似た意味を持つ「具体的」(読み方:ぐたいてき)と「抽象的」(読み方:ちゅうしょうてき)と「一般的」(読み方:いっぱんてき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どれを使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「具体的」と「抽象的」と「一般的」という言葉は、どれも物事の在り方を表すという共通点があり、本来の意味は違いますが混同して使われる傾向があります。
具体的と抽象的と一般的の違い
具体的と抽象的と一般的の意味の違い
具体的と抽象的と一般的の違いを分かりやすく言うと、「具体的」と「抽象的」は反対語の関係にあり、「一般的」は世間に認められているという意味の違いです。この三つの言葉は、どれも全く違う意味を持っていて状況に応じて使い分ける必要があります。
具体的と抽象的は反対語
まず、具体的という言葉を考えます。この言葉は、はっきりとした実体がある様子や、物事に適応していることを意味しています。これは、目に見えて形になっているもの、過不足なく説明できるものであると言い換えることも出来ます。
具体的の「具体」というのは、物事が直接的に知覚したり認識したり出来る形を備えていることを指します。「的」というのは、そういった性質を持ったものという意味です。つまり、具体的とは「物事が認識できる形を持っている状態」であると言えます。
この具体的という単語の反対語となるのが「抽象的」という言葉です。抽象的とは、頭の中などだけで考えていて、まだ直接知覚できるような状態にないもののことを言います。
具体的の反対語であり、形になっていない状態や、説得力に欠ける様子などを表しています。また、芸術の分野などでは、言葉で言い表すことの難しいもの、目に見えないものや精神的なものを描いた作品などを抽象的であると表現したりもします。
また、抽象的という言葉は、一部だけを切り取って見ているという意味も含まれています。なにかの物事を遠くからぼんやりと見つめ、全体像ではなく一部分だけをじっくり見ている状態を抽象的であると表現します。
一般的は世間に認められていること
最後に、一般的という言葉を考えます。一般的というのは、特殊な物事や場合ではなく、広く行き渡っているようなもののことを言います。広い範囲で認められているものであり、ありふれていると言い換えることも出来ます。
当たり前のこととして、広く世間一般に認められているもののことを「一般的」と表現するのだと覚えておくようにしましょう。一般的の反対語としては「奇抜」や「異色」などが挙げられます。
具体的の意味
具体的とは
具体的とは、はっきりした実体がある様子を示す言葉で、抽象的の反対語を意味しています。物事を説明する際などに使われることの多い言葉です。
具体的とは、物事が直接的に知覚したり認識したり出来る形を備えている状態のことを指します。他者に向かってなにかを説明したり、理解をしてもらう際には具体的であることが大切な要素のひとつになります。
また、具体的というのは、物事が個々に持っている事実によっているものであり、嘘や偽りがあってはいけないものです。はっきりとわかっている事実だけを具体的という言葉で表現することが出来ます。
表現方法は「具体的に説明する」「具体的に言えない」「具体的に書く」
「具体的に説明する」「具体的に言えない」「具体的に書く」「具体的な例」「具体的にする」「具体的には」などが、具体的を使った一般的な表現方法です。
具体的の使い方
具体的を使った分かりやすい例としては、「この内容が理解できないので、もう少し具体的に説明してください」「あまりにも複雑すぎて具体的に言えない」「具体的に書かかければお客様の心は掴めない」「自宅できる運動の具体的な例を挙げるとストレッチがあります」などがあります。
具体的の対義語
具体的の対義語・反対語は「抽象的」であり、似たような言葉としては「論理的」というような表現が挙げられます。
具体的の類義語
具体的の「具」という字を含む単語としては、はっきりした姿や形を備えていることを意味する「具象」、才能や性質などを備え持つことを意味する「具有」などがあります。
抽象的の意味
抽象的とは
抽象的とは、はっきりとした形になっていない状態にある様子を示す言葉で、具体的の反対語を意味しています。また、物事の一部分だけを切り取って見ている状態を抽象的と表現することもあります。
抽象的とは、物事を一面的な感覚でぼんやりと捉えているような意味を持ちます。形になっておらず、曖昧で説得力に欠ける様子などを示す言葉です。誰かに説明をしたり、説得をしたりする場面では、抽象的であることは良くないことであるとされます。
