【飄々】と【淡々】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「飄々」(読み方:ひょうひょう)と「淡々」(読み方:たんたん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「飄々」と「淡々」という言葉は、どちらも冷静でとらえどころの無いさまを表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




飄々と淡々の違い

飄々と淡々の意味の違い

飄々と淡々の違いを分かりやすく言うと、飄々とは世間に縛られないさまを表し、淡々とは執着しないさまを表すという違いです。

飄々と淡々の使い方の違い

一つ目の飄々を使った分かりやすい例としては、「彼はどんな時も飄々とした人だ」「彼女の飄々とした態度に苛立ちを覚える」「飲み屋街で飄々と歩く父を見つけた」「飄々と吹く風に木の葉が揺れる」などがあります。

二つ目の淡々を使った分かりやすい例としては、「過去の辛い記憶を淡々と話す」「淡々と仕事をこなす日々だ」「彼女は常に淡々としている人だ」「彼の淡々とした語り口が好きです」「淡々たる色使いが上手い」などがあります。

飄々と淡々の使い分け方

飄々と淡々という言葉は、「飄々とした人」「淡々とした人」と使われ、冷静で何を考えているか分からない人の意味で用いられますが、厳密な意味は異なります。

飄々とは、風を語源としており、考えや行動が世間離れしていて掴まえどころのないさまの意味を持つ言葉です。「飄々とした人」とは、周りに流されず、物事に動じない、自分の考えに固執しない人などを表します。

一方、淡々とは、薄い色や味を語源とし、執着や関心が少なくてあっさりしているさまの意味を持ちます。「淡々とした人」とは、執着や関心が少なく、感情的にならない人などを表します。

つまり、飄々とは、風のように世間に縛られないことに重きをおいた表現であり、淡々とはあっさりした色調のように執着しないさまに重きをおいた表現と言えるでしょう。

飄々と淡々の英語表記の違い

飄々を英語にすると「whistling wind」「fluttering」「easygoing」となり、例えば上記の「飄々とした人」を英語にすると「an easygoing person」となります。

一方、淡々を英語にすると「uninterested」「matter-of-fact」「plain」となり、例えば上記の「淡々と話す」を英語にすると「speak in a matter-of-fact way」となります。

飄々の意味

飄々とは

飄々とは、風の吹くさま、風に吹かれてひるがえるさまを意味しています。

その他にも、「考えや行動が世間ばなれしていて、掴まえどころのないさま」「足元がふらついているさま」の意味も持っています。

表現方法は「飄々としてる」「飄々と生きる」「飄々と仕事をする」

「飄々としてる」「飄々と生きる」「飄々と仕事をする」などが、飄々を使った一般的な言い回しです。

飄々の使い方

「すきま風が飄々と入ってくる」「秋になり木の葉が飄々と舞い落ちる」「鯉のぼりが飄々となびいている」などの文中で使われている飄々は、「風の吹くさま、風でひるがえるさま」の意味で使われています。

一方、「飄々としている彼の気持ちを知りたい」「物事を達観し飄々とした老人だ」「マイペースに飄々と生きる」などの文中で使われている飄々は「掴まえどころのないさま」の意味で、「夜道を飄々と歩く」の文中で使われている飄々は「足元がふらついているさま」の意味で使われています。

飄々の語源

飄々という言葉の「飄」とは、訓読みで「つむじかぜ」と読み、風の吹くさまや、風にひるがえり舞うことを意味します。

このような捉えどころのない様子を表すことから、世事にとらわれないさま、世間離れしていて掴まえどころのないさまを表すようになり、現在では、この意味で使われることが多い言葉です。

四字熟語「飄々踉々」の意味

飄々という言葉を用いた四字熟語には「飄々踉々」があり、目的もなくふらふらと歩くさまを意味します。「飄々」「踉々」どちらも足取りが定まらずにふらふらとするという意味があり、それを重ねて強調した言葉です。

飄々の対義語

飄々の対義語・反対語としては、細かいことを気にして落ち着かないさまを意味する「齷齪」(読み方:あくせく)、あくせくしてゆとりのないさまを意味する「汲々」、大またで堂々と歩くことを意味する「闊歩」などがあります。

飄々の類語

飄々の類語・類義語としては、世俗のわずらわしさを気にしないでのびのびしていることを意味する「飄逸」、自分に合った進度や方法を意味する「マイペース」、足を左右に踏み違えて歩くことを意味する「千鳥足」、足もとがしっかりせずよろめくさまを意味する「蹌踉」などがあります。

淡々の意味

淡々とは

淡々とは、色・味・感じなどが、あっさりしているさまを意味しています。

その他にも、「態度や動作などが、あっさりして拘りがないさま」、「水が静かに揺れ動くさま」の意味も持っています。

表現方法は「淡々と過ごす」「淡々と頑張る」「淡々と進める」

「淡々と過ごす」「淡々と頑張る」「淡々と進める」「淡々と話す」「淡々とした日々」などが、淡々を使った一般的な言い回しです。

淡々の使い方

「淡々たる色調の絵が好きです」「淡々とした味わいのスープである」「淡々とした佇まいの庭だ」などの文中で使われている淡々は、「色や感じなどがあっさりしているさま」の意味で使われています。

