似た意味を持つ「見本」(読み方:みほん)と「手本」(読み方:てほん)と「模範」(読み方:もはん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「見本」と「手本」と「模範」という言葉は、何かをする時に見習うべきものという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
見本と手本と模範の違い
見本と手本と模範の意味の違い
見本と手本と模範の違いを分かりやすく言うと、見本は参考になるものを表現する時に使い、手本は真似るべきものを表現する時に使い、模範は理想的な状態のものを表現する時に使うという違いです。
見本と手本と模範の使い方の違い
見本という言葉は、「商品見本として置かれているもので最後の在庫だった」「見本として一部印刷してみる」などの使い方で、具体的な例を意味します。
手本という言葉は、「子どもの手本として日頃の行いに気を付ける必要がある」「お手本を見ながら字を書き写す」などの使い方で、見習うべき物事を意味します。
模範という言葉は、「模範的な取り組みとして他の部署にも取り上げられた」「模範解答が配布される」などの使い方で、見習うべき手本を意味します。
見本と手本と模範の使い分け方
手本と模範はどちらも見習うべきものを意味する言葉ですが、前者は「字のお手本」などのように真似るべきものを指し、後者は「模範解答」などのように理想とされるものを指します。
また、手本は物を指し、模範は人や人の行為、状態などを指すという区別方法もあります。
一方、見本は参考になるものを表すため、手本という言葉ほど真似ることを重視しておらず、模範という言葉ほど完璧さを重視していません。
しかし、重視していないだけでこれらの意味を持たないわけではないため、三つの言葉で見本という言葉が汎用的に使われます。
これが、見本、手本、模範の明確な違いです。
見本の意味
見本とは
見本とは、具体的な例を意味しています。
その他にも、商品などの質や形状などを買い手に知らせるために示すものや、そのために作られたものを意味する言葉としても使われます。
表現方法は「見本になる」「見本にする」「見本を見せる」
「見本になる」「見本にする」「見本を見せる」などが、見本を使った一般的な言い回しです。
見本を使った言葉として、「見本市」「見本刷り」があります。
「見本市」の意味
一つ目の「見本市」とは、商品の実物見本を展示や陳列し、紹介や宣伝をしながら取引をする臨時市場を指す言葉です。
基本的には関連業界の関係者や報道陣に対して開かれる催事で、出展企業や主催者からの招待が無ければ一般の消費者は入場できないものが多いです。
「見本刷り」の意味
二つ目の「見本刷り」とは、正式に印刷をする前に見本として印刷することを意味する言葉で、見本として印刷されたものに対しても使われる言葉です。
印刷用語としては、色合わせや図柄などの確認などの本番前の調整のための準備印刷は「刷り出し」と言われています。
見本の対義語
見本の対義語・反対語としては、実際の品物を意味する「現物」、売るための品物を意味する「商品」、実際のものを意味する「実物」があります。
見本の類語
見本の類語・類義語としては、適切な例を意味する「好例」、上手く当てはまる例を意味する「適例」、代表的な例を意味する「標本」、検査や分析などに用いる材料を意味する「試料」、形式や様式を示す具体的な例を意味する「雛形」などがあります。
手本の意味
手本とは
手本とは、見習うべき物事を意味しています。
その他にも、習う人が模範とするべき字や絵などが描いてある本も意味する言葉としても使われます。
表現方法は「手本となる」「手本にする」「良き手本」
「手本となる」「手本にする」「良き手本」などが、手本を使った一般的な言い回しです。
手本を使った言葉として、「手本引き」「上手は下手の手本、下手は上手の手本」があります。
「手本引き」の意味
一つ目の「手本引き」とは、江戸時代に後ばれた賽子賭博を発展させたもので、明治時代に入ってから考案された賭博ゲームで、「ホンビキ」や、「しっち」「釣り」などの呼称が付けられています。
親役が引いた1から6までの札を、プレイヤーが予想して当てるゲームで、究極のギャンブルや、博打の王様などと言われており、映画や漫画、小説などでも題材として扱われています。
「上手は下手の手本、下手は上手の手本」の意味
二つ目の「上手は下手の手本、下手は上手の手本」とは、下手な人が上手な人のやり方を手本にするのはもちろん、上手な人も下手な人のやり方や方法が参考になる場合もあることを意味することわざです。
手本の類語
手本の類語・類義語としては、基準となるものを意味する「典型」、人の見習うべき物事を意味する「鑑」、それ以上望むところのない完全なものを意味する「理想」、人前で実際にやってみせることを意味する「実演」などがあります。
模範の意味
模範とは
模範とは、見習うべき手本を意味しています。
その他にも、器物などを作る時にも使われる元となる型を意味する言葉としても使われます。
表現方法は「模範とする」「模範となる」「模範を示す」
「模範とする」「模範となる」「模範を示す」などが、模範を使った一般的な言い回しです。
模範を使った言葉として、「模範解答」「模範生」があります。
「模範解答」の意味
一つ目の「模範解答」とは、テストやクイズなどの問題で、答えが一つに決まらないものに対して用意された最も適切な答えを指す言葉で、問題の作成者の想定する答えとも言い換えられます。
題意に沿った上で更に素晴らしい作品や、作者による楽曲のセルフカバーなどにも模範解答という言葉が使われています。
「模範生」の意味
二つ目の「模範生」とは、他の生徒の模範となる生徒を意味する言葉です。成績が特に優れていたり品行方正であるなど、評価される場所や評価をする人によって基準は異なります。
模範の対義語
模範の対義語・反対語としては、悪い見本として反省や戒めの材料となるような物事であったり人物を指す言葉である「反面教師」があります。
模範の類語
模範の類語・類義語としては、行動や判断の基準となるものを意味する「規範」、今後の基準や標準となるものを意味する「モデル」、従うべき手本を意味する「儀範」、考えや行動の基準とするものを意味する「規矩」(読み方:きく)などがあります。
見本の例文
この言葉がよく使われる場面としては、具体的な例を意味する時などが挙げられます。
例文3の見本は手本に置き換えて使うことが出来ますが、例文1や例文2は実際にその物を見たり触れたりすることで参考にしていることを意味するため、手本や模範に置き換えて使うことはできません。
手本の例文
この言葉がよく使われる場面としては、見習うべき物事を意味する時などが挙げられます。
意味合いが若干異なるものの、手本という言葉は見本や模範に置き換えて使うことが出来ますが、例文1の「お手本」は「お見本」「お模範」などの使い方をすることはできません。
模範の例文
この言葉がよく使われる場面としては、見習うべき手本を意味する時などが挙げられます。
例文1の「模範試合」とは、スポーツなどで勝敗は重視せずに、模範的な技術の紹介などを行うための試合を指す言葉です。
見本と手本と模範どれを使うか迷った場合は、参考になるものを表す場合は「見本」を、真似るべきものを表す場合は「手本」を、理想的な状態のものを表す場合は「模範」を使うと覚えておけば間違いありません。