【篭絡】と【懐柔】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「篭絡」(読み方:ろうらく)と「懐柔」(読み方:かいじゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「篭絡」と「懐柔」という言葉は、どちらも人をうまく丸め込むことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




篭絡と懐柔の違い

篭絡と懐柔の意味の違い

篭絡と懐柔の違いを分かりやすく言うと、篭絡とは心理的に手懐けることに重きを置いた表現、懐柔とは相手を操ることに重きを置いた表現という違いです。

篭絡と懐柔の使い方の違い

一つ目の篭絡を使った分かりやすい例としては、「聞こえのよい言葉で篭絡する方法で味方を増やした」「クールな彼女が甘い言葉に篭絡されるとは」「手八丁口八丁で篭絡されてしまった」「人たらしな彼は自然と相手を篭絡してしまう」などがあります。

二つ目の懐柔を使った分かりやすい例としては、「大物政治家が懐柔的な賄賂を与えていると噂されている」「反対派を懐柔する方法が探している」「マスコミを懐柔しようとしている」「露骨な対日懐柔策を発表した」などがあります。

篭絡と懐柔の使い分け方

篭絡と懐柔という言葉は、どちらも「人をうまく丸めこんで思うままにすること」の意味があります。二つの言葉は、ほぼ同じ意味を持つため使い分けが難しい言葉ですが、あえて違いを言うならば強調する部分でしょう。

篭絡とは、巧みに言いくるめたり、心理的に人をうまく丸め込むことに重きを置いた表現です。一方の懐柔とは、自分の思う通りに従わせることに重きを置いた表現です。篭絡と懐柔という言葉は同義語ですが、ニュアンスの違いがあることに注意して使い分けましょう。

篭絡と懐柔の英語表記の違い

篭絡を英語にすると「inveigling」「ensnaring」「cajoling」となり、例えば上記の「篭絡する方法で」を英語にすると「in a cajoling manner」となります。

一方、懐柔を英語にすると「propitiation」「conciliation」「placation」となり、例えば上記の「懐柔的な賄賂」を英語にすると「conciliatory bribe」となります。

篭絡の意味

篭絡とは

篭絡とは、巧みに手なずけて、自分の思いどおりに操ることを意味しています。

表現方法は「篭絡する」「篭絡される」「篭絡できない」

「篭絡する」「篭絡される」「篭絡できない」などが、篭絡を使った一般的な言い回しです。

篭絡の使い方

篭絡を使った分かりやすい例としては、「耳障りのよい言葉で篭絡する」「彼は篭絡されたかのように彼女にご執心だ」「百戦錬磨のホステスにも篭絡できない客だった」「あの手この手で篭絡を試みる」などがあります。

その他にも、「綺麗ごとを並べたてて篭絡するつもりか」「社長は常務に籠絡されてしまっている」「客を篭絡してまで売り上げを伸ばそうとしている」「彼女は天性の色気で男を篭絡する」などがあります。

篭絡の語源

篭絡という言葉の「篭」は、竹で編んだ入れ物や、中に取り込むことを表し、「絡」は、からむことや、まといつくことを表します。篭絡とは、人をうまくまるめこんで思い通りにあやつること、巧みに言いくるめることを意味する言葉です。

篭絡は「籠絡」とも書ける

篭絡は「籠絡」とも書きます。「篭」は「籠」の俗字であり、正字ではないが世間一般に使われている漢字です。辞書では「籠絡」と表記されていますが、どちらを使っても間違いではありません。

篭絡の対義語

篭絡の対義語・反対語としては、威光や威力で相手をおさえつけることを意味する「威圧」、むりやりおさえつけることを意味する「抑圧」などがあります。

篭絡の類語

篭絡の類語・類義語としては、人をこちらの都合のよいように手なずけることを意味する「飼慣らす」、相手を自分の思うとおりに操ることを意味する「丸め込む」、面倒をよくみるなどして味方に引き入れることを意味する「手懐ける」などがあります。

懐柔の意味

懐柔とは

懐柔とは、うまく扱って、自分の思う通りに従わせることを意味しています。

表現方法は「懐柔する」「懐柔させる」「懐柔される」

「懐柔する」「懐柔させる」「懐柔される」などが、懐柔を使った一般的な言い回しです。

懐柔の使い方

懐柔を使った分かりやすい例としては、「相手を懐柔させてしまう魅力がある」「プレゼント作戦で懐柔するつもり」「なかなか懐柔されない頑固な息子だ」「懐柔と挑発を交互に繰り出してくる」「強圧か懐柔か対応が求められている」などがあります。

