【閣僚】と【官僚】と【大臣】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「閣僚」(読み方:かくりょう)と「官僚」(読み方:かんりょう)と「大臣」(読み方:だいじん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「閣僚」と「官僚」と「大臣」という言葉は、政治にかかわる役人という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




閣僚と官僚と大臣の違い

閣僚と官僚と大臣の意味の違い

閣僚と官僚と大臣の違いを分かりやすく言うと、閣僚は内閣を構成する人たちを表現する時に使い、官僚は役人を表現する時に使い、大臣は役職を持った個人を表現する時に使うという違いです。

閣僚と官僚と大臣の使い方の違い

閣僚という言葉は、「その議題に関する主要閣僚たちの話を聞く」「閣僚に対する質疑応答は長く続いた」などの使い方で、内閣を構成する各大臣を意味します。

官僚という言葉は、「官僚の天下りに関するニュースがやっている」「高級官僚と呼ばれる人たちも霞が関に缶詰めである」などの使い方で、政策の決定に影響力を持つような役人を意味します。

大臣という言葉は、「国務大臣の過半数は国会議員でなくとも問題ない」「総理大臣が報道番組に生放送出演していた」などの使い方で、国務大臣や各省大臣の呼び方を意味します。

閣僚と官僚と大臣の使い分け方

閣僚は国務大臣を指す言葉であるため言葉の使われ方もほとんど同じですが、閣僚は内閣総理大臣を含んだ大臣たちを指すのに対して、大臣は内閣総理大臣以外の大臣を指す時に使われることがあります。

また、閣僚は内閣を構成する人々という意味で使われるのに対して、大臣は役職を持った個人を指して使うことが多い言葉でもあります。

内閣を構成する国家公務員である閣僚と大臣の一方で、官僚は内閣を構成するわけではない一般職で、国家公務員の課長以上の上層部として勤めている役人を指します。首相秘書官や首相補佐官、事務次官らがこれに当たります。

この官僚である事務次官の上司が、大臣、副大臣らになるため、地位の高さで言えば、閣僚=大臣>官僚となります。

これらが、閣僚、官僚、大臣の明確な違いです。

閣僚の意味

閣僚とは

閣僚とは、内閣を構成する各大臣を意味しています。

閣僚を使った言葉として、「閣僚委員会」「関係閣僚会議」があります。

「閣僚委員会」の意味

一つ目の「閣僚委員会」とは、重要な政策課題に関して、首相を含む関係閣僚が協議を行い、調整を行う場所を指す言葉です。地球温暖化に関してなど課題ごとにこの委員会は設けられます。

閣僚という少人数で議論を行うことで、政治家たちが官僚らに依存せずに政策の立案や決定を行うことが出来るようになります。イギリスの閣内委員会を参考に、日本でも2009年に成立しました。

「関係閣僚会議」の意味

二つ目の「関係閣僚会議」とは、内閣が処理する案件のうち重要な問題の検討や調整を行うために、関係省庁の大臣を構成員として設置される協議機関を指す言葉です。

一つの省庁が抱える問題ではなく、複数の省庁に関わる問題に対応するために随時設置されています。

表現方法は「閣僚人事」「閣僚人数」「閣僚任命権」

上記以外では「閣僚人事」「閣僚人数」「閣僚任命権」などが、閣僚を使った一般的な言い回しです。

閣僚の類語

閣僚の類語・類義語としては、最高裁判所や文化庁など中央官署の外局などにおいて最高位の役人を意味する「長官」があります。

官僚の意味

官僚とは

官僚とは、政策決定に影響力をもつ中級ないし上級の公務員を意味しています。

官僚を使った言葉として、「官僚制」「官僚主導」があります。

「官僚制」の意味

一つ目の「官僚制」とは、職務の内容や責任などが分業化されており、ヒエラルキーが存在し、能力を重視して役人が採用されるような制度を指す言葉です。

日本では、閣議決定をする前に事前に政策を調整したり、官僚が政治家と深く関わることで利害が一致するように付き合いをすることから、官僚が政治を支配していると言われています。

「官僚主導」の意味

二つ目の「官僚主導」とは、官僚が政治的な意思決定の主導権を握っている状態を表す言葉です。本来は、選挙で選ばれた政治家が政治を主導することが望ましいという考えである「政治主導」の対になる考えです。

今日の日本では官僚が実質的に政治の主導権を握っている状態にあるため、批判的な意味として「官僚主導」や「官僚政治」と言われることが多いです。

表現方法は「キャリア官僚」「官僚になりたい」「官僚離れ」

「キャリア官僚」「官僚になりたい」「官僚離れ」などが、官僚を使った一般的な言い回しです。

官僚の類語

官僚の類語・類義語としては、国家公務員を意味する「官吏」(読み方:かんり)、国や地方自治体の機関に勤めている人を意味する「役人」、広く公衆に奉仕する人を意味する「公僕」(読み方:こうぼく)などがあります。

大臣の意味

大臣とは

大臣とは、国務大臣や各省大臣の呼び方を意味しています。

大臣の読み方

大臣は「だいじん」と読みますが、かつて日本では「おおおみ」「おおまえつぎみ」「おとど」などの読み方をしていました。どれも政治に関わった人を表す言葉に変わりはありません。

