【私怨】と【遺恨】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「私怨」(読み方:しえん)と「遺恨」(読み方:いこん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「私怨」と「遺恨」という言葉は、どちらも恨む気持ちを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




私怨と遺恨の違い

私怨と遺恨の意味の違い

私怨と遺恨の違いを分かりやすく言うと、私怨とは個人的な恨みを表し、遺恨とは個人的にも社会的にも消えない恨みを表すという違いです。

私怨と遺恨の使い方の違い

一つ目の私怨を使った分かりやすい例としては、「彼は上司に私怨を抱いている」「誤解から私怨を買うことになった」「私怨を晴らすための騒動だった」「私怨による晒しスレがヤバい」などがあります。

二つ目の遺恨を使った分かりやすい例としては、「今回の勝負で遺恨を晴らすつもりだ」「会社と遺恨を残す辞め方だった」「この試合は遺恨凄惨マッチだ」「両国に遺恨を残す歴史的事件だ」などがあります。

私怨と遺恨という言葉は、不利益を受けたり、思いどおりにならない物事や状態に対して、相手を憎み、仕返しをしたいという気持ちを持つことを表す、マイナスイメージの言葉です。似た表現をする言葉ですが、意味や使い方は異なるので注意が必要です。

私怨と遺恨の使い分け方

私怨は個人的な恨みを意味し、遺恨は忘れがたい深い恨みを意味します。私怨は個人的な恨みを表すので、集団としての恨みや社会的な恨みを表現することはできません。上記の例の「両国に遺恨を残す」とは、国と国の深い恨みを表すもので、遺恨を私怨に置き換えることはできません。

また、遺恨は恨みや思いが消えずに残ることを表すので、一時的な恨みの場合には使うことができません。対する私怨は、一時的や長期的に関わらず、個人的な恨みに対して使うことができる言葉です。これらが二つの言葉の違いになります。

私怨と遺恨の英語表記の違い

私怨を英語にすると「personal grudge」「personal enmity」となり、例えば上記の「私怨を抱く」を英語にすると「harbour personal enmity」となります。

一方、遺恨を英語にすると「grudge」「spite」「enmity」となり、例えば上記の「遺恨を晴らす」を英語にすると「wreak one’s grudge」となります。

私怨の意味

私怨とは

私怨とは、個人的な恨みを意味しています。

表現方法は「私怨を晴らす」「私怨が強い」「私怨を買う」

「私怨を晴らす」「私怨が強い」「私怨を買う」などが、私怨を使った一般的な言い回しです。

私怨の使い方

私怨を使った分かりやすい例としては、「先生に対して私怨を抱くようになった」「彼に対し私怨を募らせていた」「私怨に駆られた末の犯行だった」「根底には痴情のもつれという私怨があった」などがあります。

その他にも、「私怨を晴らす目的でのクレームだ」「私怨を越えて和解しよう」「私怨による人事異動ではないか」「私怨からのパワハラは許せない」「私怨を捨て去り客観的に評価している」などがあります。

私怨の読み方

私怨は「しえん」と読みます。「しおん」ではないので注意しましょう。

私怨の語源

私怨という言葉は、自分一身に関することを表す「私」と、恨むことを意味する「怨」が組み合わさり、個人的な恨みを意味する言葉です。私的な感情や、一個人のものさしによって恨むことであり、恨みの根拠が時には理不尽であったり曖昧であったりすることもあります。

「私怨は公門に入らず」の意味

私怨を用いた言葉には、「私怨は公門に入らず」があります。これは中国戦国時代の法家である韓非子の言葉で、私怨があるからと言って公の利益になることまで邪魔立てしてはならないことを意味します。

私怨の類語

私怨の類語・類義語としては、深い恨みの心を意味する「怨恨」、うらみのこもった思いを意味する「怨念」、心の中に抑えている怒りや恨みを意味する「鬱憤」などがあります。

私怨の私の字を使った別の言葉としては、個人的な感情を意味する「私情」、自分一人の利益だけを考える気持ちを意味する「私欲」、私生活に関係したことを意味する「私事」などがあります。

遺恨の意味

遺恨とは

遺恨とは、忘れがたい深い恨みを意味しています。

その他にも、残念に思うことの意味も持っています。

表現方法は「遺恨がある」「遺恨が残る」「遺恨を残さない」

「遺恨がある」「遺恨が残る」「遺恨を残さない」「遺恨を晴らす」「過去の遺恨」などが、遺恨を使った一般的な言い回しです。

遺恨の使い方

「歴史的見解の相違により両国に遺恨が残る」「不倫関係を解消しても遺恨を残すものだ」「意見の対立から遺恨を抱くこともある」「遺恨を晴らして握手を交わす」などの文中で使われている遺恨は、「忘れがたい深い恨み」の意味で使われています。

