似た意味を持つ「なんなりと」と「ご遠慮なく」(読み方:ごえんりょなく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「なんなりと」と「ご遠慮なく」という言葉は、どちらも、遠慮したり控えたりしないように気兼ねなく思う存分に行うようにと促すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「なんなりと」と「ご遠慮なく」の違い
「なんなりと」と「ご遠慮なく」の意味の違い
「なんなりと」と「ご遠慮なく」の違いを分かりやすく言うと、「なんなりと」とは目上の人に対して問題なく使える、「ご遠慮なく」とは目上の人に対して使わない方が無難という違いです。
「なんなりと」と「ご遠慮なく」の使い方の違い
一つ目の「なんなりと」を使った分かりやすい例としては、「お困りの際はなんなりとお申し付けください」「商品の使い方についてはなんなりとお尋ねください」「ご用命の際はなんなりとお申し付けください」「なんなりと私にお申し付けください」などがあります。
二つ目の「ご遠慮なく」を使った分かりやすい例としては、「ご遠慮なくお申し付けください」「ご遠慮なく何でも注文してください」「こちらの台が空いてるのでご遠慮なく使って下さい」などがあります。
「なんなりと」と「ご遠慮なく」の使い分け方
「なんなりと」と「ご遠慮なく」はどちらもビジネスシーンにおいて使える言葉で、同じ意味を持っていますが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「なんなりと」は丁寧な表現なので目上の人に対して問題なく使うことができます。一方、「ご遠慮なく」は「遠慮」という言葉を使っているため、失礼と感じる人もいるので目上の人に対しては使わない方が無難というのが違いになります。
「なんなりと」と「ご遠慮なく」の英語表記の違い
「なんなりと」も「ご遠慮なく」も英語にすると「anything」「whatever」となり、例えば上記の「なんなりと私にお申し付けください」を英語にすると「Please don’t hesitate to ask me anything that」となります。
「なんなりと」の意味
「なんなりと」とは
「なんなりと」とは、何でもやどんなことでものことを意味しています。
表現方法は「なんなりとご質問ください」「なんなりとお申し付けください」
「なんなりとご質問ください」「なんなりとお申し付けください」「なんなりとお尋ねください」「なんなりとお使いください」「なんなりとご用命ください」などが、「なんなりと」を使った一般的な言い回しになります。
「なんなりと」の使い方
「なんなりと」を使った分かりやすい例としては、「何か質問があればなんなりとお申し付けください」「ご不明な点等ございましたらなんなりと仰ってください」「お気づきの点がありましたらなんなりとご相談ください」などがあります。
「なんなりと」は何でもやどんなことでものことを意味する「なんなり」に助詞の「と」が合わさり、どんなことでもどうぞという相手の意向に任せる気持ちを表現した言葉です。
「なんなりと」は丁寧な表現で柔らかい印象を与えながら、相手の意向を伺うことができるためビジネスシーンにおいてよく使われています。また、「なんなりと」はビジネスメールや電話など、書き言葉と話し言葉のどちらでも使うことが可能です。
「なんなりと」のビジネスシーンで使う主な場面としては、お客様などから用件を待ち受ける時、社内での指示受けの時、メールや書類などの文書の締めくくりの時、謝罪やクレーム対応の時などがあります。
「なんなりと」の漢字表記
「なんなりと」を漢字すると「何なりと」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、平仮名の「なんなりと」を使うようにしましょう。
「なんなりと」の類語
「なんなりと」の類語・類義語としては、遠慮しないで欲しいことを意味する「忌憚なく」、自分の意のままに振る舞ってもらうことを意味する「ご自由に」、どういうことでものことを意味する「何でも」などがあります。
「ご遠慮なく」の意味
「ご遠慮なく」とは
「ご遠慮なく」とは、遠慮したり控えたりしないように気兼ねなく行うようにと促すことを意味しています。
表現方法は「ご遠慮なくご連絡ください」「ご遠慮なくお申し出ください」
「ご遠慮なくご連絡ください」「ご遠慮なくお申し出ください」「ご遠慮なくお申し付けください」「ご遠慮なくおっしゃってください」「ご遠慮なくお問い合わせください」「ご遠慮なくいただきます」
「ご遠慮なく」の使い方
「ご遠慮なく」を使った分かりやすい例としては、「ご遠慮なく質問してください」「どうぞご遠慮なく掴まってください」「ご遠慮なくお召し上がりください」「どうぞご遠慮なくお調べください」などがあります。
「ご遠慮なく」は人に対して言葉や行動を慎み控えることを意味する「遠慮」に、接頭語の「ご」と否定の「ない」が合わさり、遠慮したり控えたりしないように気兼ねなく行うようにと促すことの意味で使われるようになった言葉です。
また、「ご遠慮なく」はとても丁寧な表現なので、ビジネスシーンにおいて上司や取引先などの目上の人に対して使うこともできますが、「遠慮」という言葉に抵抗を感じる人もいるため、「なんなりとお申し付けください」のように「なんなりと」を使った方が無難という説もあります。
「ご遠慮なく」の類語
「ご遠慮なく」の類語・類義語としては、手加減することがないことを意味する「容赦なく」、働きかけなどが非常に激しいことを意味する「痛烈に」、こだわったり面倒がったりしないで行動に出ることを意味する「お気軽に」などがあります。
「なんなりと」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何でもやどんなことでものことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「なんなりと」はビジネスシーンにおいてよく使われている言葉です。
「ご遠慮なく」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、遠慮したり控えたりしないように気兼ねなく行うようにと促すことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「ご遠慮なく」はビジネスシーンにおいてよく使われている言葉です。
「なんなりと」と「ご遠慮なく」はどちらも遠慮したり控えたりしないように気兼ねなく思う存分に行うようにと促すことを表します。
どちらの言葉を使うか迷った場合、目上の人に対して問題なく使えるのが「なんなりと」、目上の人に対して使わない方が無難なのが「ご遠慮なく」と覚えておきましょう。