似た意味を持つ「おとり捜査」(読み方:おとりそうさ)と「仮装身分捜査」(読み方:かそうみぶんそうさ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「おとり捜査」と「仮装身分捜査」という言葉は、どちらも捜査機関が行う捜査手法のことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「おとり捜査」と「仮装身分捜査」の違い
「おとり捜査」と「仮装身分捜査」の意味の違い
「おとり捜査」と「仮装身分捜査」の違いを分かりやすく言うと、「おとり捜査」は犯人に犯罪を実行させる状況を作り出して現行犯逮捕を狙うこと、「仮装身分捜査」は犯罪を誘発せず情報収集や証拠確保のために身分を隠して行うという違いです。
「おとり捜査」と「仮装身分捜査」の使い方の違い
一つ目の「おとり捜査」を使った分かりやすい例としては、「詐欺事件の真相解明におとり捜査が役立った」「おとり捜査で盗品の流通ルートを突き止めた」「違法賭博摘発のためおとり捜査を行った」「警察はおとり捜査で麻薬の密売人を逮捕した」などがあります。
二つ目の「仮装身分捜査」を使った分かりやすい例としては、「仮装身分捜査により闇金融業者を摘発した」「仮装身分捜査は市民に危険を及ぼさない」「仮装身分捜査で詐欺グループの拠点を突き止めた」「警察は仮装身分捜査を行い違法風俗店の実態を把握した」などがあります。
「おとり捜査」と「仮装身分捜査」の使い分け方
「おとり捜査」と「仮装身分捜査」はどちらも捜査機関が行う捜査手法のことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「おとり捜査」は「麻薬取引の現場に警察官が潜入し、実際に取引に応じて犯人を現行犯逮捕する」のように、警察官や協力者がおとり役となって被疑者を誘い出し、犯罪の現場を押さえるために行う捜査になります。
一方、「仮装身分捜査」は「警察官が一般人や業者に変装して、違法営業の現場に客として入り込む」のように、警察官が身分を隠して行う通常の聞き込みや情報収集など、犯罪を誘発しない範囲で行う潜入捜査を指します。
つまり、犯人に犯罪を実行させる状況を作り出して現行犯逮捕を狙うのが「おとり捜査」、犯罪を誘発せず情報収集や証拠確保のために身分を隠して行うのが「仮装身分捜査」と覚えておきましょう。
「おとり捜査」と「仮装身分捜査」の英語表記の違い
「おとり捜査」を英語にすると「sting operation」「decoy investigation」となり、例えば上記の「警察はおとり捜査で麻薬の密売人を逮捕した」を英語にすると「The police arrested the drug dealer through a sting operation」となります。
一方、「仮装身分捜査」を英語にすると「undercover investigation」「undercover operation」となります。
例えば上記の「警察は仮装身分捜査を行い違法風俗店の実態を把握した」を英語にすると「The police conducted an undercover investigation to uncover the reality of the illegal business」となります。
「おとり捜査」の意味
「おとり捜査」とは
「おとり捜査」とは、捜査機関が対象者に犯罪の実行を働きかけて犯罪が実行されるのを待って対象者を検挙する捜査手法のことを意味しています。
「おとり捜査」の使い方
「おとり捜査」を使った分かりやすい例としては、「おとり捜査で覚醒剤の売人を捕まえた」「犯人を現行犯で捕まえるためにおとり捜査を仕掛けた」「おとり捜査は慎重さと計画性が求められます」「不審者逮捕のきっかけはおとり捜査だった」などがあります。
「おとり捜査」は警察などの捜査機関が、あえて犯人をおびき寄せるような状況を作り出して行う捜査方法のことです。簡単に言うならば、警察が仕掛けを用意して犯人を誘い出し、現行犯で逮捕することを狙った捜査手法を指します。
「おとり捜査」の語源
「おとり捜査」という言葉の「おとり」は、もともと狩猟などで獲物をおびき寄せるために使う餌や囮のことを表しました。そこから、犯罪捜査においても、犯人を誘い出すために仕掛ける方法や手段の意味で使われるようになった言葉です。
「おとり捜査」の特徴
おとり捜査とは、警察などの捜査機関が意図的に状況を作り出し、犯人を現場に引き出して逮捕するために行う捜査手法を意味します。計画的に行われるため、証拠を確実に押さえられる利点がある一方で、過剰に誘発すると違法とされる場合があるため慎重さが求められます。
「おとり捜査」は、警察の捜査が行き過ぎた場合や市民を巻き込むリスクがあるため、法的や倫理的な議論がつきまとうというのが課題の一つです。
「おとり捜査」の類語
おとり捜査の類語・類義語としては、組織内部に潜り込む「潜入捜査」があります。
「仮装身分捜査」の意味
「仮装身分捜査」とは
「仮装身分捜査」とは、捜査員が仮装の身分を使用して捜査対象者と接触するなどして情報や証拠の収集を行う捜査手法のことを意味しています。
「仮装身分捜査」の使い方
「仮装身分捜査」を使った分かりやすい例としては、「仮装身分捜査で違法薬物の販売現場を確認した」「警察は仮装身分捜査で違法営業の証拠を押さえた」「仮装身分捜査では自然なふるまいが必要だ」「仮装身分捜査は犯罪を誘発してはならない」などがあります。
「仮装身分捜査」は、警察官が自分の本当の身分を隠し、あえて別人を装って行う捜査方法のことです。簡単に言うならば、警察が身分を偽り、現場に潜入して証拠や情報を集める手法を指します。
例えば、薬物の密売グループに捜査官が買い手として接触し、内部の取引の様子や関係者を特定するケースや、暴力団事務所の近くで一般人のふりをして情報を収集するケースなどがあります。
「仮装身分捜査」の特徴
「仮装身分捜査」は通常の方法では証拠や情報を得るのが困難な犯罪に対して行われるのです。主な摘発先としては、振り込め詐欺グループ、闇バイト、違法賭博や売買春の取り締まりなどがあります。
「仮装身分捜査」を適切に行うためには、捜査官が必要以上に挑発的な行為をしないことが重要だと言われています。過剰に犯罪を誘発してしまうと「違法な仮装身分捜査」とされる可能性があり、得られた証拠が裁判で使えなくなるリスクがあるからです。
「仮装身分捜査」の語源
「仮装身分捜査」の語源は、「仮装」という言葉が一時的に姿や格好を変えることを意味することから来ています。そこに「身分」という言葉を加え、警察官が一時的に自分の身分を隠す捜査手法を指す言葉として使われるようになりました。
「おとり捜査」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、捜査機関が対象者に犯罪の実行を働きかけて犯罪が実行されるのを待って対象者を検挙する捜査手法のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「おとり捜査」は人に犯罪を実行させる状況を作り出して現行犯逮捕を狙う時に使う言葉です。
「仮装身分捜査」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、捜査員が仮装の身分を使用して捜査対象者と接触するなどして情報や証拠の収集を行う捜査手法のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「仮装身分捜査」は犯罪を誘発せず情報収集や証拠確保のために身分を隠して行う時に使う言葉です。
「おとり捜査」と「仮装身分捜査」はどちらも捜査機関が行う捜査手法のことを表します。
どちらの言葉を使うか迷った場合、犯人に犯罪を実行させる状況を作り出して現行犯逮捕を狙うのが「おとり捜査」、犯罪を誘発せず情報収集や証拠確保のために身分を隠して行うのが「仮装身分捜査」と覚えておきましょう。