似た意味を持つ「対岸の火事」(読み方:たいがんのかじ)と「明日は我が身」(読み方:あすはわがみ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「対岸の火事」と「明日は我が身」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「対岸の火事」と「明日は我が身」の違い
「対岸の火事」と「明日は我が身」の意味の違い
「対岸の火事」と「明日は我が身」の違いを分かりやすく言うと、「対岸の火事」とは自分とは関係ない他人事のこと、「明日は我が身」とはいつ自分にも降りかかる分からない他人事ではないことという違いです。
「対岸の火事」と「明日は我が身」の使い方の違い
一つ目の「対岸の火事」を使った分かりやすい例としては、「同僚が失敗した件は対岸の火事とは思えません」「彼らの喧嘩は対岸の火事なのでほっておくことにした」「核問題については日本も対岸の火事ではありません」などがあります。
二つ目の「明日は我が身」を使った分かりやすい例としては、「友人の失敗を明日は我が身と考えて」「こんな目に遭うとは思わなかった、まさに明日は我が身だ」などがあります。
「対岸の火事」と「明日は我が身」の使い分け方
「対岸の火事」と「明日は我が身」はどちらもことわざですが、どちらかというと対義語に近い言葉なので間違えないように注意しましょう。
「対岸の火事」は自分には関係がなく何のの苦痛もないこと、つまり他人事というニュアンスで使う言葉です。一方、「明日は我が身」は良くないことがいつ自分自身に降りかかかってくるか分からないこと、つまり他人事ではないことのニュアンスで使う言葉になります。
ただし、「対岸の火事」は「対岸の火事とは思えない」「対岸の火事とせず」と否定形にすることによって、他人事ではないという意味になり、「明日は我が身」と同じニュアンスで使うことが可能です。
「対岸の火事」と「明日は我が身」の英語表記の違い
「対岸の火事」を英語で直訳すると「fire on the opposite shore」となりますが、あまり使われていない表現です。そのため、近いニュアンスである「It’s nothing to do with me」「That’s somebody’s else problem」などを使うといいでしょう。
一方、「明日は我が身」を英語にすると少し長いですが、「What happens to one today may happen to another tomorrow」となります。
「対岸の火事」の意味
「対岸の火事」とは
「対岸の火事」とは、自分には関係がなく何のの苦痛もないことを意味しています。
「対岸の火事」の使い方
「対岸の火事」を使った分かりやすい例としては、「友人が結婚のことで悩んでいるのは対岸の火事とは思えない」「環境問題に関しては日本も対岸の火事とは言えないだろう」「同期がリストラされた件については対岸の火事とは言えない」などがあります。
「対岸の火事」とは自分には関係がなく何のの苦痛もないこと、つまり他人事というニュアンスで使うことわざです。
「対岸の火事」の語源
「対岸の火事」の「対岸」とは向こう側の岸のことを意味しており、向こう側の岸で起きている火事は、自分に被害をもたらすことがないので心配していないという意味が語源になっています。
これが転じて、自分には関係がなく何のの苦痛もないことを「対岸の火事」と言うようになりました。
「対岸の火事」は自分には関係ないという意味でもよく使いますが、「対岸の火事」を「対岸の火事では済まない」「対岸の火事とは思えない」「対岸の火事ではない」などの否定形にすることによって、他人事ではないという意味でもよく使われています。
「対岸の火事」の類語
「対岸の火事」の類語・類義語としては、自分には関係のないことを意味する「他人事」、関係がないことを意味する「無関係」、自分とは関係のないことを意味する「余所事」などがあります。
「明日は我が身」の意味
「明日は我が身」とは
「明日は我が身」とは、良くないことがいつ自分自身に降りかかかってくるか分からないことを意味しています。
「明日は我が身」の使い方
「明日は我が身」を使った分かりやすい例としては、「明日が我が身だということを心掛けて生活していく」「明日は我が身というし、自分が巻き込まれる可能性もあるので気をつけよう」「明日は我が身だという危機感を持って生きていく必要がある」などがあります。
「明日は我が身」は良くないことがいつ自分自身に降りかかかってくるか分からないこと、つまり他人事ではないというニュアンスで使うことわざです。
「明日は我が身」の語源
「明日は我が身」は語源がありそうな言葉ですが、実は語源が判明していないことわざになります。ただし、「今日は人の上、明日は我が身の上」ということわざが元になっているのは間違いないそうです。
また、「明日は我が身」は座右の銘としてよく使われています。座右の銘とは、いつも自分の身近に書き記して、自分の戒めとする言葉のことです。主に、慣用句やことわざなどの中から選ばれています。
他によく使われている座右の銘は、「思い立ったが吉日」「有言実行」「初志貫徹」「縁の下の力持ち」「石の上にも三年」「継続は力なり」「質実剛健」「天才とは努力する凡才のことである」などがあります。
「明日は我が身」の類語
「明日は我が身」の類語・類義語としては、他人の誤った行いを自分の行いの参考にすることを意味する「他山の石」、人の行いを見て自分の行動を正すことを意味する「人の振り見て我が振り直せ」などがあります。
「対岸の火事」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分には関係がなく何のの苦痛もないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2のように、「対岸の火事」を否定形にすることによって、他人事ではないというニュアンス使うことができます。
「明日は我が身」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、良くないことがいつ自分自身に降りかかかってくるか分からないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「明日は我が身」は他人事ではないことを表現したい時に使う言葉です。
「対岸の火事」と「明日は我が身」はどちらもことわざですが、意味は少し異なっています。
どちらの言葉を使うか迷った場合、自分には関係の他人事を表現したい時は「対岸の火事」、いつ自分にも降りかかる分からない他人事ではないことを表現したい時は「明日は我が身」を使うと覚えておきましょう。