似た意味を持つ「例年」(読み方:れいねん)と「毎年」(読み方:まいねん)と「平年」(読み方:へいねん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「例年」と「毎年」と「平年」という言葉は、特定の年という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
例年と毎年と平年の違い
例年と毎年と平年の意味の違い
例年と毎年と平年の違いを分かりやすく言うと、例年は1年のうちで決められた日前後を表現する時に使い、毎年は1年のうちで決められた日を表現する時に使い、平年は過去の平均との比較を表現する時に使うという違いです。
例年と毎年と平年の使い分け方
例年という言葉は「例年通り収穫作業がはじめられた」「例年よりも客足が多い」のように使い、その事象に関する一年のうちの決まった時期を指す言葉です。
毎年という言葉は「毎年5月からクールビズが始まる」「毎年恒例の家族旅行の行先は大体海である」のように使い、例年と同じように一年のうちの決まった時期を指す言葉です。
「例年体調を崩す」という表現は、特定の決まった日ではなく、前後することがあることを意味しています。例えば、それが12月15日に発言した言葉であれば、12月中旬辺り、もしくは12月中あたりに体調を崩すということを表します。
一方、毎年をという言葉を使った表現は、例年を使った時と同じように決まった日ではないこともあれば、「毎年5月5日はこどもの日」という言葉のように決まってその日に来ることを表すこともあります。
そのため、「毎年体調を崩す」と12月15日に発言したならば、毎年12月15日に体調を崩すことを表してしまいます。「毎年この時期になると体調を崩す」のように、範囲を広げる言葉と共に使うようにすると日付の限定を防ぐことになります。
上のように「例年」や「毎年」は、人や社会の事象に関する表現で使われる言葉ですが、「平年」は気象や農作物などに使われる言葉で、「平年より10日も遅く梅雨が明けた」「今日の気温は平年並みだ」のように使い、平年の平は平均を意味します。
これらのことから、例年は1年のうちの決まった日付前後、毎年は1年のうちの限定された日、平年は過去何年かの平均を意味するという違いがわかります。
例年の意味
例年とは
例年とは、いつもの年を意味しています。
表現方法は「例年だと」「例年に引き続き」「例年通り」
「例年だと」「例年に引き続き」「例年通り」「例年以上に」「例年であれば」などが、例年を使った一般的な言い回しです。
例年の使い方
例年を使った分かりやすい例としては、「例年だとそろそろ暑くなるはずだけど今年はまだ涼しい」「例年に引き続きスポンサーに変更はありません」「例年通り今年も賞与を支給します」「子供が産まれたので例年以上に仕事を頑張らないといけない」などがあります。
例年を使った間違った言葉として、「例年贈与」「例年劣化」があります。
「例年贈与」の意味
一つ目の「例年贈与」は、本来は「連年贈与」と書き、遺産相続に関する言葉です。毎年1年間に100万円を贈与し続けることで相続税が掛からないため節約につながる方法です。
「例年劣化」の意味
二つ目の「例年劣化」は、本来は「経年劣化」と書き、年月が経つうちに製品の品質や」性能が低下することを意味する言葉です。簡単に手にできる製品だけではなく、不動産などにも使われる言葉です。
例年の類語
例年の例の字を使った別の言葉としては、日を決めて定期的に開く会を意味する「例会」、毎年きまった月日に行われる祭を意味する「例祭」、繰り返し行われて習慣になった事柄を意味する「慣例」、いつもきまって行われることを意味する「恒例」などがあります。
毎年の意味
毎年とは
毎年とは、としごとや年々、まいとしを意味しています。
表現方法は「毎年恒例」「毎年毎年」「毎年のように」
「毎年恒例」「毎年毎年」「毎年のように」などが、毎年を使った一般的な言い回しです。
毎年の使い方
毎年を使った分かりやすい例としては、「毎年恒例のバーゲンセールが今年も始まった」「毎年毎年少しづつ貯金をしている」「毎年のように気温が高くなっている気がする」などがあります。
毎年の読み方
毎年は「まいねん」という読み方をしますが、一般的な会話で使われるのは「まいとし」です。読み方で言葉の意味が変わることはありません。
毎年が使われた有名な俳句
毎年を使った言葉として、「毎年よ、彼岸の入りに寒いのは」があります。俳人であり歌人である正岡子規によって読まれた俳句です。
「彼岸」とは1年に2回あり、春分の日を中日とした3月の七日間を春の彼岸と呼び、秋分の日を中日とした9月の7日間を秋の彼岸と呼びます。
この句では寒いと言っているため、春の彼岸を季語とし、「毎年のことである、彼岸の最初の日でまだ寒さが残っているのは」という訳をします。
毎年の類語
毎年の類語・類義語としては、年が改まるたびを意味する「年ごと」があります。
毎年の毎の字を使った別の言葉としては、繰り返しめぐってくる、その度ごとを意味する「毎回」、新聞や雑誌など号ごとを意味する「毎号」、食事ごとや食事のたびを意味する「毎食」、同じことが繰り返されることを意味する「毎度」などがあります。
平年の意味
平年とは
平年とは、普通の状態にある年を意味しています。その他にも、閏ではない1年が365日である年も意味します。
表現方法は「平年並み」「平年より」「平年比」
「平年並み」「平年より」「平年比」「平年度化」などが、平年を使った一般的な言い回しです。
平年の使い方
平年を使った分かりやすい例としては、「今年の夏の気温は平年並みのようだ」「今年は平年よりも会社の業績が悪いので経費削減の命令が出た」などがあります。
平年を使った言葉として、「平年値」「平年収量」があります。
「平年値」の意味
一つ目の「平年値」とは、30年間の平均値を意味する気象用語です。ただし、平年は10年に一度更新されるため、2020年現在の平年とは1981年から2010年を指し、2021年からは1991年から2020年の30年間が平年となります。
「平年収量」の意味
二つ目の「平年収量」とは、水稲の栽培を開始するよりも前に、その年の気象の推移や被害の発生状況などを平年並みと見なして、最近の栽培技術の進歩や田畑に植えられた作物の量などを考慮して予想される10アール当たりの収穫量を意味する言葉です。
平年の類語
平年の平の字を使った別の言葉としては、いつもと同じであることを意味する「平常」、普段、常日頃を意味する「平素」、健康時の体温を意味する「平熱」、これといった優れた特色もなくごく当たり前なことを意味する「平凡」などがあります。
例年の例文
この言葉がよく使われる場面としては、いつもの年や、一年の決まった時期を意味する時などが挙げられます。
例文1の「例年通り」とは、いつもどおりや、前年と変わらないといった意味の言葉です。
毎年の例文
この言葉がよく使われる場面としては、年ごと、一年の決まった時期や日程を意味する時などが挙げられます。
例文3の「毎年恒例」とは、いつも決まって行われることを意味する「恒例」という言葉と共に使うことで、そのスパンが1年に1回であることを示す言葉です。
平年の例文
この言葉がよく使われる場面としては、普通の状態の年や、過去何年かの平均を意味する時などが挙げられます。
例文2の「平年並み」とは、気象用語であれば過去30年間のデータから算出された平年値を基準にして、おおよそ同じくらいということを意味する言葉です。2020年現在は、1981年から2010年までの30年間のデータから算出されています。
例文3の「平年度化」とは、普通の状態の年のようになることを意味しており、増減のあった数値に対して使われる言葉です。
例年と毎年と平年どれを使うか迷った場合は、一年のうちの特定の時期を表す場合は「例年」を、一年のうち特定の時期や限定された日を表す場合は「毎年」を、過去何年かの平均を表す場合は「平年」を使うと覚えておけば間違いありません。