同じ「さいご」という読み方の「最期」と「最後」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「最期」と「最後」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
最期と最後の違い
最期と最後の意味の違い
最期と最後の違いを分かりやすく言うと、最期とは一度しか訪れない終わりを表し、最後とはあらゆる物事の終わりを表すという違いです。
最期と最後の使い方の違い
一つ目の最期を使った分かりやすい例としては、「病院で父の最期を看取った」「最期を迎える場所は自宅がいい」「最期の過ごし方を家族で話し合う」「最期に会いたい人がいます」「悲惨な最期を遂げる」などがあります。
二つ目の最後を使った分かりやすい例としては、「可能性は低くとも最後の最後まであきらめない」「列の最後から二番目に並んだ」「最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか」「今年最後の食事会となる」などがあります。
「人生の最期」と「人生の最後」の違い
最期と最後という言葉は、どちらも「さいご」と読む同音異義語です。「人生の最期」「人生の最後」のように用いられ、生命の終わりという共通する意味がありますが、二つの言葉には違いがあります。
最期とは命の終わるときや死にぎわを意味し、「人生の最期」とは人が死ぬ間際の時期を表します。また「時代の最期」のように、国や文明の滅亡を表す時にも用いられる言葉です。
一方、最後とは物事の終わりを意味し、「人生の最後」の最後は最期に置き換えることができます。しかし、上記の例文の「列の最後」とは続いている列の一番後ろを意味し、最後を最期に置き換えることはできません。
つまり、最期とは一度しか訪れないような終わりに特化した表現ですが、最後とはあらゆる物事の終わりを表します。最期と最後を比べると、最後の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉と言えます。
なお、人の生命の終わりを「人生の最後」と表現することは誤用ではありませんが、何度もあることではないので「人生の最期」と表現する方が適切でしょう。
最期と最後の英語表記の違い
最期を英語にすると「one’s last moment」「one’s death」「one’s end」となり、例えば上記の「父の最期」を英語にすると「my father’s death」となります。
一方、最後を英語にすると「last」「final」「end」となり、例えば上記の「最後の最後まで」を英語にすると「until the very end」となります。
最期の意味
最期とは
最期とは、命の終わるとき、死にぎわを意味しています。
最期の読み方
最期の読み方は「さいご」です。誤って「さいき」と読まないようにしましょう。
表現方法は「最期の言葉」「最期の時」「最期を看取る」
「最期の言葉」「最期の時」「最期を看取る」などが、最期を使った一般的な言い回しです。
最期の使い方
最期を使った分かりやすい例としては、「孤独な最期を迎えることになりそうだ」「最期を迎える場所を家族で話し合う」「祖父の最期の言葉が忘れられません」「自宅で祖母の最期を看取る」などがあります。
その他にも、「独裁体制の最期の君主であった」「非業の最期を遂げた偉人です」「最期の時が近づいたと感じている」「コロナウイルスの影響で最期の時に立ち会えない」「最期を迎えたい場所はありますか」などがあります。
最期という言葉は、生命の終わる時期や死ぬ時を意味します。人間や動物が死ぬ直前のタイミングを表すほか、「独裁体制の最期」「文明の最期」のように、抽象的な物事の終わりを表す時にも用いられます。最期の「期」は、区切られた一定の時間や決められた時点を意味する漢字です。
最期という言葉を用いた有名な一節には、「最期の時不覚しつれば、長き疵にて候ふなり」があります。これは平家の栄華と没落を描いた「平家物語」の言葉であり、死にぎわのときに失態をすると後の世にまで長く不名誉であることを意味します。
最期の対義語
最期の対義語・反対語としては、生まれでることや人が生まれることを意味する「出生」、人や動物が生まれることを意味する「誕生」、人が生まれでることを意味する「生誕」聖人や帝王などがこの世に生まれることを意味する「降誕」などがあります。
最期の類語
最期の類語・類義語としては、死ぬ時や命が尽きる時を意味する「死期」、人が死のうとする間際を意味する「臨終」、人の死のうとする時を意味する「末期」、死にぎわや臨終を意味する「今際」、生命が終わることや死を迎えることを意味する「終焉」などがあります。
最後の意味
最後とは
最後とは、物事の一番あとや後ろ、一番終わりを意味しています。
その他にも、「それで終わりで後はどうにもならないこと」「命の終わるとき」の意味も持っています。
表現方法は「したが最後」「最後の最後」「最後の晩餐」
「したが最後」「最後の最後」「最後の晩餐」などが、最後を使った一般的な言い回しです。
最後の使い方
「辛くとも最後の最後までやり抜く」「留学生活の最後を飾るパーティーだ」「最後に一言ありますか」「ラストスパートで最後の力を振り絞る」「最後の手段に出る」などの文中で使われている最後は、「物事の一番あとや後ろ」の意味で使われています。
一方、「最後まで愛すると誓う」「ミケランジェロの最後の審判を鑑賞する」などの文中で使われている最後は「命の終わる時」の意味で、「契約したが最後、支払いが発生する」「食べ出したら最後、止まらない」などの文中で使われている最後は「後はどうにもならないこと」の意味で使われています。
最後という言葉は、文字通り「最も後ろ」を表します。物事の一番終わりや最終、終末を意味し、人生の最後である「命の終わるとき」も表します。また、「…が最後」「…たら最後」の形で、一度したらそれきりの意味を表わすこともあります。
「最後を飾る」の意味
上記の例文の「最後を飾る」とは、物事の最後が立派に仕上げることや仕上がることを意味します。また、舞台などの最後に出てきて締めることを表す時にも用いられる表現です。
最後の対義語
最後の対義語・反対語としては、順序のいちばん先を意味する「はじめ」、一番はじめを意味する「最初」、順序の一番はじめを意味する「第一」などがあります。
最後の類語
最後の類語・類義語としては、一番終わりを意味する「最終」、物事の終わりの部分を意味する「仕舞」、物事が終わることや終わろうとするところを意味する「終り」、最後や終わりを意味する「ラスト」、ものの最後や終わりを意味する「末尾」などがあります。
最期の例文
この言葉がよく使われる場面としては、命の終わる時期、死ぬ時を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「最期を看取る」の意味は、死期まで見守ることや、病人のそばにいて世話をすることです。例文3にある「最期を迎える」とは、確実にやってくる死期が訪れることや目前にすることを意味する丁寧な表現です。
最後の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事のいちばん終わり、それをしたらそれですべて終わり、死ぬ時を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「最後になりましたが」とは、スピーチや手紙の締めくくる言葉として多用されるフレーズです。例文3にある「最後の最後」とは、最後を強調した言い回しであり、次の機会が無いことや、終わりまでの時間がごくわずかしか残っていない状況を表します。
最期と最後という言葉は、どちらも終わりのときを意味する言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、たった一度しか訪れない物事や命の終わりを表現したい時は「最期」を、あらゆる物事の終わりを表現したい時は「最後」を使うようにしましょう。