似た意味を持つ「帰属意識」(読み方:きぞくいしき)と「所属意識」(読み方:しょぞくいしき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「帰属意識」と「所属意識」という言葉は、ある集団の一員である意識を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
帰属意識と所属意識の違い
帰属意識と所属意識の意味の違い
帰属意識と所属意識の違いを分かりやすく言うと、帰属意識には組織に順応する意味合いがあり、所属意識には組織に順応する意味合いはないという違いです。
帰属意識と所属意識の使い方の違い
一つ目の帰属意識を使った分かりやすい例としては、「彼は会社への帰属意識が強い」「若い世代ほど帰属意識がない傾向だ」「帰属意識を高めるための催しだ」「従業員の帰属意識の向上を図る」などがあります。
二つ目の所属意識を使った分かりやすい例としては、「彼女はクラブへの所属意識が低い」「所属意識を感じたことはない」「所属意識を高めるイベントだ」「大学生の所属意識を調査する」などがあります。
帰属意識と所属意識の使い分け方
帰属意識と所属意識とは、どちらも組織や団体の一員であるという意識を意味し、似た表現をする言葉ですが、微妙にニュアンスが異なります。帰属意識の「帰」は、しかるべき所に落ち着く意味があり、所属意識の「所」は特定の場所を意味する、という違いがあります。
上記の例の「会社への帰属意識」とは、会社の一員であるという自覚を意味しますが、自分がその会社に順応し、うまくあてはまっているという意味合いがあります。これが「会社への所属意識」となると、単に会社の一員であるという自覚を意味し、会社に順応している意味合いはありません。
つまり、帰属意識には一員となっている組織に順応しているニュアンスがあり、所属意識にはそのようなニュアンスはなく単に組織の一員である自覚を意味します。このような違いもあり、帰属意識という言葉は多用されていますが、所属意識は使うことが少ない言葉です。
帰属意識と所属意識の英語表記の違い
帰属意識も所属意識も英語にすると「sense of belonging」「identification」となり、例えば上記の「会社への帰属意識」を英語にすると「sense of belonging to the company」となります。
帰属意識の意味
帰属意識とは
帰属意識とは、自分が属している集団の一員であるという意識を意味しています。
表現方法は「帰属意識が低い」「帰属意識がない」「帰属意識を高める」
「帰属意識が低い」「帰属意識がない」「帰属意識を高める」などが、帰属意識を使った一般的な言い回しです。
帰属意識の使い方
帰属意識を使った分かりやすい例としては、「日本人は帰属意識が高いと言われていた」「リモートワークで社員の帰属意識が薄れる」「組織への帰属意識を高める効果とは」「従業員の帰属意識が低い会社だ」などがあります。
その他にも、「私は実家や家族への帰属意識が全くない」「帰属意識を持つのが苦手である」「会社への帰属意識が希薄である」「会社への帰属意識がないので離職率が高い」「愛着がなく帰属意識が持てない」などがあります。
帰属意識は会社・学校・家庭などで使われる
帰属意識という言葉の「帰属」とは、特定の組織体などに所属し従うことを意味します。国、民族、会社、学校、家庭など、様々な規模の集団組織に対して使われる言葉です。これらの組織に対して所属している自覚を持ち、組織の性質や行動に合わせようとする心の状態を帰属意識と言います。
帰属意識という言葉は、特に会社に対して使われています。会社への帰属意識とは、その会社の一員であるという自覚を意味します。さらに、自分がその会社に順応し役割を担おうとする意識が高まると、積極的に業務に取り組み、生産性の向上や離職率の低下が期待できる、重要な要素と言えます。
しかし、昨今は労働に対する価値観の変化や、リモートワークなどの働き方の変化により、会社と従業員あるいは従業員同士がドライな関係になる傾向があり、会社への帰属意識は薄れていると言われています。
帰属意識の類語
帰属意識の類語・類義語としては、ある集団に属しているという意識を意味する「共属意識」、二つ以上のものが結びついていることを意味する「連帯感」などがあります。
帰属意識の帰の字を使った別の言葉としては、具体的な事例から一般に通用するような原理を導くことを意味する「帰納」、抵抗をやめて服従することを意味する「帰順」、帰り着くことを意味する「帰着」などがあります。
所属意識の意味
所属意識とは
所属意識とは、ある団体・組織にその一員として加わっているという意識を意味しています。
表現方法は「所属意識が低い」「所属意識がある」「所属意識がない」
「所属意識が低い」「所属意識がある」「所属意識がない」などが、所属意識を使った一般的な言い回しです。
所属意識の使い方
所属意識を使った分かりやすい例としては、「所属意識が低く自分の居場所がないと感じる」「所属意識を測定する尺度を考案する」「所属意識が強い国民性である」「彼は所属意識が薄い一匹狼タイプだ」などがあります。
その他にも、「クラスへの所属意識を高めて一致団結する」「学校行事を通して所属意識を深める」「集団活動の中で役割を設定し所属意識を高める」「地域への所属意識が極めて低い」などがあります。
所属意識はあまり使われない言葉
所属意識という言葉の「所属」とは、ある団体や組織にその一員して加わっていることを意味します。帰属意識と同様に、国、民族、会社、学校、家庭など、様々な規模の集団組織に対して使われる言葉です。集団組織の一員であると自覚を所属意識と言いますが、あまり使われない言葉です。
所属意識の類語
所属意識の類語・類義語としては、共通の関心や利害をもった集団の仲間としての連帯感を意味する「仲間意識」、志を同じくする者が団結することを意味する「結束」などがあります。
所属意識の所の字を使った別の言葉としては、事に触れて心に感じた事柄を意味する「所感」、信じている事柄を意味する「所信」、必要とされるものを意味する「所要」などがあります。
帰属意識の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分が属しているその集団の一員であるという意識を表現したい時などが挙げられます。
例文2や例文3のように、帰属意識が強い場合は「帰属意識が高い」、帰属意識が弱い場合は「帰属意識が低い」と表現することが多くあります。例文4にある「帰属意識の醸成」とは、帰属意識をつくり出すことを意味します。
所属意識の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある団体組織にその一員として加わっているという意識を表現したい時などが挙げられます。
例文2のように、所属意識の有無は「所属意識がある」「所属意識がない」で表します。また、例文3のように、所属意識の程度は「所属意識が高い」「所属意識が低い」と表現します。
帰属意識と所属意識という言葉は、どちらも組織や団体の一員であるという意識を意味します。どちらの言葉を使うか迷った場合、組織に順応しているニュアンスを表したい時は「帰属意識」を、単に組織の一員であることを表したい時は「所属意識」を使うようにしましょう。