一方、「ベストを尽くせなかったことは大変遺恨である」「最期のお別れに伺えず遺恨でなりません」などの文中で使われている遺恨は、「残念に思うこと」の意味で使われています。

遺恨には上記の例のように二つの意味がありますが、一般に「忘れがたい深い恨み」の意味で使われることが多い言葉です。遺恨の「遺」は後に残ることを表し、「恨」は恨めしい気持ちを表し、恨みや思いが消えずに残ることを意味します。

四字熟語「意趣遺恨」の意味

遺恨を用いた四字熟語には「意趣遺恨」があり、何かの手段で晴らさずにはいられないような忘れ難い恨みを意味します。「意趣」は心の状態を意味し、この四字熟語は、長い間恨みをもち続けている心情を表しています。

遺恨の類語

遺恨の類語・類義語としては、他からの仕打ちを不満に思って憤り憎む気持ちを意味する「恨み」、かねてからの恨みを意味する「宿怨」、深いうらみの心を意味する「怨恨」などがあります。

遺恨の遺の字を使った別の言葉としては、期待したようにならず心残りであることを意味する「遺憾」、病気やけがが治ったに残る機能障害を意味する「後遺症」、大切な事が抜け落ちていることを意味する「遺漏」などがあります。

私怨の例文

1.二人はやけに突っかかった物言いをしているが、お互い私怨があるのだろうか。
2.私怨からネット上に顔を晒されたというトラブルが相次いでおり、深刻な問題になっている。
3.マニュアル通りに接客したつもりが、お客様から私怨を買うことになってしまった。
4.次の試合の相手チームには恋人の浮気相手がいるので、絶対勝って私怨を晴らすつもりだ。
5.長年のわだかまりや私怨を捨てることは、簡単にはいかないものだ。
6.元友人から私怨を買われ、SNS上で中傷されたので、やむなく法的措置を講ずることになった。
7.彼は正義感からそのような行動をしたのではなく、ただ私怨を晴らしたかったのに過ぎない。
8.元恋人との確執が原因で、私怨によるストーカー行為を受けた女性が警察に相談している。
9.犯行に計画性がみられないのは、私怨に駆られた末の衝動的な犯行だったからではないか。
10.クラスメイトとの喧嘩で私だけが教師に叱られたことで、その教師に私怨を抱くようになった。

この言葉がよく使われる場面としては、個人的な恨みを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある「私怨を買う」とは、他人から恨まれることや、恨まれるような何かが起きることを意味します。例文4にある「私怨を晴らす」とは、個人的な恨みを報復などによって解消することを表します。

遺恨の例文

1.サッカー史に残る壮絶な遺恨試合といえば、国境線や貿易摩擦で紛争中だった1970年のエルサルバドル・ホンジュラス戦だろう。
2.遺産相続を巡って親族間に遺恨が残ることのないように、財産を整理して遺言書を残そうと思う。
3.きちんと話し合って喧嘩の原因をうやむやにしなければ、遺恨を残すようなことにはならないだろう。
4.以前勤めていたブラックな会社には遺恨があり過ぎて、訴えたいくらいだ。
5.芸能人が事務所を辞める場合、円満退所よりも遺恨退所の方が断然話題になる。
6.有名人が誰それと仲が悪いとか業界を干されたとかいう話題は、相当昔のネタであっても今でも遺恨があるかのように語られる。
7.彼は仲介役となって両者の遺恨を晴らすために動いてくれたおかげで、最終的に握手を交わすまでになった。
8.彼の裏切り行為は、彼女に大きなショックを与え、遺恨を残すことになった。今後も彼女との関係を修復することは難しいだろう。
9.長年にわたり続いた商談が合意に至らず、両社には遺恨が残ってしまった。今後のビジネス展開にも影響を及ぼす可能性があるかもしれない。
10.離婚後も子育てに協力すると約束していた元夫が、その約束を破ってしまったことで、元妻との間に遺恨が残ってしまった。

この言葉がよく使われる場面としては、忘れがたい深い恨みを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「遺恨試合」とは、かねてからの恨みを持つ者やチーム同士が対決する試合を意味します。例文5にある「遺恨退所」とは、円満退所と対比して使われており、タレントが穏やかに事務所を辞めたのではなく、悶着などにより恨みを残すような辞め方である場合に使われる表現です。

私怨と遺憾という言葉は、どちらも恨む気持ちを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、個人的な恨みを表現したい時は「私怨」を、個人的社会的に関わらず忘れがたい深い恨みを表現したい時は「遺憾」を使うようにしましょう。

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