「巧者」などがあります。
凄腕の凄の字を使った別の言葉としては、非常にすさまじいことを意味する「凄絶」(読み方:せいぜつ)、すさまじくて激しい様子を意味する「凄烈」(読み方:せいれつ)などがあります。
辣腕の例文
この言葉がよく使われる場面としては、多少やり方は厳しいが能力が優れていることを意味する時などが挙げられます。
例文3の「辣腕の騎士」という表現は「辣腕な騎士」という表現でも間違いではありません。どちらも優れた騎士であることを意味します。
敏腕の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の処理能力がすばやく優秀であることを意味する時などが挙げられます。
例文3の「敏腕な弁護士」という表現は「敏腕の弁護士」という表現でも問題ありません。どちらも物事の処理能力が早く優れている弁護士であることを意味します。
凄腕の例文
この言葉がよく使われる場面としては、能力がずば抜けていて、普通の人にはできないことができることを意味する時などが挙げられます。
例文3の「凄腕」は、普通にはできないようなことをやってのける手腕の持ち主を意味する使い方です。そのため、辣腕や敏腕で同じような使い方をすることはできません。
辣腕と敏腕と凄腕どれを使うか迷った場合は、乱暴ではあれど優れている状態を表す場合には「辣腕」を、物事の処理能力が早く優れている状態を表す場合は「敏腕」を、能力がずば抜けて優れている状態を表す場合は「凄腕」を使うと覚えておけば間違いありません。