その他にも、「反対勢力に懐柔策をとるようになった」「目的達成のため敵を懐柔する」「金品で懐柔して味方に引き入れた」「敵対勢力を従わせる懐柔案を模索している」「あまりに巧みな懐柔工作に驚嘆した」などがあります。

懐柔の語源

懐柔という言葉の「懐」とは、衣服を着たときの胸のあたりの内側の部分や内部を表し、「柔」とは、やわらげることや手懐けることを表します。懐柔とは、うまく扱って、自分の思うとおりに従わせること、抱き込むことを意味します。

「懐柔策」の意味

懐柔という言葉を用いた日本語には「懐柔策」があり、うまく扱って人を自分の思うとおりに従わせる手段や、手なずける方法を意味します。「懐柔策を講じる」などと使います。

懐柔の対義語

懐柔の対義語・反対語としては、、武力や権力などで押さえつけることを意味する「圧迫」、おさえつけることを意味する「弾圧」、強い力や権力で圧迫や抑圧することを意味する「強圧」などがあります。

懐柔の類語

懐柔の類語・類義語としては、利害や立場などの異なるものどうしが協力し合うことを意味する「強調」、自分の意見や主張を押さえて相手の意向に従ったり妥協したりすることを意味する「譲歩」、味方に引き入れることや仲間に誘い込むことを意味する「抱込む」などがあります。

篭絡の例文

1.男を籠絡するには、胃袋を掴むに限ると母は常々言っていた。
2.誰からも愛される人気者の彼女は、自然と周囲の人々を篭絡し皆を味方につけている。
3.友達に「人を篭絡するのが上手いよね」と言われて、嫌な気分になった。
4.その誘拐犯は少女をお菓子で篭絡していたことを自供した。
5.堅物な彼が、簡単に彼女の色仕掛けに篭絡されるとは思わなかった。
6.同性からは好かれていないが彼女はあざとさをうまく使って男性社員や上司を篭絡している。
7.保険外交員の女は美しい容姿と巧みな話術で、男性の会社員たちを篭絡していた。
8.外交においては、相手国の要人を篭絡することが、国益を追求する上で重要だ。
9.悪徳セールスマンは、巧みな話術で顧客を篭絡し、高額な商品を売りつけていた。
10.私はそのオファーを断るつもりであったが、相手からの手八丁口八丁で篭絡されてしまった。

この言葉がよく使われる場面としては、巧みに手なずけて、自分の思いどおりに操ることを表現したい時などが挙げられます。

例文3にあるように篭絡という言葉は、他人を言いくるめて思い通りに操るという意味から、ほめ言葉には使えない、マイナスイメージの言葉です。例文5にある「籠絡される」とは、心を奪われて相手の意のままにあることを表しています。

懐柔の例文

1.プレゼンが上手で、根回しも抜かりない彼は、会議を懐柔するのが得意だ。
2.自分勝手な友人の言いなりになんかなりたくないのに、つい食べ物で懐柔されることがある。
3.精神的な苦痛を与えた後に、優しい態度に豹変して懐柔されるモラハラ夫婦が増えているそうだ。
4.与党は新たな増税施策の反対派を懐柔する構えだが、議会で否決される見通しだ。
5.歴史的にみても、政策には大きく分けて懐柔策と威圧策という2つのタイプがあり併用されてきた。
6.彼女は私たちが対立するグループにつかないよう高いお菓子やプレゼントをくれるなど物で懐柔しようとしてきた。
7.私は大統領に反対派を抑えるためには、なにか懐柔策を考える必要があると提言しました。
8.大企業は、競合他社を懐柔するために、高額な契約金や特典を提示していたことが明らかになった。
9.父親から外出のお許しをもらうために、娘たちはプレゼント作戦で懐柔するつもりだ。
10.会長は敵対勢力を懐柔するために、秘密裏に交渉を進めていたが、うまく行かなかったようだ。

この言葉がよく使われる場面としては、うまく扱って自分の思う通りに従わせることを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「会議を懐柔する」とは、会議で納得させ自分の意見を通すという意味で使われています。例文5では「懐柔策」に対して「威圧策」という言葉が使われ、威圧策とは思想弾圧や言論統制などの権力で押さえつける政策を意味します。

篭絡と懐柔という言葉は、どちらも人をうまく丸めこんで思うままにすることを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、心理的に手懐けることに重きを置いた表現をしたい時は「篭絡」を、相手を操ることに重きを置いた表現をしたい時は「懐柔」を使うようにしましょう。

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