似た意味を持つ「邂逅」(読み方:かいこう)と「遭遇」(読み方:そうぐう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「邂逅」と「遭遇」という言葉は、どちらも偶然に出会うことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
邂逅と遭遇の違い
邂逅と遭遇の意味の違い
邂逅と遭遇の違いを分かりやすく言うと、邂逅とは好ましい出会いに使われ、遭遇とは好ましくない出会いに使われるという違いです。
邂逅と遭遇の使い方の違い
一つ目の邂逅を使った分かりやすい例としては、「こんな所で君に会うなんて珍しい邂逅だ」「竹馬の友と邂逅する」「十数年ぶりの邂逅に運命を感じた」「あの本との邂逅で人生観が変わった」などがあります。
二つ目の遭遇を使った分かりやすい例としては、「森の中で小熊に遭遇した」「子供が交通事故現場に遭遇してショックを受けた」「デート中に元カレに遭遇してしまった」「住宅地で野生のサルに遭遇するなんて」などがあります。
邂逅と遭遇の使い分け方
邂逅と遭遇という言葉は、辞書の定義上ではどちらも「人や物事に偶然に出会うこと」を意味しますが、使い方には違いが見られます。邂逅は好ましい出会いや運命的な出会いに使われる傾向があり、遭遇は、好ましくない出会いなどの悪い意味で使われる傾向があります。
上記の「竹馬の友と邂逅する」とは、幼馴染みと思いがけないタイミングで偶然に会うことを意味し、再会を良い意味で捉えている表現です。これが「竹馬の友と遭遇する」となると、会いたくなかった幼馴染みとばったり会ってしまったという意味になり、再会を悪い意味で捉えている表現になります。
また、邂逅は話し言葉ではほとんど使われず、もっぱら書き言葉で使われ、話し言葉では「巡りあい」などと表現されます。一方の遭遇は、話し言葉でも書き言葉でも使われています。これらが、邂逅と遭遇という言葉の明確な違いになります。
邂逅と遭遇の英語表記の違い
邂逅も遭遇も英語にすると「encounter」「coming upon」となり、例えば上記の「珍しい邂逅だ」を英語にすると「unsuspected encounter」となります。
邂逅の意味
邂逅とは
邂逅とは、思いがけなく出あうこと、偶然の出会いを意味しています。
表現方法は「邂逅する」「邂逅を果たす」「邂逅を願う」
「邂逅する」「邂逅を果たす」「邂逅を願う」などが、邂逅を使った一般的な言い回しです。
邂逅の使い方
邂逅を使った分かりやすい例としては、「道端で知己の友と邂逅する」「生みの親との邂逅を果たす」「高校の恩師との邂逅を果たす」「憧れのアーティストに街角で邂逅した」「憧れの先輩との邂逅を願う」などがあります。
その他にも、「決勝戦で二人は邂逅し、勝負することになった」「別れた恋人と旅先で邂逅するなんて運命を感じる」「いまさら実の父と邂逅したくなかった」「あの邂逅が私の運命を変えた」などがあります。
邂逅の読み方
邂逅とは「かいこう」と読みます。邂逅は「わくらば」「わくらは」という読み方もあります。「わくらば」「わくらは」と読む場合は、形容動詞となり、意味は「偶然に、まれに」となり、「かいこう」の意味や使い方と微妙に異なるので注意しましょう。
邂逅という言葉の「邂」「逅」は、どちらも「巡りあうこと」を表します。邂逅とは、たまたまうまく巡り合わせることや、思いがけなく出会うことを意味する文学的な表現です。運命的な出会いというニュアンスもあり、邂逅という言葉は文章中だけでなく小説のタイトルにも使われています。
四字熟語「邂逅遭遇」「邂逅相遇」の意味
邂逅という言葉を用いた四字熟語には「邂逅遭遇」「邂逅相遇」があります。どちらも、偶然の出会いや思いがけずひょっこり出会うことを意味しますが、「遭遇」は日本語の表現、「相遇」は中国語由来の表現という違いがあります。
「邂逅一番」は誤字
邂逅を用いた誤った表現には「邂逅一番」があります。正しくは「開口一番」であり、何かを話し始める一番最初に、という意味になります。
邂逅の対義語
邂逅の対義語・反対語としては、必ずそうなることやそれより他になりようのないことを意味する「必然」、人と別れることを意味する「離別」などがあります。
邂逅の類語
邂逅の類語・類義語としては、出会うことや思いがけなく会うことを意味する「出会い」、めぐり合うことを意味する「巡り会い」、出会うことや遭遇を意味する「遭逢」、思いがけなく出会うことを意味する「鉢合わせ」などがあります。
遭遇の意味
遭遇とは
遭遇とは、不意に出会うこと、偶然にめぐり合うことを意味しています。
表現方法は「遭遇する」「遭遇した」「遭遇してしまった」
「遭遇する」「遭遇した」「遭遇してしまった」などが、遭遇を使った一般的な言い回しです。
遭遇の使い方
遭遇を使った分かりやすい例としては、「悲惨な事故現場に遭遇してしまった」「山中で敵に遭遇する」「戦に勝利した直後、別の軍勢と遭遇戦になった」「身の危険に迫る事件に遭遇する」「祖父はUFOと遭遇したと言っている」などがあります。
その他にも、「日本はランサムウェア遭遇率が低い方だ」「我が家はゴキブリ遭遇率が高いと思う」「絶対に遭遇したくない危険生物だ」「建設現場では廃棄物に遭遇することがある」「空想癖があり未知との遭遇に怯えている」などがあります。
遭遇という言葉の「遭」とは思いがけず出会うことや巡りあうことを意味し、「遇」とは思いがけず出会うことを意味します。遭遇とは、思いがけずに人や物事に不意に出あうことを言い、その出あいが好ましくない場合に用いられる傾向があります。
「遭遇戦」の意味
遭遇という言葉を用いた日本語には「遭遇戦」があります。遭遇戦とは、前進中の軍隊が、敵と不意に遭遇することによって起こる戦闘を意味します。戦闘ゲームの言葉としても使われ、詳細が分からない敵との戦闘を指すこともあります。
遭遇の対義語
遭遇の対義語・反対語としては、考えがあってわざとすることを意味する「殊更」、きっぱりと別れることを意味する「決別」などがあります。
遭遇の類語
遭遇の類語・類義語としては、出くわすことや行きあたることを意味する「逢着」、重大な事件や時機にたまたま出あうことを意味する「際会」、縁あってめぐりあうことを意味する「値遇」などがあります。
邂逅の例文
この言葉がよく使われる場面としては、思いがけなく出あうこと、偶然の出会いを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「邂逅を果たす」とは、会いたいと思っていた人と思いがけないタイミングで出会いを遂げることを意味する表現です。例文1から例文4のように、邂逅は人の出会いを表現することが多い言葉ですが、例文5のように物事との出あいにも使われることがあります。
遭遇の例文
この言葉がよく使われる場面としては、不意に出会うこと、偶然に巡りあうことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、遭遇という言葉は人だけでなく動物や場面、自然現象にも使われる言葉です。例文4にある「遭遇説」とは、太陽の近くを他の恒星が通過したときに引き出された物質が惑星になったという説のことです。
邂逅と遭遇という言葉は、どちらも偶然の出会いを意味します。どちらの言葉を使うか迷った場合、好ましい出会いを表現したい時は「邂逅」を、好ましくない出会いを表現したい時は「遭遇」を使うようにしましょう。