【明文化】と【成文化】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「明文化」(読み方:めいぶんか)と「成文化」(読み方:せいぶんか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「明文化」と「成文化」という言葉は、どちらも文章として書き示すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




明文化と成文化の違い

明文化と成文化の意味の違い

明文化と成文化の違いを分かりやすく言うと、明文化とは書き示すこと全般を表し、成文化とは人々が承認している内容を書き示すことを表すという違いです。

明文化と成文化の使い方の違い

一つ目の明文化を使った分かりやすい例としては、「その条件は食品衛生法にて明文化されている」「明文化されない隠れたルールがあった」「民法の規定として明文化される」「集団的自衛権は明文化された権利です」などがあります。

二つ目の成文化を使った分かりやすい例としては、「圧政を行う王は法律を成文化した」「経営指針に対する成文化の気運が高まる」「根本原則などを成文化した憲章です」「セクハラの定義が法律に成文化された」などがあります。

明文化と成文化の使い分け方

明文化と成文化という言葉は、どちらも特定の事柄をはっきりと明確に書き示すことを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。

明文化とは、明確に文書で書き示すことや、法律の条文に明示することを意味し、書類や書状などに示すこと全般を表します。成文化とは、人々が了解している事柄や新たにきめられた事柄を文章として書き示すことを意味します。人々が承認している内容を文章にすることを表す言葉です。

明文化と成文化という言葉を比較すると、明文化の方が広い意味を持ち、幅広く使われる言葉だと言えるでしょう。

明文化と成文化の英語表記の違い

明文化を英語にすると「stipulation」「stating clearly」となり、例えば上記の「その条件は明文化されている」を英語にすると「that condition is stipulated」となります。

一方、成文化を英語にすると「codification」となり、例えば上記の「法律を成文化した」を英語にすると「codified the laws」となります。

明文化の意味

明文化とは

明文化とは、はっきり文書で書き示すことを意味しています。

表現方法は「明文化する」「明文化されていない」「明文化された」

「明文化する」「明文化されていない」「明文化された」などが、明文化を使った一般的な言い回しです。

明文化の使い方

明文化を使った分かりやすい例としては、「離婚の際に養育費の分担などが明文化される」「職場には明文化されていないルールがある」「権利が法律によって明文化される」「明文化された方針を確認する」などがあります。

その他にも、「明文化されない暗黙のルールがある」「会議での決定事項を明文化する」「明文化されていない暗黙の了解が多い」「明文化されていない法律です」「キャリアビジョンをノートに明文化する」などがあります。

明文化という言葉の「明文」とは、法典などに明らかに定めてある条文や、筋道が明らかに通った文章を書くことを意味します。明文化とは、明確に文書として書きあらわすことを意味する言葉です。法律の条文に明示することを表す時にも用いられています。

「明文化されていない法律」の意味

上記の例文にある「明文化されていない法律」とは、不文法のことであり、具体的には慣習法や判例法などを指します。慣習法は慣習に基づいて社会通念として成立する法であり、判例法は法源として認められる判例の形で存在する法のことです。

明文化の対義語

明文化の対義語・反対語としては、文字や文章で表現されていない法を意味する「不文律」、法源として認められる判例の形で存在する法を意味する「判例法」などがあります。

明文化の類語

明文化の類語・類義語としては、談話や講演などの内容を文字で書き表すことを意味する「書き起こす」、 文章形式をとって表された法を意味する「成文法」などがあります。

成文化の意味

成文化とは

成文化とは、慣習として人々が了解している事柄や新たにきめられた事柄を文章として書き表すことを意味しています。

成文化の読み方

成文化の読み方は「せいぶんか」と読みます。誤って「じょうぶんか」と読み間違えないようにしましょう。

表現方法は「成文化される」「成文化する」「成文化されない」

「成文化される」「成文化する」「成文化されない」などが、成文化を使った一般的な言い回しです。

成文化の使い方

成文化を使った分かりやすい例としては、「法律がセクハラを成文化した」「経営指針の成文化セミナーに参加した」「労働規約に成文化されている」「成文化された国家間の合意が条約です」「新人看護師を指導する役割を成文化する」などがあります。

