似た意味を持つ「景況感」(読み方:けいきょうかん)と「景気」(読み方:けいき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「景況感」と「景気」という言葉は、どちらもを経済活動の状態を表す時に用いらているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
景況感と景気の違い
景況感と景気の意味の違い
景況感と景気の違いを分かりやすく言うと、景況感とは景気に対する印象、景気とは経済活動の状況という違いです。
景況感と景気の使い方の違い
一つ目の景況感を使った分かりやすい例としては、「業種間の景況感の違いがはっきりしている」「8月の景況感動向指数は3ポイント上昇しました」「感染症拡大による景況感の悪化がみられる」などがあります。
二つ目の景気を使った分かりやすい例としては、「政府には効果のある景気対策を求めます」「日本の景気は緩やかに回復しつつある」「最新の景気動向指数をチェックする」「国内の景気動向を調査集計する機関です」などがあります。
景況感と景気の使い分け方
景況感と景気という言葉は、どちらも社会の経済状況を表現する時に頻繁に使用されるキーワードです。二つの言葉は同じような表現をしますが、意味や使い方には違いがあります。
景況感とは、現在と以前の経済状況を比較して、好転しているのか、悪化しているのか、それとも停滞しているのか、どのように感じられるかということです。企業の景況感を表す代表的な指数としては、日銀短観で発表される「業況判断指数」があります。
景気とは、売買や取引などの経済活動の状況のことです。例えば、経済状況が好調の場合は「好景気」、不調の場合は「不景気」と表現するものです。
つまり、景況感とは景気に対する印象であり、景気とは経済活動の状況を表す言葉なのです。
景況感と景気の英語表記の違い
景況感を英語にすると「perception of economic state」「business confidence」となり、例えば上記の「業種間の景況感」を英語にすると「business confidence between industries」となります。
一方、景気を英語にすると「economic conditions」「business conditions」「prosperity」となり、例えば上記の「景気対策」を英語にすると「economic measure」となります。
景況感の意味
景況感とは
景況感とは、景気の状態に対する印象を意味しています。
表現方法は「景況感が悪化」「景況感が改善」「景況感を示す」
「景況感が悪化」「景況感が改善」「景況感を示す」などが、景況感を使った一般的な言い回しです。
景況感の使い方
景況感を使った分かりやすい例としては、「景況感は3カ月連続で悪化している」「サービス業において景況感悪化が一層強まった」「ZEW景況感指数によると景況感は改善されている」「景況感を示すdiは前回の調査より上がった」などがあります。
その他にも、「景況感指数は前月の高水準から低下した」「日本銀行は景況感についてコメントを発表した」「日本の企業景況感成長率は上昇傾向にある」「ドイツの企業を対象としたIFO企業景況感指数がある」などがあります。
景況感という言葉の「景況」とは、経済上の景気の状態や、時とともに移り変わってゆく場のありさまを意味します。景況感とは、景気の状態に対する印象を意味する言葉です。企業や消費者が、現在と以前の景気を比較して、好転や悪化あるいは停滞など、どのように感じているかということです。
「IFO企業景況感指数」の意味
上記の例文にある「IFO企業景況感指数」とは、IFO研究所が旧西ドイツ約7000社の役員等を対象に調査・集計を行ったものです。ZEW景況感調査の後に発表されるもので、内容は生産・在庫・受注・雇用などの項目に分かれ、鉱工業生産との関連が高く、ドイツの経済指標の中で最も注目されています。
「ZEW景況感調査」の意味
景況感を用いた日本語には「ZEW景況感調査」があります。民間調査会社である欧州経済センターが経済アナリストに対し調査した指数の事です。6ヶ月の景気見通しに対する予想を回答させ、楽観回答の比率から悲観回答の比率を引いたものを表しており、景気を判断する上では重要視されています。
景況感の類語
景況感の類語・類義語としては、景気に重要かつ敏感な複数の指標動向をもとに算出した統合的な景気指数を意味する「景気動向指数」、将来の景気がどうなるかを推測することを意味する「景気予測」などがあります。
景気の意味
景気とは
景気とは、売買や取引などに現れる経済活動の状況、特に経済活動が活気を帯びていること、好景気を意味しています。
その他にも、活気があること、威勢がよいことの意味も持っています。
表現方法は「景気がいい」「景気が悪い」「景気を刺激する」
「景気がいい」「景気が悪い」「景気を刺激する」などが、景気を使った一般的な言い回しです。
景気の使い方
「内閣府から景気動向指数が発表された」「景気敏感株を中心に買いが先行した」「景気ウォッチャー調査の月次調査結果をみる」「景気循環は様々な要因が絡んでいる」などの文中で使われている景気は、「売買や取引などに現れる経済活動の状況」の意味で使われています。
一方、「機関車が景気よく汽笛を鳴らす」「我が家の景気づけの食べ物はトンカツです」「いつも大行列で景気のいいケーキ屋さんだ」「今夜は景気付けに一杯やろう」などの文中で使われている景気は、「活気があること、威勢がよいこと」の意味で使われています。
景気という言葉の「景」は景色や様子、「気」は感情の動きや特有の様子を意味します。景気とは、中世時代において、和歌や連歌で景色や情景のおもしろさを主として詠むこと表す言葉でした。現代では、主に経済状況が好調か不調かを表現するときや、活気があることの意味で用いられています。
「景気ウオッチャー調査」の意味
上記の例文にある「景気ウオッチャー調査」とは、内閣府が行っている景気に関する月次調査を意味します。「街角景況感」とも言います。景気ウオッチャーは、タクシー運転手・製造業経営者・人材派遣会社社員など幅広い業種や職種から約2000人が選ばれています。
「景気動向指数」の意味
景気という言葉を用いた日本語には「景気動向指数」があります。内閣府が毎月公表する産業・労働・金融などさまざまな経済活動で、景気に重要かつ敏感な複数の指標動向をもとに算出した統合的な景気指数のことです。略称はDI、ディフュージョンインデックスと言います。
「景気付け」の意味
景気という言葉を用いた言い回しには「景気付け」があります。勢いや元気をつけること、連歌や俳諧で叙景句を付けること、の二つの意味を持っています。
景気の類語
景気の類語・類義語としては、株式や商品などの売買される状況を意味する「市況」、商売の状況や取引の動きを意味する「商況」、商品などが売れてゆく様子や売れる具合を意味する「売れ行き」などがあります。
景況感の例文
この言葉がよく使われる場面としては、景気に対して感じる印象などを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「景況感指数」とは、政府機関や政府機関が行う景況感を数値化したものです。それぞれの機関によって、調べる範囲や基準が異なります。例文2の「景況感は横ばい」とは、景況感に目立った変動がなく停滞している状態を表します。
景気の例文
この言葉がよく使われる場面としては、商売や取引などの状況や社会全体の経済活動の状態、元気のあることや威勢のよいさまを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある景気は、社会全体の経済活動の状態の意味で使われています。例文3の「景気循環」とは、経済活動が拡張する好況と収縮する不況とが交互に発生する、その周期的変動のことを意味します。例文5の景気は、元気のあることや威勢のよいさまの意味で使われています。
景況感と景気という言葉は、どちらも経済活動の状態を表す時に用いられています。どちらの言葉を使うか迷った場合、景気の状態に対する印象を表現したい時は「景況感」を、売買や取引などに現れる経済活動の状況を表現したい時は「景気」を使うようにしましょう。