一方、「事務作業を淡々とこなす」「淡々とした人は苦手です」「何も考えずに淡々と生きることにした」などの文中で使われている淡々は「あっさりして拘りがないさま」の意味で、「水が静かに揺れ動くさま」などの文中で使われている淡々は「淡々と水が流れる」の意味で使われています。

淡々は「澹々」とも書きますが、「澹」は常用外漢字のため、一般的には淡々と書かれています。

淡々の語源

淡々という言葉の「淡」とは、あわいこと、色や味などがうすいことを表します。また、気持ちがあっさりしていることや、情が厚くないことも表す漢字です。淡々とは、色や感じだけでなく、性質や状態などがあっさりしていて、しつこくないさまを表す言葉です。

淡々の対義語

淡々の対義語・反対語としては、心の込もったさまや心を込めて丁寧に説くさまを意味する「懇懇」、心に強く迫るさまや心のこもっているさまを意味する「切切」、味・色・におい・成分などが濃いさまを意味する「濃厚」などがあります。

淡々の類語

淡々の類語・類義語としては、物事にこだわらずさっぱりしていることを意味する「洒落」、性格や態度がさっぱりしていることを意味する「淡泊」、性質や言動がさっぱりして物事にこだわらないさまを意味する「洒洒落落」などがあります。

飄々の例文

1.二次元の世界では飄々としたキャラが好きだけど、リアルに結婚するなら情熱的な人が良いと思う。
2.自分が流されやすいので、物事に動じない飄々とした男を人生のパートナーに選ぼうと思う。
3.ミステリアスで飄々とした人は女性からモテるらしいが、私は好きなタイプではない。
4.2年前に定年退職した父は、時間を持て余しているのか日本全国を飄々としている。
5.冷たい風が飄々と吹く季節になったのに、息子は半袖半ズボンで登校している。
6.彼は上司から怒られたら謝罪はするのだが、どこか飄々としていて、会社や仕事に縛られていないところが私の憧れだった。
7.飄々とした性格の息子は、時にそれがいい加減さや身勝手さ、幼さと捉えられ、要らぬ誤解を招くこともある。
8.わたしは飄々とした生き方を模索していたが、それをもとめればもとめるほど執着にとらわれてしまいなかなかうまく行かなかった。
9.彼はいつものような虚勢や強がった様子もなく、飄々と質問に答えたのだが、それがかえってわたしに疑念を抱かせたのだ。
10.彼はライバル企業の社旗が飄々となびいているのをみて、この企業とこれから戦うのだと気持ちを発奮させていた。
11.今までは皆と歩調を合わせて生きなければならなかったが、今の時代はマイペースに飄々と生きることができるのではないか。

この言葉がよく使われる場面としては、世間ばなれがしてつかまえどころのないさま、風が吹くさま、目的もなくふらふらと行くさまを表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文3の飄々は、世間離れしていて掴まえどころのないさまの意味で使われています。例文4にある飄々は目的もなくふらふらと行くさまの意味で、例文5にある飄々は風が吹くさまの意味で使われています。

淡々の例文

1.この冬は、淡々とした色調のミルキーコーデが流行るらしいよ。
2.難しいことを考えるのは苦手だが、目の前の仕事を淡々と進めるルーチンワークは得意です。
3.淡々と話すより抑揚をつけて話した方が相手に伝わりやすいし、印象も良くなると思うよ。
4.彼は淡々とした人で何を考えているが分からない時があるが、いつも冷静沈着でいるから安心して仕事を頼める。
5.くる日もくる日も職場と家との往復との往復で、淡々とした日々に嫌気がさしている。
6.若い頃は刺激が欲しくて騒がしい日々を好んで過ごしたが、年老いた今、一日一日を淡々と過ごしていくことが何よりも幸せだ。
7.皆が繁忙期の激務にヒーヒーと喘いでいる中、彼だけは文句一つ言うこと無く淡々とこなしていてそれが異様にみえたのだ。
8.わたしのお気に入りのお店では、メインディッシュよりもコンソメスープが好きで、あの淡々とした味わいが忘れられないのだ。
9.今までの大学生活では、教室と家を行き来するような淡々とした日々を送っていたが、彼との出会いによって生活は一変したのだ。
10.いままではつまらない仕事だと思って嫌々やってきたのだが、慣れてくると淡々と作業をこなすことに喜びを覚えてきたのだ。
11.会見で被害者家族は淡々とした口調だったが、その中ににじみ出る怒りの感情を記者であるわたしは見逃さなかった。

この言葉がよく使われる場面としては、色や味などがあっさりしているさま、態度などがこだわりがないさまを表現したい時などが挙げられます。

例文1の淡々は色があっさりしているさまの意味で使われ、例文2から例文5にある淡々は態度などがこだわりがないさまの意味で使われいます。例文5にある「淡々とした日々」とは、変化が少ない状況を表し、ネガティブな意味で使われる言葉です。

飄々と淡々という言葉は、どちらも冷静でとらえどころの無いさまを表しますが、意味は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、世間に縛られないさま表現をしたい時は「飄々」を、執着しないさまを表現したい時は「淡々」を使うようにしましょう。

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