似た意味を持つ「面目ない」(読み方:めんぼくない)と「かたじけない」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「面目ない」と「かたじけない」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「面目ない」と「かたじけない」の違い
「面目ない」と「かたじけない」の意味の違い
「面目ない」と「かたじけない」の違いを分かりやすく言うと、「面目ない」とは恥ずかしくて顔向けできないこと、「かたじけない」とは身に受けた恩恵などに対して感謝の念でいっぱいであることという違いです。
「面目ない」と「かたじけない」の使い方の違い
一つ目の「面目ない」を使った分かりやすい例としては、「失態を演じて面目ない」「私の不注意でこんなことになってしまい面目ない」「大事な場面でPKを失敗してしまい面目ない」「面目なくて合わす顔がありません」などがあります。
二つ目の「かたじけない」を使った分かりやすい例としては、「こんなことをしてもらってかたじけない」「それは私にはかたじけないお言葉です」「こんなにたくさんの物をいただけるなんてかたじけなく思います」「彼の親切はかたじけないです」などがあります。
「面目ない」と「かたじけない」の使い分け方
「面目ない」と「かたじけない」は発音が似ている言葉ですが、意味は異なっているので間違えないように注意しましょう。
「面目ない」は恥ずかしくて顔向けできないことを意味しており、失敗や失態を犯した時に使うのが一般的です。
一方、「かたじけない」は身に受けた恩恵などに対して感謝の念でいっぱいであることや恐れ多いことを意味しており、感謝の気持ちを伝える場合に使います。
「面目ない」と「かたじけない」の英語表記の違い
「面目ない」を英語にすると「ashamed」となり、例えば上記の「面目なくて合わす顔がありません」を英語にすると「I am ashamed to show my face」となります。
一方、「かたじけない」を英語にすると「thank you」「grateful」「appreciate」となり、例えば上記の「彼の親切はかたじけないです」を英語にすると「I appreciate it his kindness」となります。
「面目ない」の意味
「面目ない」とは
「面目ない」とは、恥ずかしくて顔向けできないことを意味しています。
「面目ない」の使い方
「面目ない」を使った分かりやすい例としては、「面目なくて彼に顔を合わせられません」「期待されていたのにも関わらず1回戦で負けてしまい面目ない」「私のミスのせいで企画が失敗してしまい面目ない」などがあります。
「面目ない」は主に失敗や失態を犯した時に恥ずかしいという感情が生まれた場合に使います。ただし、「面目ない」は申し訳ないという謝罪の意味を含んでないので間違えないように注意しましょう。
また、ビジネスシーンにおいて上司や取引先などの目上の人に対しても使うことはできません。
「面目ない」の由来
「面目ない」の由来は仏教用語の「面目」です。「面目」は元々、「めんもく」と読まれていましたが、時代が経つにつれて「めんぼく」と読むようになりました。
また、「面目」とは世間や周囲に対する体面や立場のことを意味おり、これに否定形の「ない」が合わさり、世間体がない様子から恥ずかしくて顔向けできないことの意味で使われるようになりました。
「面目ない」の類語
「面目ない」の類語・類義語としては、恥を世間にさらけ出すことを意味する「恥さらし」、恥を恥とも思わず平気でいることを意味する「破廉恥」(読み方:はれんち)、後ろめたいことを意味する「やましい」などがあります。
「かたじけない」の意味
「かたじけない」とは
「かたじけない」とは、身に受けた恩恵などに対して感謝の念でいっぱいであることを意味しています。その他にも、恐れ多いことの意味も持っています。
「かたじけない」の使い方
「ご好意のほど誠にかたじけなく存じます」「いつもご配慮いただきかたじけなく存じます」などの文中で使われている「かたじけない」は、「身に受けた恩恵などに対して感謝の念でいっぱいであること」の意味で使われています。
一方、「私にはかたじけないお言葉です」「かたじけないですが私の意見もお聞きください」などの文中で使われている「かたじけない」は、「恐れ多いこと」の意味で使われています。
「かたじけない」は主に相手への感謝の気持ちを伝える場合に使う言葉です。
「かたじけなく存じます」「かたじけないことでございます」が敬語表現
「かたじけない」ビジネスシーンにおいても使うことができます。また、「かたじけなく存じます」や「かたじけないことでございます」のように敬語表現することによって、目上の人に対して使うことも可能です。
「かたじけない」の由来
「かたじけない」の由来ははっきりと判明されておれず、諸説存在しています。最も有力なのが、ありがとうを意味する「かたじけなし」が変化したという説です。
「かたじけない」は漢字表記
「かたじけない」は漢字にすると「忝い」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。
「かたじけない」の類語
「かたじけない」の類語・類義語としては、受けた恩をありがたく思うことを意味する「恩に着る」、 人の好意などに対して滅多にないことと感謝することを意味する「有難い」、ありがたいと思う気持ちを表すことを意味する「感謝」などがあります。
「面目ない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、恥ずかしくて顔向けできないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「面目ない」は申し訳ないのではなく、恥ずかしくて顔を合わすことができない場合に使います。
「かたじけない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、身に受けた恩恵などに対して感謝の念でいっぱいであることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、恐れ多いことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「かたじけない」は身に受けた恩恵などに対して感謝の念でいっぱいであること、例文4と例文5の「かたじけない」は恐れ多いことの意味で使っています。
「面目ない」と「かたじけない」は響きが似ている言葉ですが意味は異なっています。
どちらの言葉を使うか迷った場合、恥ずかしくて顔向けできないことを表現したい時は「面目ない」を、身に受けた恩恵などに対して感謝の念でいっぱいであることを表現したい時は「かたじけない」を使うと覚えておきましょう。