似た意味を持つ「多少なりとも」(読み方:たしょうなりとも)と「多かれ少なかれ」(読み方:おおかれすくなかれ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「多少なりとも」と「多かれ少なかれ」という言葉は、どちらも少なくてもということを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「多少なりとも」と「多かれ少なかれ」の違い
「多少なりとも」と「多かれ少なかれ」の意味の違い
「多少なりとも」と「多かれ少なかれ」の違いを分かりやすく言うと、「多少なりとも」とは少しだけでもというニュアンスで使う、「多かれ少なかれ」とは多い少ないの違いがあってもというニュアンスで使うという違いです。
「多少なりとも」と「多かれ少なかれ」の使い方の違い
一つ目の「多少なりとも」を使った分かりやすい例としては、「多少なりとも役に立てば幸いです」「誰だって多少なりとも敵はいます」「多少なりとも収支が増えるのであれば転職したい」「多少なりとも彼女に贈り物をした方がいいと思います」などがあります。
二つ目の「多かれ少なかれ」を使った分かりやすい例としては、「多かれ少なかれ誰にでも夢はあります」「誰だって多かれ少なかれ敵はいます」「事業に失敗すれば多かれ少なかれ損失が発生する」「彼は多かれ少なかれ両親に依存しています」などがあります。
「多少なりとも」と「多かれ少なかれ」の使い分け方
「多少なりとも」と「多かれ少なかれ」は類語ですが、意味は少し異なっているので間違えないように注意しましょう。
「多少なりとも」は少しだけでもや影響が小さくてもということを意味しており、少しだけでもというニュアンスで使います。
一方、「多かれ少なかれ」は数量や程度に多い少ないの差はあってもということを意味しており、多い少ないの違いがあってもや大小関わらずどちらにしてもというニュアンスで使う言葉です。
そのため、置き換えられる場合と置き換えられない場合があります。
例えば「誰だって多少なりとも敵はいます」は誰だって少なからず敵はいることを意味しており、多い少ないはあるけど誰だって敵はいることを意味する「誰だって多かれ少なかれ敵はいます」と置き換えることができます。
一方、「彼らは多かれ少なかれ政治に関心を抱ている人はいる」のように複数の主語を表す場合は、「彼らは多少なりとも政治に関心を抱ている人はいる」と置き換えることはできません。
「多少なりとも」と「多かれ少なかれ」の英語表記の違い
「多少なりとも」を英語にすると「even if only a litte」「in any way」となり、例えば上記の「多少なりとも彼女に贈り物をした方がいいと思います」を英語にすると「I think it is better to send her a gift even if only a litte」となります。
一方、「多かれ少なかれ」を英語にすると「more or less」「to a greater or lesser extent」となり、例えば上記の「彼は多かれ少なかれ両親に依存しています」を英語にすると「He is more or less dependent on her parents」となります。
「多少なりとも」の意味
「多少なりとも」とは
「多少なりとも」とは、少しだけでもや影響が小さくてもということを意味しています。
表現方法は「多少なりとも不安なら」「多少なりとも理解できるように」
「多少なりとも不安なら」「多少なりとも理解できるように」などが、「多少なりとも」を使った一般的な言い回しになります。
「多少なりとも」の使い方
「多少なりとも」を使った分かりやすい例としては、「多少なりとも息子にお小遣いを上げたい」「世の中そんなもんであることを多少なりとも知っている」「彼女と長い間一緒にいるので多少なりとも影響を受けている」などがあります。
「多少なりとも」は数量のあまり多くないことを意味する「多少」といくつかあるもののうちの一つを一応の例として示すことを意味する「なりとも」が合わさり、少しだけでもや影響が小さくてもということを意味している言葉です。
「多少なりとも」は小さくても少なくてもなどのように、控えめな仮定をする場合に使う言葉になります。
「多少なりとも」の類語
「多少なりとも」の類語・類義語としては、数量や分量が少しであることを意味する「少しは」、多くはないが少しだけの量であることを意味する「いくらかは」、少しの違いがあることを意味する「多少の差こそあれ」などがあります。
「多かれ少なかれ」の意味
「多かれ少なかれ」とは
「多かれ少なかれ」とは、数量や程度に多い少ないの差はあってもということを意味しています。
表現方法は「多かれ少なかれ影響を受ける」「多かれ少なかれ悲しいことはある」
「多かれ少なかれ影響を受ける」「多かれ少なかれ悲しいことはある」が、「多かれ少なかれ」を使った一般的な言い回しになります。
「多かれ少なかれ」の使い方
「多かれ少なかれ」を使った分かりやすい例としては、「多かれ少なかれ彼のことを良くないと思ってる人もいるはずだ」「多かれ少なかれ彼の人生に影響を与えたことは間違いない」「学校というもはは多かれ少なかれ嫌な面がある」などがあります。
「多かれ少なかれ」は対義語である多いと少ないを合わせて、数量や程度に多い少ないの差はあってもということを意味する言葉です。数量が多いか少ないかは問わないので、とても曖昧な表現になっています。
「多かれ少なかれ」の語源
「多かれ少なかれ」の語源は多少になります。多少とは数量の多いことと少ないことを意味しており、中国から入ってきた言葉です。この多少が日本に伝わり変化したのが「多かれ少なかれ」になります。
「多かれ少なかれ」の類語
「多かれ少なかれ」の類語・類義語としては、大きくても小さくてものことを意味する「大なり小なり」、はっきりしないがそれほど多くはない数量のことを意味する「若干」などがあります。
「多少なりとも」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、少しだけでもや影響が小さくてもということを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「多少なりとも」は様々な場面で使われている言葉です。
「多かれ少なかれ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、数量や程度に多い少ないの差はあってもということを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「多かれ少なかれ」は様々な場面で使われている言葉です。
「多少なりとも」と「多かれ少なかれ」どちらの言葉を使うか迷った場合、少しだけでもというニュアンスで使う時は「多少なりとも」を、多い少ないの違いがあってもというニュアンスで使う時は「多かれ少なかれ」を使うと覚えておきましょう。