また、抽象的とは、物事を遠目にぼんやりと見ていることから、実際のあり様とは遠ざかっていたりすることもあります。具体的が事実だけを述べるのに対して、抽象的は事実とは違っている場合もあるということです。
しかし文学的、美術的な観点で考えた場合、抽象的というのは事物の性質などに着目して、必要な部分だけを抽出し、不要な部分を排除するという考え方のことを意味します。抽象的の「抽」という字は「抽出」の「抽」です。
抽象的な表現というのは、物事の一部だけを切り取り、他を排除するということなので、他者に何かを説明したり理解してもらう際には、抽象的でない方が良いとされると覚えておくようにしましょう。
表現方法は「抽象的な言葉」「抽象的な文章」「抽象的な話」
「抽象的な言葉」「抽象的な文章」「抽象的な話」「抽象的な質問」「抽象的な概念」「抽象的な表現」などが、抽象的を使った一般的な表現方法です。
抽象的の使い方
抽象的を使った分かりやすい例としては、「真実の愛ほど抽象的な言葉はない」「抽象的な言葉を並べられても理解できない」「採用時の面接官は抽象的な質問をあえてすることがあるらしい」「抽象的な質問に答えられないのは仕方がないことだ」などがあります。
抽象的の類語
抽象的の「抽」という字を含む単語としては、多くの中からある特定のものを抜き出すことを意味する「抽出」、机やたんすなどに取り付けて抜き差しができるようにした箱を意味する「抽斗」などがあります。
抽象的の「象」という字を含む単語としては、はっきりした姿や形を備えていることを意味する「具象」、表に現れている形を意味する「形象」、ある事情のもとで表面に現れた事柄を意味する「事象」などがあります。
一般的の意味
一般的とは
一般的とは、広い範囲で認められているもので、ありふれていることを意味しています。世間の大多数がそうであると認めていることを一般的と呼びます。
広く全体を取り上げる様子や、広く行き渡っている様子を示す時に一般的という言葉が使われます。
当たり前のこととされているものを「一般的」と呼び、これは「普遍的」と同じような意味を持ちます。
表現方法は「一般的に言うと」「一般的な考え」「ごく一般的」
「一般的に言うと」「一般的な考え」「ごく一般的」「一般的な傾向は」というように使われることの多い言葉です。
一般的の使い方
一般的を使った分かりやすい例としては、「世間一般的に言うとあなたの考えは変だ」「アメリカ人の一般的な考えでは、日本人は真面目だと言われている」「ごく一般的なカレーが食べたい」などがあります。
一般的の対義語
一般的の対義語・反対語としては「奇抜」や「異色」などの言葉が挙げられます。一部ではなく、広く認められているものについて一般的と表現するのだと覚えておくようにしましょう。
一般的の類語
一般的の類語・類義語としては、他の人と同じであることを意味する「人並み」、平凡であることを意味する「凡庸」、世間一般的なことを意味する「世俗的」、庶民の生活に合っている様子を意味する「庶民的」、一般大衆に受け入れられていることを意味する「大衆的」などがあります。
一般的の「般」という字を含む単語としては、いろいろの事柄や様々なことを意味する「諸般」、物事の全体を意味する「全般」、あらゆる方面の全ての事柄を意味する「万般」などがあります。
具体的の例文
この言葉がよく使われる場面としては、はっきりとした実体のある事柄について表現する時などが挙げられます。
実際に実行したい事柄について話し合う時や、仕事でのやり取りなどで「具体的」という言葉はよく使われます。例文5のように、誰かと約束をしたり待ち合わせをしたりする場合にも使われる言葉です。
抽象的の例文
この言葉がよく使われる場面としては、頭の中などだけで考えている事柄や、直接知覚出来ない状態のものについて表現する時などが挙げられます。
抽象的というのは、別の言い方をすれば「観念的」であるとも言えるものです。物事を遠目からぼんやりと見ていたり、物事の全体ではないく一部だけを切り取ってそこだけを見ていたりすることを抽象的な表現と呼びます。
また、芸術や文学の分野では、直接的に形を取れないもの、心の動きや精神的なものを表現する場合に、抽象的な作品であると表現することがあります。
一般的の例文
この言葉がよく使われる場面としては、広く行き渡っている物事について表現する時などが挙げられます。当たり前のこととして、世間に認められているものを「一般的」と呼びます。
一般的というのは、特殊な物事ではなく極めて多くの物事に当てはまる様子を意味しています。普遍的と同じような意味を持つ言葉であり、反対語としては「奇抜」や「異色」という言葉があると覚えておくようにしましょう。