似た意味を持つ「ボキャブラリー」と「レパートリー」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ボキャブラリー」と「レパートリー」という言葉は、「いつでも使えるもの」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
ボキャブラリーとレパートリーの違い
ボキャブラリーとレパートリーの意味の違い
ボキャブラリーとレパートリーの違いを分かりやすく言うと、ボキャブラリーは言葉を対象とする時に使い、レパートリーは言葉以外を対象とする時に使うという違いです。
ボキャブラリーとレパートリーの使い方の違い
一つ目のボキャブラリーを使った分かりやすい例としては、「ボキャブラリーを増やすためにも読書をするべきだ」「彼のボキャブラリーと説得力には圧倒されている」「ボキャブラリーの不足を感じる時がままある」などがあります。
二つ目のレパートリーを使った分かりやすい例としては、「料理において幅広いレパートリーを持っている」「レパートリーが少ないためカラオケに行っても基本的に歌わない」「作曲家別にレパートリーを増やすために練習する」などがあります。
ボキャブラリーとレパートリーの使い分け方
ボキャブラリーとレパートリーはどちらも、いつでも用いることのできるものに対して使われる言葉ですが、使われるものが異なります。
ボキャブラリーは、語彙や用語を表す言葉であるため、知っていて使うことのできる言葉を指しますが、言葉以外のものに対して使われることはありません。
一方のレパートリーは、いつも通りの力を発揮できるような種目や行為、いつでも上演できる演目を指す言葉として使われています。そのため、楽曲など他者に披露できるようなものと共に使われています。
つまり、ボキャブラリーは言葉を対象とする時のみに使い、レパートリーは言葉以外を対象とする時に使うという違いがあります。ただし、「言葉のレパートリー」という表現がされることもあります。
ボキャブラリーとレパートリーの英語表記の違い
ボキャブラリーを英語にすると「vocabulary」となり、例えば上記の「ボキャブラリーを増やす」を英語にすると「expand one’s vocabulary」となります。
一方、レパートリーを英語にすると「repertoire」となり、例えば上記の「幅広いレパートリー」を英語にすると「a large repertoire」となります。
ボキャブラリーの意味
ボキャブラリーとは
ボキャブラリーとは、語彙や用語数を意味しています。
表現方法は「ボキャブラリーが乏しい」「ボキャブラリーが少ない」
「ボキャブラリーが乏しい」「ボキャブラリーが少ない」などが、ボキャブラリーを使った一般的な言い回しです。
ボキャブラリーの使い方
ボキャブラリーを使った分かりやすい例としては、「ボキャブラリーに富んだ彼の表現力は目を見張るものがある」「ボキャブラリーを増やすためにはどうしたらいいのか」「英語のボキャブラリーを身に付けなければ話を理解することさえできない」などがあります。
その他にも、「ボキャブラリーの有無は様々な局面を左右するだろう」「必須となるボキャブラリーを知らなければその分野の理解は到底できない」「技術だけでなくボキャブラリーを学ぶことも大切だ」などがあります。
ボキャブラリーは英語で「vocabulary」と表記され、語彙や用語数、用語表を意味し、語や単語を意味する「vocable」が派生した言葉です。日本語としても同じ意味で使われていますが、「ヴォキャブラリー」と表記されることもあります。
ボキャブラリーが使われている表現に「ボキャ貧」がありますが、これは「ボキャブラリーが貧困」を省略した表現で語彙が少ないことを意味します。過去放映されていたテレビ番組の「ボキャブラ天国」を省略した「ボキャ天」が由来とされています。
また、ダンスの用語としてボキャブラリーが使われることがありますが、その場合はダンスにおける動きを指す言葉として使われることもあります。身体の動かし方などがこれに該当しますが、明確な定義はありません。
ボキャブラリーの類語
ボキャブラリーの類語・類義語としては、話し言葉と書き言葉を意味する「言文」、言葉や言葉遣いを意味する「言辞」、学術分野や技芸などそれぞれの分野だけで使われる言葉を意味する「専門語」などがあります。
レパートリーの意味
レパートリーとは
レパートリーとは、技術を発揮できる領域や種目を意味しています。
その他にも、劇団などが上演や演奏をできるようにしてある演目や曲目も意味します。
表現方法は「レパートリーが増える」「レパートリーが多い」
「レパートリーが増える」「レパートリーが多い」などが、レパートリーを使った一般的な言い回しです。
レパートリーの使い方
「レパートリーは少なくても問題ないだろう」「レパートリーを増やせば飽きたと言われないだろう」「行動レパートリーがないため今後の動線を把握できていない」などの文中で使われているレパートリーは、「本領発揮できる領域や種目」の意味で使われています。
一方、「レパートリー・シアターに足を運ぶ時間が好きだった」「カラオケを楽しむ彼にはレパートリーが多い」「私のピアノレパートリーは手元の楽譜の数くらいだ」などの文中で使われているレパートリーは、「上演できる演目や曲目」の意味で使われています。
レパートリーは英語で「repertoire」と表記され、上演目録や演奏曲目を意味する言葉として使われています。日本語でも同じ意味で使われています。
「レパートリー・シアター」の意味
上記例文の「レパートリー・シアター」とは、一つの劇団がレパートリーとする演目を日替わりで上演している劇場を指す言葉です。ドイツ内の主要なオペラハウスなどではこの運営方法ですが、日本では劇団に貸して上演が行われる貸し館制がほとんどのようです。
この得意な演目や種目の意味が転じて、自身が得意であり技芸を十分に発揮して披露できるような行為の内容に対しても使われるようになり、上記例文の「曲のレパートリー」「料理のレパートリー」など今日では日常的に使われています。
レパートリーの類語
レパートリーの類語・類義語としては、得意の芸を意味する「十八番」、いつでも歌える得意な曲を意味する「持ち歌」、最も得意とする事柄を意味する「お家芸」、演劇や映画などの演目や曲目を意味する「プログラム」などがあります。
ボキャブラリーの例文
この言葉がよく使われる場面としては、語彙や用語数を表す時などが挙げられます。
例文3の「ボキャ貧」の対となる、ボキャブラリーが豊富であることを意味する言葉は「ボキャ豊」とされていますが、あまり使われていません。
レパートリーの例文
この言葉がよく使われる場面としては、技術を発揮できる領域や種目を表す時などが挙げられます。
例文4や例文5のように演奏する楽曲だけでなく、劇団が上演する演目などに対しても使われています。
ボキャブラリーとレパートリーは、どちらも「いつでも使えるもの」を表します。どちらを使うか迷った場合は、言葉を対象とする場合は「ボキャブラリー」を、言葉以外を対象とする場合は「レパートリー」を使うと覚えておけば間違いありません。