その他にも、「慣習道徳のようにはっきりと成文化されていない」「慣習法を初めて成文化した」「経営理念を新たに成文化する」「役割を成文化して管理する」「雇用者に対して成文化されない期待感を抱く」などがあります。

成文化という言葉の「成文」とは、文章として書き表すことや、書き表したその文章を意味します。成文化とは文章として記すことであり、慣習として行われていたことや話し合いで決められていたことを文章として書き表すことを意味する言葉です。

「公務員試験の成文化」は誤り

成文化という言葉の誤った使い方には「公務員試験の成文化」があります。正しくは「公務員試験の正文化」であり、問題の間違っている部分を正しい文に訂正する勉強法のことです。

成文化の対義語

成文化の対義語・反対語としては、文字や文章で表現されていない法を意味する「不文法」、慣習に基づいて社会通念として成立する法を意味する「慣習法」などがあります。

成文化の類語

成文化の類語・類義語としては、書いて示すことを意味する「書き出す」、一定の手続きに従って制定され文章で表現されている法を意味する「成文法」などがあります。

明文化の例文

1.世の中のルールには、明文化されたものと、明文化されていないものがあります。
2.諸外国の法律をみてみると、日本の法律では明文化されていない内容のものを見つけることがあります。
3.暗黙のルールを明文化することは、ビジネスを円滑に進めるうえで重要です。
4.なんとなく持っている共通認識も明文化されることにより、その目的や意義を意識することができるでしょう。
5.口約束などで取引条件が明文化されていないことによる、契約トラブルが多く見受けられます。
6.労働組合の抗議のすえ、雇用契約書に残業の具体的な保障内容が明文化された。
7.入れ墨やタトゥーをしている人が入浴できないというルールを明文化して店の入り口に掲示したため、銭湯での客と店とのトラブルが減少した。
8.日本では90年代末まで国旗と日の丸、国歌を君が代とした法律がなく明文化されていなかったと聞いてわたしはとても驚いたのだが、それだけそれらが疑いの余地もないことだったともいえるだろう。
9.組織のビジョンはちゃんと明文化して、社員一同で共有して行動を促していかないと、どんどん現場の判断でビジョンが歪んでいくこともあり得るだろう。
10.わたしは日本社会に明文化することへの抵抗や怠慢があるように思えて、それがあいまいな対処になってしまうのではと問題提起したかったのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、明確に文書として書きあらわすことを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「明文化されたルール」とは書き表された法令や規程などを指します。例文3にある「暗黙のルールを明文化する」とは、皆が暗黙のうちに従っているルールを、明確に文書として書き表すことです。

成文化の例文

1.中世時代に不文律を成文化したことによって、貴族の支配に対する平民の権利を守ることとなった。
2.本院では、看護水準の維持と効率化を図る目的で、看護内容の成文化に努めています。
3.経営理念の成文化は、経営者の経営姿勢を社員と共有するうえで必要なことです。
4.雇用主は就業者に対して、成文化されない期待感を抱くべきではない。
5.条約は成文化された国家間の合意であり、国際法に基づいて成立するものです。
6.学校に校則がないからといってルールは実際には存在しており、それらが成文化されていないだけなので、なんでもありというわけではないのである。
7.「外交関係に関するウィーン条約」とは、様々な国々との外交的交流や外交的規範を成文化したものであり、今日の国際政治の基盤になっている。
8.今まではフリーランスとしてなんとかやっていけていたのだが、そろそろクライアントとの取引のルールを成文化するべきではないかと思うようになったのだ。
9.価値観が多様になればなるほど従来の日本の組織であった空気を読むという文化だけでは対処できなくなるので、ルールの成文化の流れは拡大していくのではないだろうか。
10.セクハラやパワハラが問題になる中で、法律で取り締まるためにも成文化しなくてはならないのだが、その定義を決めるにあたって様々な困難を伴った。

この言葉がよく使われる場面としては、慣習として人々が了解している事柄や新たにきめられた事柄を文章として書き表すことを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「不文律」とは、明言されていない規則やしきたりのことです。これを成文化することにより、明確性という長所を有する成文法になります。

明文化と成文化という言葉は、どちらも文書で書き示すことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、文書で書き示すこと全般を表現したい時は「明文化」を、人々が承認している内容を文書で書き示すことを表現したい時は「成文化」を使うようにしましょう。

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