似た意味を持つ「下品」(読み方:げひん)と「上品」(読み方:じょうひん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「下品」と「上品」という言葉は、どちらも「品格や品質」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
下品と上品の違い
下品と上品の違いを分かりやすく言うと、下品とは性質の悪さを表し、上品とは性質の良さを表すという違いです。
一つ目の下品を使った分かりやすい例としては、「彼は笑えない下品なジョークばかり言う」「なんで子供は下品な言葉が好きなんだろう」「不必要に声が大きいのは下品な女の特徴です」「安さにつられて買った靴はとんでもない下品だった」などがあります。
二つ目の上品を使った分かりやすい例としては、「できるだけ上品な服装を心掛けています」「上品な女性は魅力的に感じます」「インフルエンサーの上品あか抜けコーデを参考にする」「この時計はまさに上品だ」などがあります。
下品と上品という言葉は、どちらも品格や品質を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
下品とは、「下品なジョーク」のような使い方で、品性や品格が低いことを意味し、卑しい行動や態度をとることを表します。また、「買った靴はとんでもない下品だった」のような使い方で、品質の劣ったものを意味します。下品とは、質の悪いさまを表現するマイナスイメージの言葉です。
上品とは、「上品な女性」のような使い方で、品性や品格が高いことを意味し、見た目や雰囲気などが洗練されているさまを表します。また、「この時計は上品だ」のような使い方で、品質が優れていることを表現します。上品とは、質の良いさまを表現するプラスイメージの言葉です。
つまり、下品とは性質の低さを表し、上品とは性質の高さを表す言葉です。二つの言葉は、品格や品質の良し悪しについて、相反する意味を持つ言葉だと言えるでしょう。
下品を英語にすると「crude」「vulgar」「gross」となり、例えば上記の「下品なジョーク」を英語にすると「vulgar jokes」となります。一方、上品を英語にすると「elegant」「in good taste」となり、例えば上記の「上品な服装」を英語にすると「elegant dress」となります。
下品の意味
下品とは、品格や品性が劣ること、卑しいことを意味しています。
その他にも、「品質の劣った物」の意味も持っています。
「帰国子女の友人に下品な英語スラングを教えてもらった」「下品な人は幸運に恵まれないらしい」「下品なんですが、ご飯を食べる時に音を立ててしまいます」などの文中で使われている下品は、「品格や品性が劣ること、卑しいこと」の意味で使われています。
一方、「値下げしていたの買ったら下品だった」「消耗品なら下品でも安ければいいや」「遅く摘んだ茶葉で淹れたお茶は下品です」「下品ばかり扱っている店には行かないようにしている」などの文中で使われている下品は、「品質の劣った物」の意味で使われています。
下品の読み方は「げひん」の他に「げぼん」がありますが、「げぼん」と読むと仏教用語になるのでご注意ください。
下品とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。下品の「下」は、階級・身分・程度が低い方が低い方を表し、「品」は物や人の質によって分けた等級や、いろいろな物を表す漢字です。
下品という言葉の語源は、仏教に由来します。極楽浄土に往生する際の、その人の行いや心のレベルを分類した9つの階級(九品)のうち、最も低いランクを「下品」と言いました。転じて、「品がない」という意味で一般的に用いられるようになっています。
下品の対義語・反対語としては、品質のすぐれていることや品がよいことを意味する「上品」などがあります。
下品の類語・類義語としては、物の品質や程度あるいは品性が劣っていることを意味する「下等」、段階や等級などの低いことを意味する「下級」、下品で俗っぽいことを意味する「低俗」、品性が卑しいことを意味する「浅ましい」などがあります。
上品の意味
上品とは、品質のよいこと、また、高級品を意味しています。
その他にも、「品格のあるさま、品のよいさま、また、味などの洗練されているさま」の意味も持っています。
「当店では手頃な価格の上品を提供しています」「手摘みの茶葉で入れたお茶は上品です」「無名のブランドですが上品です」などの文中で使われている上品は、「品質のよいこと、高級品」の意味で使われています。
一方、「上品なワンピースを買いました」「上品で大人っぽいネイルにしてもらいました」「軽やかさと上品さを兼ね備えたスニーカーが欲しい」などの文中で使われている上品は、「品格のあるさま、味などの洗練されているさま」の意味で使われています。
上品の読み方は二通りあり、「じょうひん」の他に「じょうぼん」とも読みます。「じょうぼん」と読む場合は、仏教用語となり意味が少し違ってきます。
上品とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。上品の「上」は価値や程度が高いことや優れていること、上位にある人を表します。
上品という言葉の語源は、仏教において極楽浄土に往生する際の階級(九品)に由来します。上品は最も優れた行いと心で往生する最上位の階級を指します。この意味が転用され、一般社会では、品質のよいことや品格が高いことを表すようになりました。
上品の対義語・反対語としては、下等の物や品性が卑しいことを意味する「下品」などがあります。
上品の類語・類義語としては、どことなく感じられる上品で気高い趣を意味する「気品」、しとやかで気品があることを意味する「優雅」、技芸や言行などの程度が高く上品なことを意味する「高尚」、落ち着いて気品のあるさまを意味する「エレガント」などがあります。
下品の例文
この言葉がよく使われる場面としては、品格や人柄などが卑しいこと、品が悪いことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある下品は、品格や人柄などが卑しいことの意味で用いられています。例文5の下品は、品が悪いことの意味で使われています。
上品の例文
この言葉がよく使われる場面としては、品質がよいこと、気品が高いことを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある上品は、品質がよいことの意味で用いられています。例文3から例文5にある上品は、気品が高いことの意味で使われています。
下品と上品という言葉は、どちらも「性質の良し悪し」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、性質が劣っていることを表現したい時は「下品」を、性質がすぐれていることを表現したい時は「上品」を使うようにしましょう。