似た意味を持つ「択一」(読み方:たくいつ)と「一択」(読み方:いったく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「択一」と「一択」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
択一と一択の違い
択一と一択の意味の違い
択一と一択の違いを分かりやすく言うと、択一とは複数の選択肢から一つ選ぶこと、一択とは選択肢がないことという違いです。
択一と一択の使い方の違い
一つ目の択一を使った分かりやすい例としては、「突き進むか引き返すか二者択一の判断を迫られた」「二つの過失を択一的に認定することがある」「教養択一試験の対策本を買った」「究極の二者択一だな」などがあります。
二つ目の一択を使った分かりやすい例としては、「最後に残ったあなたには一択しかない」「この辺りの娯楽と言えばカラオケ一択だ」「冬用アウターを買うならダウン一択だろう」「これ一択と決めつけられるのは嫌だ」などがあります。
択一と一択の使い分け方
択一と一択という言葉は、事物を選んだり決定する時に使われ、漢字の前後が入れ替わった言葉ですが、意味は異なります。択一とは二つ以上のものの中から一つを選ぶことを意味し、一択とは他に手段がないこと、迷わずに一つ選ぶことを意味します。
例えば、ケーキ屋さんに入って、ショートケーキ、チョコレートケーキ、モンブランなど沢山の種類があり、迷いながらも一つ選ぶことは「択一」と表現します。一方、沢山の種類があっても迷わずにモンブランを選んだ場合や、モンブランしか売っていない場合は「一択」と表現します。
つまり、択一は複数の選択肢から一つ選ぶことであり、一択とは選択肢がないことや選ぶ余地のないこと、という意味の違いがあります。
択一と一択の英語表記の違い
択一を英語にすると「alternative」「multiple choice」となり、例えば上記の「二者択一の判断」を英語にすると「alternative judgment」となります。
一方、一択を英語にすると「only choice」「one possible choice」「obvious choice」となり、例えば上記の「あなたには一択しかない」を英語にすると「You only have one choice」となります。
択一の意味
択一とは
択一とは、二つ以上のものの中から一つを選ぶことを意味しています。
択一の使い方
択一を使った分かりやすい例としては、「仕事か結婚か二者択一を迫られる」「社労士の択一式試験の効率的な勉強方法が知りたい」「司法試験対策に択一六法が役だった」「ゼミで択一的競合事例を集めている」などがあります。
その他にも、「出題形式は三者択一です」「選択肢問題には択一問題と択多問題があります」「択一問題をヤマカンで当てた」「多肢択一試験なら何とかなるだろう」「ボタン式の択一問題を作成している」などがあります。
択一という言葉の「択」とはチェックして選び出すことを表し、択一とは複数のものの中から一つを選ぶことを意味します。
四字熟語「二者択一」の意味
択一という言葉を用いた四字熟語には「二者択一」があります。二つの事柄のどちらか一方を選ぶことや、二つの選択肢のうちの一方を選ぶことを意味し、「二者選一」とも言います。
「択一した技術」は間違い
択一の間違えやすい言い回しには「択一した技術」があります。正しくは「卓越した技術」であり、物を作るための優れた能力のことを意味します。
択一の類語
択一の類語・類義語としては、複数のものから良いものや目的にかなうものなどを選ぶことを意味する「選択」、多くの中から目的や条件などに合うものを選び定めることを意味する「選定」、必要なものを選んで不要なものを捨てることを意味する「取捨」などがあります。
一択の意味
一択とは
一択とは、問いに対する答えが一つだけであること、ほかに手段がないことを意味しています。
表現方法は「これ一択」「一択だろ」「一択です」
「これ一択」「一択だろ」「一択です」などが、一択を使った一般的な言い回しです。
一択の使い方
一択を使った分かりやすい例としては、「副業するならネットビジネス一択だろう」「今買うならこれ一択ですね」「気持ちは決まっているので返事は一択しかない」「インプラント一択しか提示しない歯科医は信用できない」などがあります。
その他にも、「そんなの迷わず一択だ」「飲み屋は一択しかない寂れた町だ」「もう冷めきっているから別れるの一択しかないよ」「このサイズだとデザインは一択になる」「この状況では延期は無理だ、中止一択しかないよ」などがあります。
一択の読み方
一択は「いったく」と読みます。「いちたく」ではありませんのでご注意ください。
一択は造語だが間違いではない
一択という言葉は、「選択肢が一つ」の意から、俗に「他を選ぶ余地がない」「迷わずこれを選ぶ」という意味で用いられるようになった造語です。実質的な選択肢が一つしかない、と表現することで、複数の選択肢があっても他を選ぶことはあり得ないという意味合いを示します。
一択の類語
一択の類語・類義語としては、物事を行うにあたっての選択をすることができない様を意味する「選ぶ余地のない」、承知も不承知もない様子や有無を言わせない様子を意味する「否応無し」、ただ一つであることやそれ以外にはないことを意味する「唯一」などがあります。
択一の例文
この言葉がよく使われる場面としては、二つ以上のものの中から一つを選ぶことを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「三者択一」とは、三つの選択肢の中から一つを選ぶことを意味します。例文5にある「択一的故意」は法律用語であり、数個の客体のうち、いずれに結果が発生するか確定していない場合の故意を意味します。
一択の例文
この言葉がよく使われる場面としては、問いに対する答えが一つだけであること、ほかに手段がないことを表現したい時などが挙げられます。
例文4にあるように、一択という言葉はゲームやテレビドラマで広まった造語であり、掲載している辞書とそうでない辞書があります。一択という言葉は、上記の例文にあるように、俗に「選択の余地はない」という意味で使われている言葉です。
択一と一択という言葉は、事物を選んだり決定する時に使われ言葉ですが、意味は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、複数の選択肢から一つ選ぶことを表現したい時は「択一」を、選択肢がないことや、選ぶ余地のないことを表現したい時は「一択」を使うようにしましょう。