似た意味を持つ「快哉」(読み方:かいさい)と「善哉」(読み方:ぜんざい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「快哉」と「善哉」という言葉は、どちらも喜ばしいことを表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
快哉と善哉の違い
快哉と善哉の意味の違い
快哉と善哉の違いを分かりやすく言うと、快哉とは愉快な感情を表し、善哉とは良いという評価を表すという違いです。
快哉と善哉の使い方の違い
一つ目の快哉を使った分かりやすい例としては、「合格通知が届いて快哉を叫ぶ」「コンサート会場でファンが快哉の声を上げる」「痛快なアクションシーンに思わず快哉を叫んだ」「イベントを盛り上げる演出に快哉をあげる」などがあります。
二つ目の善哉を使った分かりやすい例としては、「師範に自分の書を善哉と褒められた」「仲が良くてまことに善哉なことである」「このお店の善哉はとっても美味しいよ」「今日は冷やし善哉の気分だな」などがあります。
快哉と善哉の使い分け方
快哉と善哉という言葉は、どちらも喜ばしい時に用いられるプラスイメージの言葉ですが、厳密な意味は異なります。快哉とは愉快だと思うことを意味し、喜ばしい出来事に対して感じる感情を表します。一方、善哉とは非常に良いと感じることを意味し、喜ばしい出来事に対する評価を表します。
快哉と善哉に共通する「哉」とは、感動を表す助字であり「…だなあ」としみじみと感じ入ることを表現します。快哉と善哉も、日常会話ではあまり使われない文語的表現です。
また、「善哉」は小豆を砂糖で甘く煮た食べ物の意味もあり、この意味で使われることの方が多くなっています。
快哉と善哉の英語表記の違い
快哉を英語にすると「exultation」「joy」「excitement」となり、例えば上記の「快哉を叫ぶ」を英語にすると「shout for joy」となります。
一方、善哉を英語にすると「sweet red bean soup」「bravo」「well done」となり、例えば上記の「善哉と褒められた」を英語にすると「I was praised as bravo」となります。
快哉の意味
快哉とは
快哉とは、ああ愉快だと思うこと、心が晴れやかになることを意味しています。
快哉の使い方
快哉を使った分かりやすい例としては、「商談が上手くいき心の中で快哉を叫ぶ」「イベント会場には快哉の声が溢れていた」「悲しんでる人もいるのに快哉を上げるべきではない」「思わず素っ頓狂な声で快哉を叫んだ」などがあります。
その他にも、「優勝した選手らが快哉を叫ぶ姿が映し出された」「久しぶりの競馬で快哉を上げた」「意中の彼からの告白に胸の中で快哉を叫んだ」「その朗報に思わず膝をたたき快哉を叫ぶ人もいた」などがあります。
快哉の語源
快哉という言葉は、「快なる哉(かな)」の意を持つ熟語です。「快」とは、気持ちがよいことや、胸のすくような感じを表します。「哉」は、感動の意を表わす助辞です。快哉とは、愉快だと思うことを表す言葉です。
「快哉を叫ぶ」「快哉の声を上げる」の意味
快哉を用いた言い回しには「快哉を叫ぶ」「快哉の声を上げる」があります。痛快で気持ちのよい事柄に、歓声を上げることを表現します。試験に合格した時や、勝負事に勝った時、あるいは悩んでいたことが解決した時になどに用いられています。
快哉の対義語
快哉の対義語・反対語としては、愉快でないことや嫌な気分になることを意味する「不愉快」、機嫌の悪いことを意味する「不機嫌」、胸がむかむかするほど不快であるを意味する「胸糞が悪い」などがあります。
快哉の類語
快哉の類語・類義語としては、胸がすくようで非常に気持ちがよいことを意味する「痛快」、楽しく気持ちのよいことや面白く心が浮きたつことを意味する「愉快」、心が晴れ晴れするさまや快く楽しいことを意味する「面白い」などがあります。
善哉の意味
善哉とは
善哉とは、焼餅の上に小豆餡をかけた善哉餅のことを意味しています。
その他にも、「よいと感じるさま、喜び祝うさま」、「ほめたたえる語で、実に良い、そのとおりである」の意味も持っています。
善哉の使い方
「甘い善哉が大好物です」「鏡開きのお餅は善哉にします」「お雑煮は飽きたので善哉にしよう」「甘味処で夫婦善哉を頂く」などの文中で使われている善哉は、「焼餅の上に小豆餡をかけた善哉餅のこと」の意味で使われています。
一方、「夫婦円満で善哉ですね」「ご栄転とは善哉なことです」の文中で使われている善哉は「よいと感じるさま」の意味で、「善哉善哉、さらに励めよ」「師匠に善哉と言わせたい」などの文中で使われている善哉は「実に良い、そのとおりである」の意味で使われています。
善哉の由来
善哉という言葉は、仏教用語に由来し、「すばらしい」を意味するサンスクリット語の漢訳とされています。古代インドで議決の際に、「それで良い」「実に良い」という賛成や賞賛を表す語でしたが、そこから、ほめたたえる語の意味や、良いと感じるさまの意味を持つようになりました。
さらには、一休禅師が小豆を煮た汁に餠を入れて神に供えた食べ物を、あまりの美味しさに「善哉」と叫んだ事から、「善哉」「善哉餅」と名付けられたと言われています。関西ではつぶしあんの汁粉、関東では餅に濃いあんをかけたものを指します。
「夫婦善哉」の意味
善哉という言葉には複数の意味がありますが、日常会話では「焼餅の上に小豆餡をかけた善哉餅のこと」の意味で使われています。上記の例文の「夫婦善哉」とは、一人前の善哉を等分して2つの椀で出すことです。
善哉の類語
善哉の類語・類義語としては、小豆あんを汁状にし砂糖を加えて煮たものに餅などを入れた食物を意味する「汁粉」、喜び満足することを意味する「悦楽」、りっぱな行為や優れた技量に心を動かされることや心に深く感じることを意味する「感心」などがあります。
快哉の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ああ愉快だと思うこと、胸がすくことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「快哉の声」とは、喜びを抑えきれずに叫ぶ声を表しています。例文2では、喜んで大きな声を上げるような状態を「快哉を上げるような」と表現しています。
善哉の例文
この言葉がよく使われる場面としては、実に良い、喜び祝うさま、善哉餅のことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある善哉は、褒めたたる語で「実に良い」という意味で使われています。例文2や例文3の善哉は、よいと感じるさまや喜び祝うさまを表しています。例文4や例文5の善哉は、焼餅の上に小豆餡をかけた甘味食品である善哉餅の意味です。
快哉と善哉という言葉は、どちらも喜ばしい出来事にあったときに使われる表現です。どちらの言葉を使うか迷った場合、愉快だと思うことを表現をしたい時は「快哉」を、喜ばしいと思うことを表現したい時は「善哉」を使うようにしましょう。