似た意味を持つ「冗長」(読み方:じょうちょう)と「冗漫」(読み方:じょうまん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「冗長」と「冗漫」という言葉は、どちらもは話や文章が不必要に長いさまを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
冗長と冗漫の違い
冗長と冗漫の意味の違い
冗長と冗漫の違いを分かりやすく言うと、冗長よりも冗漫の方が、まとまりがなく伝わりにくいという違いです。
冗長と冗漫の使い方の違い
一つ目の冗長を使った分かりやすい例としては、「冗長な文章を書く人だ」「冗長性の低い遺伝子を発見した」「IT業界ではシステムの冗長化がトレンドです」「故障対策に冗長性設計は必須でしょう」でなどがあります。
二つ目の冗漫を使った分かりやすい例としては、「冗漫なスピーチで頭に入らなかった」「冗漫な英語論文になってしまった」「冗漫な文体が特徴の小説家です」「私の文章はヘタで冗漫すぎる」などがあります。
冗長と冗漫の使い分け方
冗長と冗漫という言葉は、どちらも物の言い方や文章などが無駄に長いことを意味します。二つの言葉は、ほぼ同じ意味を持つため使い分けが難しい言葉ですが、あえて違いを言うならば伝わりにくさの度合いでしょう。
二つの言葉の相違点となる「長」と「漫」に着目すると、「長」とは時間が距離などが単純に長いことを表します。一方、「漫」とはむやみに広がって締まりがないことを表します。「漫」は「散漫」という熟語にあるように、まとまりのなさを意味する漢字です。
つまり、冗長は単にだらだらと長いというニュアンスがあり、冗漫は長い上にまとまりがないというニュアンスがあります。二つの言葉を比べると、まとまりがない意味合いを持つ冗漫の方が、伝わりにくい程度が大きいと言えるでしょう。
また、冗長は表現に関してだけでなく、IT用語に関しても使われていますが、冗漫は専ら表現に関してのみ使われる言葉です。これらが、冗長と冗漫という言葉の違いになります。
冗長と冗漫の英語表記の違い
冗長も冗漫も英語にすると「diffuse」「verbosity」「prolix」となり、例えば上記の「冗長な文章」を英語にすると「a diffuse style」となります。
冗長の意味
冗長とは
冗長とは、文章や話などが無駄が多くて長いことを意味しています。
表現方法は「冗長になる」「冗長な話」「冗長な説明」
「冗長になる」「冗長な話」「冗長な説明」などが、冗長を使った一般的な言い回しです。
冗長の使い方
冗長を使った分かりやすい例としては、「先生の話は冗長なので眠たくなる」「メール文の冗長表現を省く」「冗長的な文章にならないようにする」「効率化重視で冗長性が失われている」「冗長な英語表現はやめましょう」などがあります。
その他にも、「社内ストレージの冗長化は常識になっている」「不測の事態のためにシステムに冗長性を持たせる」「サーバにおける冗長構成のメリットを説明します」「中継区間が冗長構成になっています」などがあります。
冗長という言葉の「冗」とは、無駄なことや煩わしいことを表します。冗長とは、不必要に長かったり、同じことを何度も繰り返したりして無駄が多いことです。本来は文章や話し方に用いられる言葉ですが、現在はコンピューターの分野における予備の装置やシステムにも用いられています。
IT用語「冗長化」の意味
冗長という言葉を用いたIT用語には「冗長化」があります。冗長化とは、コンピューターシステムにおける機器やネットワークの障害に備え、システムの予備を追加して多重化を図ることを意味します。
冗長とは、余分なものや無駄なものというネガティブなニュアンスを伴う言葉ですが、IT用語としては多重化して障害に備えるというポジティブなニュアンスで使われています。
冗長の対義語
冗長の対義語・反対語としては、簡単で要領を得ているさまを意味する「簡潔」、簡単で短いさまを意味する「手短」などがあります。
冗長の類語
冗長の類語・類義語としては、嫌になるほど長いことや長ったらしいことを意味する「長たらしい」、だらだらとやたらに長いさまを意味する「便々」などがあります。
冗漫の意味
冗漫とは
冗漫とは、表現に締まりがなくて無駄が多いことを意味しています。
表現方法は「冗漫な文章」「冗漫な挨拶」「冗漫さ」
「冗漫な文章」「冗漫な挨拶」「冗漫さ」などが、冗漫を使った一般的な言い回しです。
冗漫の使い方
冗漫を使った分かりやすい例としては、「冗漫な長い手紙を送ってしまい申し訳ありません」「些末の事柄を冗漫に記載した記事でした」「以前のトークは冗漫でしたが今は的確に話しています」「舞台は冗漫で退屈なものでした」などがあります。
その他にも、「冗漫な文章は読みづらい」「校長先生の話は冗漫なものでした」「冗漫な部分は適切に削除しましょう」「冗漫すぎるコメントだった」「冗漫にならないように詳細を割愛する」などがあります。
冗漫という言葉の「漫」とは、むやみに広がって締まりがないさまを表します。無駄が多くて締まりがないことを表す「冗」と組み合わさり、冗漫とは、くどくて長たらしいこと、だらだらとしまりのないことを意味する言葉です。
「冗漫な文章」の意味
上記の例文にある「冗漫な文章」とは、必要が無い情報や無駄な表現が多く、焦点が絞り切れていないなど、読む人に何を伝えたいのか分かりにくい文章のことです。
冗漫の対義語
冗漫の対義語・反対語としては、文章や話の内容などを手短に要領よくまとめることを意味する「簡約」、手短で簡単なことを意味する「簡略」などがあります。
冗漫の類語
冗漫の類語・類義語としては、きわめて長いことや嫌になるほど長いことを意味する「長長しい」、しつこく繰り返して言うさまを意味する「くどくど」などがあります。
冗長の例文
この言葉がよく使われる場面としては、長たらしいもの、余分なものを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある冗長は、話や文章に対して不必要に長いことを表しています。例文4や例文5の冗長はIT用語として用いられ、システムやプログラムの多重化を表しています。例文5にある「冗長性」とは、万が一のときに備えて付加した予備データを意味します。
冗漫の例文
この言葉がよく使われる場面としては、くどくて長たらしいことを表現したい時などが挙げられます。
冗漫とは、表現に締まりがなくて不必要に長いさまを表します。例文1から例文3では文章に対して、例文4や例文5ではセレモニーや芝居の演出について、冗漫という言葉が用いられています。
冗長と冗漫という言葉は、どちらも話や文章が不必要に長いさまを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、長たらしいことを表現したい時は「冗長」を、長たらしくてまとまりがないことを表現したい時は「冗漫」を使うようにしましょう。