似た意味を持つ「合縁奇縁」(読み方:あいえんきえん)と「一期一会」(読み方:いちごいちえ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「合縁奇縁」と「一期一会」という言葉は、どちらも「出会い」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
合縁奇縁と一期一会の違い
合縁奇縁と一期一会の意味の違い
合縁奇縁と一期一会の違いを分かりやすく言うと、合縁奇縁とは出会いや相性は因縁によることを表し、一期一会とは出会いを大切にすることを表すという違いです。
合縁奇縁と一期一会の使い方の違い
一つ目の合縁奇縁を使った分かりやすい例としては、「気が合わないのは合縁奇縁だから仕方がない」「やけに気が合う奴とは合縁奇縁を感じる」「男女の相性は合縁奇縁でしょう」「松江旅行で知り合った彼女と合縁奇縁の間柄になった」などがあります。
二つ目の一期一会を使った分かりやすい例としては、「茶道には一期一会の思想が根付いています」「出会いは一期一会であると実感する」「私の座右の銘は一期一会です」「一期一会の心で客をもてなす」などがあります。
合縁奇縁と一期一会の使い分け方
合縁奇縁と一期一会という言葉は、どちらも人との出会いや人間関係を表す言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。
合縁奇縁とは、人と人との巡り合いや、気心が合うも合わないも、すべて因縁によるということを意味します。人との交わり一般を表すことが出来ますが、「男女の相性は合縁奇縁」「彼女と合縁奇縁の間柄になった」のように男女の巡り合いについて用いられることが多い言葉です。
一期一会とは、茶道の心得を表す言葉で、一生に一度の会であるから心をこめてもてなすことを表します。転じて、一生に一度限りであること、人との出会いを大切にすることの意味で一般的に使われています。
つまり、合縁奇縁は人との相性に着目した言葉であり、一期一会は人の出会いに着目した言葉である違いがあります。また、合縁奇縁は特に男女の関係を表すことが多く、一期一会は男女ではなく人間関係全般に対して用いられる言葉です。これらが、合縁奇縁と一期一会の明確な違いになります。
合縁奇縁と一期一会の英語表記の違い
合縁奇縁を英語にすると「selective affinity」「a matter of taste」となり、例えば上記の「合縁奇縁だから仕方がない」を英語にすると「It can not be helped, for it is a matter of taste」となります。
一方、一期一会を英語にすると「once-in-a-lifetime encounter」「meeting only once in a lifetime」となり、例えば上記の「一期一会の思想」を英語にすると「the idea of meeting only once in a lifetime」となります。
合縁奇縁の意味
合縁奇縁とは
合縁奇縁とは、人と人との交わりは、みな縁という不思議な力の働きによるものであることを意味しています。
合縁奇縁の使い方
合縁奇縁を使った分かりやすい例としては、「夫婦関係は合縁奇縁ですね」「どうも上手く付き合えない同僚とは合縁奇縁だと割り切っている」「浦安駅で出会った男性と合縁奇縁を感じた」などがあります。
その他にも、「離れたくても離れられない合縁奇縁の仲です」「こんなに付き合いが長くなるとは合縁奇縁だね」「足利市にあるお寺で合縁奇縁の出会いがありました」「人と人との結びつきは合縁奇縁によるものです」などがあります。
合縁奇縁の「合縁」は互いに気心がよく合う縁のこと、「奇縁」は不思議な因縁や思いがけない巡り合わせを表します。合縁奇縁とは、人と人とが互いに親しみ合うのも、逆に気が合わないのも、すべて因縁によるものであることを意味します。特に、男女や夫婦の間柄について用いられる言葉です。
合縁奇縁の由来
合縁奇縁の由来は、「愛縁機縁」という仏教語とも、「逢縁機縁」という謡曲とも言われています。ただし、現在では「愛縁機縁」「逢縁機縁」という表記はほとんど使われず、「合縁奇縁」と書くことが一般的です。
同じような意味の他の言い回しには「縁は異なもの味なもの」があります。人の縁は理屈では説明できない不可思議なものであることを意味し、人間関係は自分にはどうにもできない要因があることを表します。
合縁奇縁の対義語
合縁奇縁の対義語・反対語としては、互いにいがみあう関係や仲の悪いことのたとえを意味する「犬猿の仲」、性質が合わずしっくり調和しないことを意味する「水と油」などがあります。
合縁奇縁の類語
合縁奇縁の類語・類義語としては、ちょっとした出会いも前世からの因縁によるものを意味する「袖すり合うも多生の縁」、仏の引き合わせを意味する「仏縁」、思いがけなく出あうことや意外なめぐりあいを意味する「奇遇」、互いの性格や調子などの合い方を意味する「相性」などがあります。
一期一会の意味
一期一会とは
一期一会とは、一生涯にただ一度会うかどうかわからぬほどの縁、出会いを大切にすることのたとえを意味しています。
表現方法は「一期一会の出会い」「一期一会の縁」「一期一会の精神」
「一期一会の出会い」「一期一会の縁」「一期一会の精神」などが、一期一会を使った一般的な言い回しです。
一期一会の使い方
一期一会を使った分かりやすい例としては、「一期一会のめぐり合わせに感謝します」「本との出会いも一期一会であると丁寧に読む」「一期一会の意味を英語で説明してください」「美味しい食パンとの一期一会を食レポします」などがあります。
その他にも、「一期一会は茶道の心得です」「茶道では一期一会を大切にしています」「一期一会の一瞬をとらえた写真集です」「景色との一期一会を意識してイラストを書いています」「人も本も一期一会だと思います」などがあります。
一期一会の由来
一期一会という言葉の由来は、茶道の精神にあります。千利休の弟子であった宗二の著「山上宗二記」に「一期に一度の会」とあり、茶会は毎回、一生に一度だという思いで真剣に行うべきだと説きました。転じて、一生に一度会うこと、一生に一度限りであることの意味を持つようになりました。
一期一会は、座右の銘に選ばれる言葉の一つです。人との出会いを大切にする姿勢を表す四字熟語として、幅広い年齢層から支持されています。
一期一会の対義語
一期一会の対義語・反対語としては、毎日のありふれた事柄や日常茶飯事を意味する「日常茶飯」、いつものことで特に取り上げるまでもないものを意味する「家常茶飯」などがあります。
一期一会の類語
一期一会の類語・類義語としては、現世や来世を通じてただ1回だけのことを意味する「後生一生」、めぐりあうことを意味する「巡り合い」、思いがけなく出あうことや偶然の出会いを意味する「邂逅」などがあります。
合縁奇縁の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人と人との巡り合いや、気持ちがうまく合うのも合わないのも、すべて因縁によることを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「合縁奇縁たれぞかれ」は、人と人との巡り合わせを意味する「合縁奇縁」と、「誰そ彼」「黄昏」をもじった「たれぞかれ」を組み合わせたもので、自分の運命の人は誰のことかと尋ねる言い回しになっています。
一期一会の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一生に一度会うこと、一生に一度限りであることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、一期一会という言葉は、基本的には人との出会いを表す言葉ですが、例文2や例文5のようにイラストや本などの物事との出会いに関して用いられることもあります。
合縁奇縁と一期一会という言葉は、どちらも「人と人との出会い」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人との相性は因縁によることを表現したい時は「合縁奇縁」を、出会いを大事にすることを表現したい時は「一期一会」を使うようにしましょう。