似た意味を持つ「不利」(読み方:ふり)と「不利益」(読み方:ふりえき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不利」と「不利益」という言葉は、どちらもデメリットが大きいことを表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
不利と不利益の違い
不利と不利益の意味の違い
不利と不利益の違いを分かりやすく言うと、不利とは状況や条件が悪いことを意味し、不利益とは損になることを意味するという違いです。
不利と不利益の使い方の違い
一つ目の不利を使った分かりやすい例としては、「四面楚歌の不利な立場に立たされる」「圧倒的に不利な状況だ」「1浪したら就職に不利ですか」「若者に不利な政策には反対です」「早生まれは人生不利でしょうか」などがあります。
二つ目の不利益を使った分かりやすい例としては、「セクハラと人事不利益を受けたと訴える」「不利益処分の内容を確認する」「労働時間の不利益変更について相談する」「法改正で不利益を被る」などがあります。
不利と不利益の使い分け方
不利と不利益という言葉は、どちらも損をするようなデメリットが大きいことを表す言葉です。二つの言葉は、とても似ていますが、意味や使い方には違いがあります。
不利とは、何かを行う上で状況や条件などが良くないことを意味します。「不利な立場に立たされる」とは、ある物事を実現させる際に悪条件を抱えている状況を表します。
不利益とは、個人や組織のためにならないことや儲けにならないことを意味します。「人事不利益」とは、自分のスキルやキャリアが活かせない職場への配置転換や、評価が下がり賃金が減るなどの処遇を受けることなどを指します。
つまり、不利は状況や条件が悪いことを表し、不利益は損になることを表す、という点が二つの言葉の明確な違いになります。
不利と不利益の英語表記の違い
不利も不利益も英語にすると「disadvantage」「handicap」となり、例えば上記の「不利な立場に」を英語にすると「at a disadvantage」となります。
不利の意味
不利とは
不利とは、利益にならないこと、条件や形勢などがよくないことを意味しています。
表現方法は「不利になる」「不利な状況」「不利に働く」
「不利になる」「不利な状況」「不利に働く」などが、不利を使った一般的な言い回しです。
不利の使い方
不利を使った分かりやすい例としては、「帰国子女に比べたら英語の試験は不利だろう」「不利な状況を覆す精神力がある」「11月生まれの保育園確保は不利なのか」「1年で転職するのは不利ですか」などがあります。
その他にも、「知らずに不利な契約にサインをした」「不利な条件を突き付けられる」「経済学部は就職に不利ですか」「ピアノコンクールで1番奏者は不利だろう」「不利を覚悟の上で引き受ける」などがあります。
不利という言葉の「利」とは、得になることや物事が好都合であることを意味します。打消しの意味を持つ「不」と結びつき、不利とは、利益のないことや条件などが良くないことを意味します。スポーツやビジネスの場面において、状況や条件が良くないことを表す時に使われることが多い言葉です。
「不利な契約」の意味
上記の例文にある「不利な契約」とは、儲けにならない契約や自分が損をしてしまうような契約を意味します。契約上の義務を履行するために必要なコストが、その契約から得られる収入を上回るような契約を指します。
「社会的不利」の意味
不利という言葉を用いた日本語には「社会的不利」があります。世界保健機関の障害分類の一つであり、社会的不利は機能障害や能力障害の結果として生じた社会生活上の不利益を意味します。
不利の対義語
不利の対義語・反対語としては、利益のあることや他よりも条件や状態がよいことを意味する「有利」、ためになることや利益があることを意味する「有益」、勢いや形勢などが他より優れていることを意味する「優勢」などがあります。
不利の類語
不利の類語・類義語としては、弱者から見た強者との差や立場を不利にする条件を意味する「ハンデ」、無益であることを意味する「徒爾」、勢力が劣っていることや形勢が不利であることを意味する「劣勢」などがあります。
不利益の意味
不利益とは
不利益とは、利益にならないこと、損になることを意味しています。
表現方法は「不利益を被る」「不利益にならない」「不利益を受ける」
「不利益を被る」「不利益にならない」「不利益を受ける」などが、不利益を使った一般的な言い回しです。
不利益の使い方
不利益を使った分かりやすい例としては、「どのような不利益が生じるのですか」「英語が話せないことで不利益を被る」「不利益処分を書面で行う」「従業員にとって不利益になるルールだ」「不利益変更禁止の原則を確認する」などがあります。
その他にも、「労働条件を不利益変更する」「不利益変更に同意しない選択もある」「不当に不利益を受けることを避ける」「会社の不利益になることは禁止です」「不利益にならないように配慮する」などがあります。
不利益という言葉の「利益」とは、得になることや、事業などをして得るもうけを表します。打ち消しの助字である「不」と結びつき、不利益とは、ある人や組織の特にならないことや、もうけにならないことを意味します。個人や会社に損失を与えることであり、マイナスイメージのある言葉です。
「不利益が生じる」の意味
上記の例文にある「不利益が生じる」とは、損になるようなことを新たに発生させることを意味します。「生ずる」は、草木が生えることを原義とし、転じて、物事が起こることの意味で広く使われています。
「不利益変更」の意味
不利益という言葉を用いた日本語には「不利益変更」があります。不利益変更とは、労働契約法に関する言葉であり、従業員の労働条件である労働時間、賃金、福利厚生などを現在よりも不利益に変更することです。
不利益の対義語
不利益の対義語・反対語としては、ためになることや益になることを意味する「利益」、利益を得ることやもうけを意味する「利得」、収支決算で余剰が生じることを意味する「黒字」、費用や手間などがかからないさまや無駄がなく安上がりなさまを意味する「経済的」などがあります。
不利益の類語
不利益の類語・類義語としては、支出が収入より多いことを意味する「赤字」、決算上の損失や赤字を意味する「欠損」、費用や労力などに無駄が多いことを意味する「不経済」、ためにならないことを意味する「不為」、利益を失わせることや失うことを意味する「損害」などがあります。
不利の例文
この言葉がよく使われる場面としては、利益のないこと、条件や状況などが良くないことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「不利発行」とは、株式会社が株を発行の際に、発行会社の時価よりも高い価格で新株発行を行うことです。反する言葉には「有利発行」があり、株式会社において、新株を引受人にとって特に有利な価格で発行することです。
不利益の例文
この言葉がよく使われる場面としては、利益にならないこと、損になることを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「不利益処分」とは、特定人物を名宛人として、その人物の権利を制限したり、義務を命じる行政処分のことです。例文5の「不利益を被る」とは、自分の利益にならない状況に至ることを意味します。
不利と不利益という言葉は、どちらもデメリットが大きいことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、条件や状況などが良くないことを表現したい時は「不利」を、損になることを表現したい時は「不利益」を使うようにしましょう。