【抄訳】と【翻訳】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「抄訳」(読み方:しょうやく)と「翻訳」(読み方:ほんやく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「抄訳」と「翻訳」という言葉は、どちらも「ある言語を他の言語に置き換えること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




抄訳と翻訳の違い

抄訳と翻訳の意味の違い

抄訳と翻訳の違いを分かりやすく言うと、抄訳とは原文を抜粋して翻訳すること、翻訳とは他の言語に移しかえることという違いです。

抄訳と翻訳の使い方の違い

一つ目の抄訳を使った分かりやすい例としては、「外国の児童文学を抄訳する」「スピーチの抄訳文を作成する」「英語原文より抄訳されたものです」「ニュースリリースの抄訳版です」などがあります。

二つ目の翻訳を使った分かりやすい例としては、「Web会議で同時翻訳アプリを使う」「日本語を中国語へ翻訳する」「英語翻訳サイトのおすすめはありますか」「google翻訳は無料で使えます」などがあります。

抄訳と翻訳の使い分け方

抄訳と翻訳という言葉は、外国語で書かれた文学作品やビジネス文書などを、日本語に変換する際に使われる言葉です。二つの言葉は、似通った表現をしますが、意味や使い方には違いがあります。

抄訳とは、ある言語で書かれた原文の一部を抜粋して、他の言語の文章に移しかえることを意味します。上記の例文にある「外国の児童文学を抄訳する」とは、外国語で書かれた児童文学を全部訳するのではなく、ある部分を抜き出して翻訳することを表します。

翻訳とは、ある言語で書かれた文章を、他の言語に置き換えて表すことを意味します。上記の例文にある「日本語を中国語へ翻訳する」とは、日本語で書かれた文章を中国語に書き直すことを表します。

抄訳と翻訳を比較すると、抜粋して翻訳することを意味する抄訳という言葉の方が、狭い意味を持ち、使われる場面が限られる言葉と言えるでしょう。

抄訳と翻訳の英語表記の違い

抄訳を英語にすると「abridged translation」となり、例えば上記の「抄訳する」を英語にすると「make an abridged translation」となります。

一方、翻訳を英語にすると「translation」「interpretation」「compilation」となり、例えば上記の「同時翻訳」を英語にすると「running translation」となります。

抄訳の意味

抄訳とは

抄訳とは、原文のところどころを抜き出して翻訳することを意味しています。

表現方法は「抄訳する」「抄訳版」「抄訳文」

「抄訳する」「抄訳版」「抄訳文」などが、抄訳を使った一般的な言い回しです。

抄訳の使い方

抄訳を使った分かりやすい例としては、「外国人の届け出には抄訳文を添付してください」「米国で発表されたプレスリリースの抄訳」「抄訳アプリの開発に携わっています」「米国で発表された発表文の抄訳版です」などがあります。

その他にも、「抄訳や翻訳をする前に著作権を確認すること」「抄訳が原文に相違することがあります」「英文契約書を抄訳する」「このマネジメント理論の抄訳本が面白い」「漢文を抄訳する」などがあります。

抄訳という言葉の「抄」とは、写すことや、抜き書きすることを表します。「訳」とは、ある言語を他の言語に言いかえることを表します。抄訳とは、原文を部分的に抜き出して翻訳することを意味する言葉です。

抄訳とは、ある国の言語や文章の全部を、他の国の言語や文章に直すことではありません。文章全体の意味を汲んだうえで、要点となる一部分を翻訳することです。また、外国語だけでなく、古語や漢語などの必要な部分だけを分かりやすく現代語の文章に直すことも表します。

抄訳の対義語

抄訳の対義語・反対語としては、原文を省略することなく全部翻訳することを意味する「全訳」、外国語や古語で書かれた作品の全文を翻訳することを意味する「完訳」などがあります。

抄訳の類語

抄訳の類語・類義語としては、原文から必要な部分だけを書き抜くことを意味する「抄録」、必要なところを抜き出して書くことを意味する「抄出」、全体のニュアンスをくみとって翻訳することを意味する「意訳」、原書を翻訳し編集しなおすことを意味する「纂訳」などがあります。

