同じ「かでん」という読み方の「架電」と「荷電」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「架電」と「荷電」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
架電と荷電の違い
架電と荷電の意味の違い
架電と荷電の違いを分かりやすく言うと、架電とは電話をかけること、荷電とは物体が帯びている静電気という違いです。
架電と荷電の使い方の違い
一つ目の架電を使った分かりやすい例としては、「体調が悪いので職場に架電する」「結果は架電にてお知らせします」「明日こちらから架電いたします」「架電業務がない職場なので気が楽だ」などがあります。
二つ目の荷電を使った分かりやすい例としては、「荷電粒子の運動エネルギーと速さを求める」「荷電粒子のらせん軌道を」「素粒子の荷電空間にあらわれる相補性について」「荷電状態の平均値は平衡電荷と呼ばれる」などがあります。
架電と荷電の使い分け方
架電と荷電という言葉は、どちらも「かでん」と読みますが、意味や使い方は異なります。架電とは電話をかけることや電話することを意味し、ビジネスシーンで使われることがあります。荷電とは個々の物体や粒子などがもつ電気を意味し、科学分野で使われる言葉です。
架電と荷電は同音異義語のため、互いに置き換えて使うことはできません。二つの言葉に共通する「電」ですが、架電の「電」は電話のことであり、荷電の「電」は電気のこと、と覚えておくと良いでしょう。
架電と荷電の英語表記の違い
架電を英語にすると「telephone call」「calling」「dialing」となり、例えば上記の「職場に架電する」を英語にすると「call the workplace」となります。
一方、荷電を英語にすると「electric charge」「load」となり、例えば上記の「荷電粒子」を英語にすると「charged particles」となります。
架電の意味
架電とは
架電とは、電話をかけること、電話することを意味しています。
表現方法は「架電業務」「架電あり」「架電にて失礼いたしました」
「架電業務」「架電者」「架電あり」「架電にて失礼いたしました」などが、架電を使った一般的な言い回しです。
架電の使い方
架電を使った分かりやすい例としては、「架電にて失礼いたしました」「架電の件は一両日中に回答いたします」「架電の件ですが、その後いかがでしょうか」「こちらから折り返し架電します」「入電があったので架電して下さい」などがあります。
その他にも、「架電効率が図れるコールセンターシステムだ」「今日の架電件数は自己最多だ」「営業要素なしの受架電業務です」「架電業務メインのお仕事です」「架電営業がしにいご時世だ」などがあります。
架電という言葉の「架」は上にかけ渡すことを表し、電話線を架けることの意から、転じて、電話をかけることの意味で使われるようになりました。日常会話ではほとんど使われず、ビジネスシーンで使われる言葉です。特にテレマーケティング業界で使われています。
「架電の件」の意味
上記の例文にある「架電の件」とは、先ほど電話した件について、以前電話をかけた時に話した内容について、の意味で使われる表現です。ただし、架電という言葉が浸透していない職場や、一般顧客に対しては、「以前お電話で話した件」などと言い換えた方が良いでしょう。
架電の対義語
架電の対義語・反対語としては、電報や電信などが来ることを意味する「入電」、電話や電報を受けることを意味する「受電」、電報や電信が到着することを意味する「着電」、電話がかかってきたりメールを受信したりすることを意味する「着信」などがあります。
架電の類語
架電の類語・類義語としては、電話で話をすることを意味する「通話」、電話などで話を相手に送ることを意味する「送話」、電信や電波を発することを意味する「発信」、電話をかけることや通話の単位を意味する「コール」などがあります。
荷電の意味
荷電とは
荷電とは、物体が帯びている静電気およびその物理量を意味しています。
表現方法は「荷電状態」「荷電数」「荷電する」
「荷電状態」「荷電数」「荷電する」などが、荷電を使った一般的な言い回しです。
荷電の使い方
荷電を使った分かりやすい例としては、「電子やイオンから成る荷電粒子ビームである」「正荷電粒子の荷電数を調べる」「磁場の中で荷電粒子が運動する」「粒子線には荷電粒子線と非荷電粒子がある」などがあります。
その他にも、「電磁場中の荷電粒子の運動について習った」「荷電粒子砲は破壊力のある兵器だ」「陽性に荷電する薬物を吸着させる」「荷電により粒子が獲得する帯電量が異なる」「マイナスに荷電した成分です」などがあります。
荷電という言葉の「荷」は身に引き受けることや、になうことを表し、荷電とは個々の物体や粒子などがもつ電気や電気量を意味します。物理学で使われる言葉であり、電荷とも言います。いろいろな電気現象を起こすもとになるものです。
「荷電粒子」の意味
荷電という言葉を用いた日本語には「荷電粒子」があり、電荷を帯びた粒子のことを意味します。通常はイオン化した原子のことや、電荷を持った素粒子のことであり、電子・イオン・陽子・α粒子などを指します。電圧をかけることにより高速の粒子線が得られるものです。
荷電の対義語
荷電の対義語・反対語としては、帯電体が電荷を失うことや電池などから電気を放出することを意味する「放電」などがあります。
荷電の類語
荷電の類語・類義語としては、摩擦電気など物体にたまったまま動かない電気を意味する「静電気」、蓄電池や蓄電器に外部から電流を流して電気エネルギーを蓄えることを意味する「充電」、電気をためることを意味する「蓄電」などがあります。
架電の例文
この言葉がよく使われる場面としては、電話をかけること、電話することを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「架電にて」という表現は、電話で話したという手段や方法を表しています。例文3にある「架電話」は誤り、正しくは「架電」です。例文4にある「架電中」とは、電話をかけている最中、電話をかけている間を意味します。
荷電の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物体が帯びている静電気や、その物理量を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「荷電粒子砲」とは、物体に帯電する粒子を収束しビーム状に発射する兵器の一つです。例文5にある「荷電子」は誤り、正しくは「価電子」であり、原子内の最外殻の電子殻をまわっている電子のことを意味します。
架電と荷電という言葉は、どちらも「かでん」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、電話をかけることを表現したい時は「架電」を、物体が帯びている静電気を表現したい時は「荷電」を使うようにしましょう。