【イップス】と【スランプ】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「イップス」と「スランプ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「イップス」と「スランプ」という言葉は、「今までできていたことが思い通りにできない状態」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




イップスとスランプの違い

イップスとスランプの意味の違い

イップスとスランプの違いを分かりやすく言うと、イップスは今までできていた動作ができない状態を表現する時に使い、スランプは実力が上手く発揮できない状態を表現する時に使うという違いです。

イップスとスランプの使い方の違い

一つ目のイップスを使った分かりやすい例としては、「イップスの影響によってしばらくサポートを受けることになった」「イップスの原因となったものが分からない」「イップスの初期症状が見られるようになった」などがあります。

二つ目のスランプを使った分かりやすい例としては、「スランプから抜け出すために基礎に立ち返ることにした」「彼はスランプに陥ったようで非常に落ち込んでいる」「スランプフレーションにが起きる前にある程度の資産や備蓄は蓄えておきたい」などがあります。

イップスとスランプの使い分け方

イップスとスランプはどちらも、今までできていたことが思い通りにできない状態を指す言葉ですが、使い方が若干異なります。

イップスは、今までできていた動作に支障をきたす状態を表します。特にスポーツ選手に対して使われますが、ビジネスシーンで使われることもあり、例えば喋ることができなくなる、思考が停止してしまうなどの状態がこれに該当します。

一方のスランプは、心身の調子が一時的に不振となっている状態を表し、スポーツ選手だけでなく芸術家やパフォーマーらに対しても使われます。いつも通り、もしくは思い通りの結果に到達できない状態に用いられます。

つまり、イップスは今までできていた動作ができない状態を指し、スランプは一時的に実力が上手く発揮できない状態を指します。そのため、イップスの方がスランプよりも長期的なものであると区別して使われています。

また、スランプは不景気である状態を指す言葉や、コンクリートの固さを指す言葉としても使われているという違いもあります。

イップスとスランプの英語表記の違い

イップスを英語にすると「yips」となり、例えば上記の「イップスの影響」を英語にすると「the yips affects」となります。

一方、スランプを英語にすると「slump」となり、例えば上記の「スランプから抜け出す」を英語にすると「come out of one’s slump」となります。

イップスの意味

イップスとは

イップスとは、極度の緊張状態が原因で今までできていた動作に支障をきたす状態を意味しています。

イップスの使い方

イップスを使った分かりやすい例としては、「イップスの解決策は一朝一夕で効果があるようなものではないと思う」「完璧主義である人はイップスに悩まされやすい」「イップスの乗り越え方を病院で尋ねてみた」などがあります。

その他にも、「一度の判断ミスがトラウマとなったことを打ち明けてからビジネスイップスであると気が付いた」「イップスの影響もあって精神的な余裕が全くない」「スポーツ選手のイップスはきっと心がぽっかりと空いてしまうほどだろう」などがあります。

イップスは英語で「yips」と表記され、「神経不安」「極度な緊張」といった意味を持ちます。「yip」が「ひゃあ」「うわ」といった感嘆詞として使われていたことから、従来通りのプレーができなくなってしまったプロゴルファーによって名付けられたとされます。

以降、ゴルフだけではなく、テニス、卓球、野球、サッカーなど、様々なスポーツで全くボールを投げられない、打てないなどの症状を指す言葉として使われています。

表現方法は「ビジネスイップス」

今日では上記例文の「ビジネスイップス」のように、仕事において震えや筋肉の硬直を引き起こす異常に対して使われることもあり、今までできていた動作が精神的な理由からできなくなってしまうことを表す言葉として用いられています。

イップスの類語

イップスの類語・類義語としては、全身や身体の一部に痙攣や硬直が生じる運動障害を意味する「ジストニア」、思いがけない事態に直面した際に引き起こす混乱状態を意味する「パニック」などがあります。

スランプの意味

スランプとは

スランプとは、心身の調子が一時的に不振となっている状態を意味しています。

その他にも、相場の急落や不景気を意味する言葉として使われています。

スランプの使い方

「スランプ気味でモチベーションも下がってきた」「スランプから抜け出すために考え得る方法を試した」「他者から影響を受けやすい人はスランプになりやすい気がする」などの文中で使われているスランプは、「心身の一時的な不振」の意味で使われています。

一方、「スランプフレーションが襲来したらどうするべきなのだろうか」「今後の市場のスランプに関する予想をしている人がいた」「スランプ中の取引はどう出るべきか悩んでいる」などの文中で使われているスランプは、「不景気」の意味で使われています。

スランプは英語で「slump」と表記され、「ドスンと落ちる」「急に衰える」「暴落」といった意味を持ちます。日本語でも同じように使われ、特に「不調」「不振」を表す言葉として用いられることが多い言葉です。

表現方法は「スランプ気味」「スランプから抜け出す」「スランプに陥る」

上記例文の「スランプ気味」「スランプから抜け出す」「スランプに陥る」などの使い方で、スポーツ業界やビジネスシーンなど、成果や作品を生み出すことに携わる人に対して使われるため、幅広い分野で使われています。

また、不景気である状態を指す言葉でもあり、上記例文の「スランプフレーション」は「不況のもとで発生するインフレーション」を表し、マスコミによって用いられてから経済学用語として使われるようになりました。

スランプの対義語

スランプの対義語・反対語としては、極限の集中力の中で緊張状態とリラックス状態のバランスが維持されている状態を意味する「ゾーン」があります。

スランプの類語

スランプの類語・類義語としては、学習や作業の進歩が停滞している状態を意味する「プラトー」、意気消沈、不況や不景気を意味する「デプレッション」、発展などの速度が落ちることを意味する「スローダウン」などがあります。

イップスの例文

1.イップスの影響で引退を余儀なくされたと語った選手は、全国的に有名だったため誰もが惜しんでいた。
2.強い緊張を感じる人はイップスになりやすく、克服するのに多くの時間を要するだろう。
3.イップスやスランプに悩まされる選手は少なくなく、多くの人の注目の的になるような選手は一握りなのだろうと思わされる。
4.仕事中にイップスの症状が見られ、思考が停止してしまい、同僚に声をかけられるまで息も忘れていたほどだった。
5.イップスを乗り越えるためにもまずは心身ともに休む必要があるのは分かっている。

この言葉がよく使われる場面としては、極度の緊張状態が原因で今までできていた動作に支障をきたす状態を意味する時などが挙げられます。

例文1から3のようにスポーツ選手に対して使われることが多い言葉ですが、例文4や5のようにビジネスシーンにて用いられることもあります。

スランプの例文

1.今はスランプ中なのか、何をやっても上手くいかないため少し焦っている。
2.スランプから抜け出すきっかけは友人からもらった言葉だった。
3.スランプの原因を探すよりも一度別のことに目を向ける方が自分にとっては良策と思っている。
4.有名な芸術家でもスランプに陥る可能性はあるため、自分だけができないと落ち込む必要はない。
5.トランプ・スランプと呼ばれる事態によって、米ドルが下落して円が上昇したが、大きく変化はしないと予想されていた。

この言葉がよく使われる場面としては、心身の調子が一時的に不振となっている状態を意味する時などが挙げられます。

例文5のように「相場の急落」「不景気」を意味する言葉としても使われています。

イップスとスランプは、どちらも「今までできていたことが思い通りにできない状態」を表します。

どちらを使うか迷った場合は、今までできていた動作ができない状態を表す場合は「イップス」を、実力が上手く発揮できない状態を表す場合は「スランプ」を使うと覚えておけば間違いありません。

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