翻訳の意味

翻訳とは

翻訳とは、ある言語で表された文章を他の言語に置き換えて表すことを意味しています。

その他にも、符号やわかりにくい言葉、特殊な言葉などを一般的な言葉に直すことの意味も持っています。

表現方法は「翻訳する」「翻訳をお願いします」「翻訳を依頼する」

「翻訳する」「翻訳をお願いします」「翻訳を依頼する」などが、翻訳を使った一般的な言い回しです。

翻訳の使い方

「韓国語を日本語に翻訳する」「一番正確な翻訳アプリを教えてください」「画像内のテキストを瞬時に訳す翻訳カメラです」「音声翻訳機を海外旅行に持って行く」などの文中で使われている翻訳は、「文章を他の言語に置き換えて表すこと」の意味で使われています。

一方、「IT用語を翻訳して説明する」「専門用語を一般人が分かるように翻訳する」「業界で使用されている言葉を翻訳する」「暗号が翻訳できない」などの文中で使われている翻訳は、「特殊な言葉などを一般的な言葉に直すこと」の意味で使われています。

翻訳という言葉の「翻」とは、移し替えることや、対応するものと入れかえることを表します。翻訳とは、上記の例文にあるように二つの意味を持つ言葉ですが、一般には、ある言語の文章を他の言語に置き換えて表すことの意味で使われています。

「音声翻訳機」の意味

上記の例文にある「音声翻訳機」とは、音声で認識した内容を他言語に変換する翻訳機械を意味します。外国語が話せなくても、まるで通訳がいるように対話できるアイテムです。

「翻訳権」の意味

翻訳という言葉を用いた日本語には「翻訳権」があり、著作物を外国語に翻訳する権利を意味します。著作権に含まれるもので、著作者以外の者は著作権者の許諾または権利の譲渡を受けなければ翻訳できないことになっています。

翻訳の対義語

翻訳の対義語・反対語としては、翻訳・校訂・改作・加筆などをする前のもとの文章を意味する「原文」、一度翻訳された言葉をもとの言葉に戻すことを意味する「反訳」、翻訳・改作したりしたものに対してその元になった著作を意味する「原著」などがあります。

翻訳の類語

翻訳の類語・類義語としては、翻訳することや訳し出すことを意味する「訳出」、訳すことやその文章や語句を意味する「訳」、翻訳した内容を述べることを意味する「訳述」、他国語に翻訳した書物を意味する「訳書」、翻訳した本を意味する「訳本」などがあります。

抄訳の例文

1.ウェブ上にある外国語の文章を、抜き出して翻訳する抄訳サイトをよく使っています。
2.経営の神様が書いたマネジメントの本の抄訳版が、読みやすいと評判だ。
3.これはカナダの税理士法の抄訳ですが、一部の団体名は仮訳となっています。
4.先輩から聞いた抄訳のやり方を少しアレンジしたら、英文ブログも簡単に出来ました。
5.外国人のための出生証明書抄訳文には、記入例がないので分かりにくいと苦情がありました。

この言葉がよく使われる場面としては、原文のところどころを抜き出して翻訳することを表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「抄訳版」とは、原文を部分的に抜き出して書いてある様式を意味します。対する言葉には「完訳版」があり、作品の全文を翻訳する様式を意味します。例文3にある「仮訳」とは、正式な翻訳に先立って行う一時的な間に合わせの翻訳のことです。

翻訳の例文

1.翻訳家がおすすめするという翻訳サイトを使っているけど、本当に正しい英語になっているのかな。
2.外国人セレブのSNSは、グーグル翻訳を使いながら内容を把握しています。
3.帰国子女の友人に言わせると、ネイティブ感覚の英語翻訳が正確な翻訳アプリは存在しないらしい。
4.翻訳カメラアプリの精度が高くなっているので、これさえあれば海外旅行に行っても困らないだろう。
5.一般人向けのセミナーで話をするため、技術用語を翻訳するのに四苦八苦している。

この言葉がよく使われる場面としては、ある言語で表された文章を他の言語に置き換えて表すこと、分かりにくい言葉や特殊な言葉などを一般的な言葉に直すことを表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文4にある翻訳は、ある言語の文章を他の言語に置き換えて表すことの意味で使われています。例文1の「翻訳家」とは、外国語の文章を日本語に訳すことを職業にしている人のことです。例文5にある翻訳は、特殊な言葉などを一般的な言葉に直すことの意味で使われています。

抄訳と翻訳という言葉は、どちらもある言語を他の言語に置き換えることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、原文を抜粋して置き換えることを表現したい時は「抄訳」を、他の言語に置き換えること全般を表現したい時は「翻訳」を使うようにしましょう。

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