似た意味を持つ「怪我の功名」(読み方:けがのこみょう)と「不幸中の幸い」(読み方:ふこうちゅうのさいわい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「怪我の功名」と「不幸中の幸い」という言葉は、どちらも良くない出来事が起こることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「怪我の功名」と「不幸中の幸い」の違い
「怪我の功名」と「不幸中の幸い」の意味の違い
「怪我の功名」と「不幸中の幸い」の違いを分かりやすく言うと、「怪我の功名」とは災難が起こったがそれが良い結果になること、「不幸中の幸い」とは災難が起こったが最悪の結果にはならなかったことという違いです。
「怪我の功名」と「不幸中の幸い」の使い方の違い
一つ目の「怪我の功名」を使った分かりやすい例としては、「素材を間違えたのに良い作品ができたのは怪我の功名です」「結果として怪我の功名だったので怒られることはなかった」「彼女がビジネスで成功したのは怪我の功名です」などがあります。
二つ目の「不幸中の幸い」を使った分かりやすい例としては、「犠牲者が出なかったのは不幸中の幸いです」「車の事故があったが怪我人は一人もいなかったのは不幸中の幸いだ」「その事件で負傷者がいなかったのは不幸中の幸いです」などがあります。
「怪我の功名」と「不幸中の幸い」の使い分け方
「怪我の功名」と「不幸中の幸い」はどちらも良くない出来事が起こった場合に使う言葉ですが、意味は少し違うので間違えないように注意しましょう。
「怪我の功名」は良くない出来事が起こったものの、最終的に良い結果になる場合に使うのに対して、「不幸中の幸い」は良くない出来事だったけれど、最悪の事態ではなくまだ良かった場合に使うというのが違いになります。
また、「怪我の功名」と「不幸中の幸い」は意味が少し違う言葉なので、互いに置き換えることは出来ません。
「怪我の功名」と「不幸中の幸い」の英語表記の違い
「怪我の功名」を英語にすると「lucky break」「by fluke」となり、例えば上記の「彼女がビジネスで成功したのは怪我の功名です」を英語にすると「She succeeded in business just by a fluke」となります。
一方、「不幸中の幸い」を英語にすると「It could have been worse」となり、例えば上記の「その事件で負傷者がいなかったのは不幸中の幸いです」を英語にすると「It could have been a lot worse, No one was injured in the incident」となります。
「怪我の功名」の意味
「怪我の功名」とは
「怪我の功名」とは、過失と思われたことが意外に良い結果になることを意味しています。
「怪我の功名」の使い方
「怪我の功名」を使った分かりやすい例としては、「彼が起業家として成功したのは怪我の功名です」「怪我の功名で幼馴染と再会することができました」「夫と喧嘩したことでいつもより優しく接してくれるようになったのは怪我の功名です」などがあります。
「怪我の功名」は病気、事故、仕事での失敗など、良くない出来事が起こったものの、最終的に良い結果になる場合に使う言葉です。
例えば、会社で大失敗をして解雇となったので起業したら成功した場合、会社を解雇されたことで起業家として成功したので「怪我の功名」となります。
また、「怪我の功名」はマイナスなイメージではなく、プラスなイメージで使う言葉になります。
「怪我の巧妙」「怪我の光明」「怪我の高名」は誤字
「怪我の功名」の「功名」という漢字は普段使わない言葉なので、「巧妙」「光明」「高名」などと誤変換しないように注意しましょう。
「怪我の功名」の類語
「怪我の功名」の類語・類義語としては、人生の禍福は転々として予測できないことを意味する「塞翁が馬」(読み方:さいおうがうま)、揉め事など悪いことが起こったあとはかえって基盤がしっかりして良い状態になることを意味する「雨降って地固まる」などがあります。
「不幸中の幸い」の意味
「不幸中の幸い」とは
「不幸中の幸い」とは、不幸な出来事の中でせめてもの救いとなることを意味しています。
「不幸中の幸い」の使い方
「不幸中の幸い」を使った分かりやすい例としては、「事故を起こしたが怪我をしなかったのが不幸中の幸いでした」「財布を盗まれたがクレジットカードや身分証が入っていなかったのは不幸中の幸いです」などがあります。
「不幸中の幸い」は不幸な出来事の中でせめてもの救いとなることを意味しており、起きない方が良かったけど、最悪の事態は免れたというニュアンスで使う言葉です。そのため、マイナスなイメージだけではなく、多少のプラスなイメージも伴っています。
「不幸中の幸い」の語源
「不幸中の幸い」の語源や由来は未だに分かっていません。
「不幸中の幸い」の類語
「不幸中の幸い」の類語・類義語としては、ほとんど命が助かりそうもないところをかろうじて助かることを意味する「九死に一生を得る」、危難や苦しみのときに思いがけない助けにあって嬉しいことを意味する「地獄で仏に会ったよう」などがあります。
「怪我の功名」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、過失と思われたことが意外に良い結果になることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「怪我の功名」はマイナスな出来事がプラスになる場合に使います。
「不幸中の幸い」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、不幸な出来事の中でせめてもの救いとなることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「不幸中の幸い」はマイナスな出来事の中にほんの少しのプラスの出来事が起こった場合に使います。
「怪我の功名」と「不幸中の幸い」どちらを使うか迷った場合、良くない出来事が起こったものの、最終的に良い結果になる時は「怪我の功名」を、良くない出来事だったけれど、最悪の事態ではなくまだ良かった時は「不幸中の幸い」を使うと覚えておきましょう。