似た意味を持つ「自明の理」(読み方:じめいのり)と「火を見るよりも明らか」(読み方:ひをみるよりもあきらか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「自明の理」と「火を見るよりも明らか」という言葉は、どちらも極めて明白であることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「自明の理」と「火を見るよりも明らか」の違い
「自明の理」と「火を見るよりも明らか」の意味の違い
「自明の理」と「火を見るよりも明らか」の違いを分かりやすく言うと、「自明の理」と「火を見るよりも明らか」は似た意味を持っていますが、悪い結果になる場合は「火を見るよりも明らか」を使うという違いです。
「自明の理」と「火を見るよりも明らか」の使い方の違い
一つ目の「自明の理」を使った分かりやすい例としては、「煙草を吸い続けていたら身体を壊すのは自明の理だ」「人に暴力を振るってはいけないのは自明の理である」「生きるために食料が必要なのは自明の理だ」「それは自明の理です」などがあります。
二つ目の「火を見るよりも明らか」を使った分かりやすい例としては、「泣きを見るのは火を見るよりも明らかである」「国民が支持していない政策であることは火を見るよりも明らかです」「彼女の無実は火を見るよりも明らかです」」などがあります。
「自明の理」と「火を見るよりも明らか」の使い分け方
「自明の理」と「火を見るよりも明らか」はどちらも極めて明白であることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「自明の理」と「火を見るよりも明らか」の違いは、「この件で信用が落ちるの火を見るよりも明らかです」のように悪い結果や否定的な事態など批判的なことを述べる場合は「火を見るよりも明らか」の方を使うという点になります。
「自明の理」と「火を見るよりも明らか」の英語表記の違い
「自明の理」を英語にすると「self-evident truth」「truism」となり、例えば上記の「それは自明の理です」を英語にすると「The facts speak for self-evident truth」となります。
一方、「火を見るよりも明らか」を英語にすると「be as clear as day」「be as plain as day」となり、例えば上記の「彼女の無実は火を見るよりも明らかです」を英語にすると「Her innocence is as clear as day」となります。
「自明の理」の意味
「自明の理」とは
「自明の理」とは、あれこれ説明する必要のない明白な道理のことを意味しています。
「自明の理」の使い方
「自明の理」を使った分かりやすい例としては、「子供大切にするのは自明の理です」「上司の命令に従うのは自明の理だ」「夜道を一人で歩くのが危ないのは自明の理です」「始まりがあれば終わりがあるのは自明の理だ」などがあります。
「自明の理」は特に証明などをしなくても明らかであることを意味する「自明」に、物事の道理や原理のことを意味する「理」が合わさり、あれこれ説明する必要のない明白な道理のことの意味で使われるようになりました。
これを簡単に言うならば、説明や証明をするまでもなく明白で分かりきっている道理のことです。
「自明の理」は日常生活ではほとんど使われない言葉なので馴染みがない人も多いでしょう。また、「自明の理」が主に使われる場面としては、新聞や論文などの論理的な文章になります。
「自明の理」の類語
「自明の理」の類語・類義語としては、紛れもなくはっきりしていることを意味うる「歴然」、物事の道理や筋道が極めてはっきりしていることを意味する「事理明白」などがあります。
「火を見るよりも明らか」の意味
「火を見るよりも明らか」とは
「火を見るよりも明らか」とは、極めて明らかで疑いを入れる余地がないことを意味しています。
「火を見るよりも明らか」の使い方
「火を見るよりも明らか」を使った分かりやすい例としては、「この件で信用が落ちるの火を見るよりも明らかです」「彼が犯人であることは火を見るよりも明らかだろう」「彼女が私を嫌っているのは火を見るよりも明らかですなどがあります。
「火を見るよりも明らか」は極めてて明らかで疑いを入れる余地がないことを意味することわざで、悪い結果や否定的な事態など批判的なことについて使うのが一般的です。
「火を見るように明らか」は誤り
「火を見るよりも明らか」を使う上で注意しなければならないのが、「火を見るように明らか」という言い回しを使わないことです。
文化庁が発表した平成20年度に行われた国語に関する世論調査で、本来の意味とされる「火を見るよりも明らか」で使う人が71.1%、本来の意味ではない「火を見るように明らか」で使う人が13.6%という結果が出ています。
多くの人が正しい使い方をしていますが、一定数の人は間違った使い方をしています。これを機に、正しい表現を覚えて間違えないようにしましょう。
「火を見るように明らか」の由来
「火を見るよりも明らか」の由来は、中国の書経「盤庚上」になります。
中国の殷(読み方:いん)という国に、盤庚(読み方:ばんこう)という名の国王がいました。盤庚は各地の諸侯を集めて、彼らに対して国の統治について次のように語りました。
地方政治が上手く回らない理由は、私に徳がないからではない。お前たちの愚かさが問題であることは、火を見るよりも明らかである。
この台詞が元となり、極めて明らかで疑いを入れる余地がないことを「火を見るよりも明らか」というようになりました。
「火を見るよりも明らか」の類語
「火を見るよりも明らか」の類語・類義語としては、明らかで疑う余地のないことを意味する「明白」、そうあるべきことを意味する「当たり前」、そうなるのが当たり前であることを意味する「当然」などがあります。
「自明の理」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、あれこれ説明する必要のない明白な道理のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「自明の理」は日常生活ではあまり使われない言葉です。
「火を見るよりも明らか」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、極めて明らかで疑いを入れる余地がないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「火を見るよりも明らか」はマイナスなイメージで使うのが一般的です。
「自明の理」と「火を見るよりも明らか」はどちらも極めて明白であることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、悪い結果や否定的な事態など批判的なことを述べる場合は「火を見るよりも明らか」の方を使うようにしましょう。