大臣を使った言葉として、「大臣官房」「大臣折衝」があります。

「大臣官房」の意味

一つ目の「大臣官房」とは、日本の行政機関のうち、内閣府および各省に必ず置かれる部局の一つです。

具体的には、機密に関する事項や、職階や任免などの人事、文書管理、国会との連絡に関することなどの事務を取り扱います。

かつて警視庁にも官房があり、総監官房と称されていたように、庁にも官房を設置することが出来ますが、総務部などで代替されることもあります。

「大臣折衝」の意味

二つ目の「大臣折衝」(読み方:だいじんせっしょう)とは、ある省庁の大臣が他の省庁の大臣などと交渉をすることを指す言葉です。特に、予算編成に関しての議論および調整が行われることが多い場です。

表現方法は「防衛大臣」「法務大臣」「総理大臣」

上記以外では「防衛大臣」「法務大臣」「総理大臣」などが、大臣を使った一般的な言い回しです。

大臣の類語

大臣の類語・類義語としては、国家を代表して外国に駐在して外交事務を取り扱う職務を意味する「公使」、官吏や役人を意味する「官人」(読み方:かんじん)があります。

閣僚の例文

1.昔の閣僚名簿を眺めていると、内閣総理大臣を何度も務めた人など様々な情報が目に入る。
2.閣僚会議を行うことで官僚に政治が取って代わられることのないようにできる。
3.外国の閣僚に、かつて社会的な問題を起こした疑惑があるとして多くの国民に批判されている。
4.従来、重要閣僚といえば財務大臣や外務大臣、経済産業大臣などが挙げられるが、これからはデジタル大臣も重要閣僚になるのではとないかと見ている。
5.我が国のエネルギー政策、とくに原発政策について主要閣僚たちにどのような考えを持っているのか質問をしてみたのだが、あまり明確な回答を得られなかった。
6.総理大臣になると閣僚を決めることが出来るが、実際は自由に決めることが出来わけでもなく、党内からどの派閥から何人閣僚を送るかで調整がなされる。
7.閣議決定は閣僚の全員一致が原則で一人でも反対がいると決定できないが、過去には反対した閣僚を首相が罷免した上で閣議決定がされたこともある。

この言葉がよく使われる場面としては、内閣を構成する各大臣を意味する時などが挙げられます。

例文3の閣僚という言葉は、内閣を構成する大臣複数人を指すのか、一人のみを指すのかが明確にされていないため、大臣という言葉に置き換えて使うことが出来ます。

官僚の例文

1.官僚と政治家のつながりはメリットもあれば、政治主導ではなくなると言うデメリットもある。
2.官僚らに対する接待が問題になっているというニュースをテレビで見た。
3.長時間労働をこなしている官僚の実態を知って、官僚を目指す人も減ったのではないだろうか。
4.例え一流の大学を出て一流の官公庁に入省して、出世レースを勝ち抜いて事務次官になったとしても現役官僚は天下りのことではOBに頭が上がらない。
5.日本の資本主義社会は、民間の活力を生かすと言うよりも官僚たちがお膳立てして決めているので、評論家からは官僚社会主義だと揶揄されることもある。
6.野党による質問主意書は直前になって出されるので、高級官僚といわれるエリートたちも、徹夜でその作業に忙殺されるというのだから大変だと思う。
7.現状、日本の政治家は官僚をシンクタンク代わりに使っている有様で、それでは官僚のセクショナリズムに沿った政策しか立案できないのではないだろうか。

この言葉がよく使われる場面としては、政策決定に影響力をもつ中級ないし上級の公務員を意味する時などが挙げられます。

官僚という言葉は、「役人」という言葉に置き換えて使うことができますが、「閣僚」や「大臣」となると意味が変わってしまうため、置き換えて使うことはできません。

大臣の例文

1.その大臣が職務を行うようになってから、様々な業界に良い影響をもたらしてくれるようになった。
2.基本的には国務大臣の数は14名だが、オリンピックや復興などの対応を行うための大臣の枠が設置されている。
3.次の総理大臣として支持したい人は誰かという街頭インタビューを受けた。
4.朝廷の官職にある右大臣と左大臣はどちらが偉いのかは、時折迷うことがあるが、浴衣を着る時に左前になることから左大臣が上位であることをそれで思い出したりする。
5.現職総理大臣の息子が、総務省のおエライさんと会っていたことは、国民にも深刻に受け止められており、日本の政治的公平性は虚構に過ぎないのかという失望感さえある。
6.彼は主要な大臣経験もないのに総理大臣まで上り詰めたので、ただものではないとの論評もあるが、総理大臣の威厳が無くなったのではという見方もある。
7.野党のエース級の議員が厳しく金銭疑惑を追及し、大臣の答弁がしどろもどろになり、まわりはヤジの嵐になってしまったので委員会がストップした。

この言葉がよく使われる場面としては、国務大臣や各省大臣の呼び方を意味する時などが挙げられます。

どの例文も大臣一人に焦点を当てた文章となっているため、閣僚という言葉に置き換えて使うことはできません。

閣僚と官僚と大臣どれを使うか迷った場合は、内閣を構成する人たちを表す場合は「閣僚」を、役人を表す場合は「官僚」を、役職を持った個人を表す場合は「大臣」を使うと覚えておけば間違いありません。

言葉の使い方の例文
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