【精進】と【邁進】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「精進」(読み方:しょうじん)と「邁進」(読み方:まいしん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分けを参考にしてみてください。

「精進」と「邁進」という言葉は、どちらも物事を行うのにためらいがなく、努力することを意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




精進と邁進の違い

精進と邁進の意味の違い

精進と邁進の違いを分かりやすく言うと、精進というのは、雑念から開放されて物事に専念することを意味していて、邁進というのは、恐れることなく目標へ向けて努力することを意味しているという違いです。

精進と邁進の使い分け方

精進というのは、元々は仏教から来ている言葉です。サンスクリット語(梵語)から漢訳仏典を経て日本の仏教に流れてきた言葉です。国や宗派によって意味は異なりますが、日本の仏教では、心身を清めたり、俗世との縁を断ち切り仏門に入るなどの意味です。

また、こうした仏教の意味から転じて、祭礼などの前に身を清めるために俗世との関わりを避けることの意味を持つようにもなりました。しばしば耳にする「精進落とし」という言葉は、その反対に、祭事の後に世俗的な交わりを再開することを意味します。

そうした古い意味が残りつつも、現在ではそうした意味合いが抜け、物事に一生懸命に取り組むことという意味で広がっています。ただその場合でも、「別の物事に惑わされることなく一心に」という意味が響いていることは押さえておきたいところです。

次に、邁進というのは、目標に向かって恐れずに努力するという意味です。精進との違いが分かりにくいですが、精進が目の前の物事に一心に取り組むという意味合いなのに対して、邁進は遥か先にある目標を見据えて目の前の物事に取り組むという意味合いです。

精進の意味

精進とは

精進とは、他の物事に煩わされることなく一つの物事に集中することを意味しています。

精進の語源

精進という言葉では、「物事を行う」という意味を表すのに「進」という漢字を使っています。もちろん空間的に場所を移動するという意味ではなく、ここでの「進」という字は「身を入れて励む、やる気を起こす」という意味です。

もう一つの「精」という字は、「清い、澄んでいる」という意味ですが、さらに詳しく言うと、「濁りや汚れ、くもりがない」という意味です。「雑念を払って」という精進の意味は、この「精」という漢字から来ています。

表現方法は「精進してください」「精進します」「精進を重ねる」

「精進してください」「精進します」「精進を重ねる」などが、精進を使った一般的な言い回しです。

精進の使い方

精進を使った分かりやすい例としては、「この会社で活躍できるようこれから日々精進してください」「テストが近いので恋愛は抑えて学業に精進します」「彼の日々精進を重ねる姿勢が周りの人の刺激となっている」などがあります。

精進の対義語

精進の対義語・反対語としては、仏道修行に際して雑念を払うことが出来ないこと、転じてなまぐさなことを意味する「懈怠」(読み方:けたい)、生活などに怠けて堕落することを意味する「懶惰」(読み方:らんだ)などがあります。

精進の類語

精進の類語・類義語としては、一つのことに熱心に集中することを意味する「専念」、心を研ぎ澄まし一つのことに集中することを意味する「専心」「一意専心」(読み方:いちいせんしん)、精を出して励むことを意味する「精励」(読み方:せいれい)などがあります。

精進の精の字を使った別の言葉としては、心や知性、またその働きのことや、物事の基本原理や理念のことなどを意味する「精神」、選りすぐりであることを意味する「精鋭」、汚れに染まっておらず、まっすぐ清らかなことを意味する「清純」などがあります。

精進の進の字を使った別の言葉としては、広い意味で前進すること、活動や作業が計画通りに進むことを意味する「進行」、乗り物が進行を開始することを意味する「発進」、活動の勢いが盛んになることを意味する「増進」などがあります。

邁進の意味

邁進とは

邁進とは、目標に向かって恐れずに努力することを意味しています。

邁進の語源

邁進の「進」という字も、精進と同様に「取り組む」という意味が基本です。あくまでイメージとしての話ですが、こちらの方が通常の「進む」の意味と近いことを覚えておくと、邁進の言葉の意味が分かりやすくなります。「目標へ突き進む」ということです。

邁進の邁という字は常用漢字ではなく、また代わりの漢字もないため「まい進」と書かれる場合も多いです。邁にも「すすむ」という意味がありますが、「励む、努める」という意味もあります。

感じの成り立ちだけで考えると、邁進という「努めて取り組む」という意味です。そこに「目標に向かって」という意味が付け加わって、「恐れずに、勇敢に」という意味合いが加わることになります。

表現方法は「邁進する」「邁進してください」「邁進してまいります」

「邁進する」「邁進してください」「邁進してまいります」などが、邁進を使った一般的な言い回しです。

邁進の使い方

邁進を使った分かりやすい例としては、「先輩方のお役に少しでも早く立てるよう日々邁進する所存です」「先輩から教わったことを忘れずに次の部署でも邁進してまいります」などがあります。

「邁進相違」は「満身創痍」の間違い

なお、「邁進相違」という言葉はありません。全身傷だらけである様子や徹底的に打ちひしがれてまいり果てている様子を意味する「満身創痍」(読み方:まんしんそうい)が正しい言葉です。

邁進と慢心は読み方が似ていますから、読み間違いや打ち間違いのないようにしましょう。

邁進の対義語

邁進の対義語・反対語としては、些細なことにも怖がることを意味する「臆病」、物事が滞ることや、進歩や進捗に乏しいことを意味する「停滞」、関心の対象がついつい別の物事に移ってしまうことを意味する「目移り」などがあります。

邁進の類語

邁進の類語・類義語としては、猪の突進のように、目的や獲物などに向かってひたすら突き進むことを意味する「猪突猛進」、リスクや状況などをよく考えることなく、飛びつくように行動することを意味する「向こう見ず」などがあります。

邁進の邁の字を使った別の言葉としては、困難や障害を恐れずに目標や目的へ進んでゆく勇ましい様子を意味する四字熟語「勇往邁進」(読み方:ゆうおうまいしん)などがあります。

精進の例文

1.彼に追いつくためには、一層の精進を重ねることが必要だ。
2.皆さんは今回ですべてが終わりという訳ではないので、今後とも、一層精進してください。
3.「今回の反省をもとに、今後一層精進してまいりますのでよろしくお願い申し上げます」と、手紙に添えておいた。
4.彼は僕のことを高く評価してくれているようだけれども、自分としてはまだまだ精進が必要だと思っている。
5.精進料理は鎌倉仏教によって一般家庭にも広まり、以降、日本の食文化一般に影響を与え続けている。
6.後輩の仕事を手伝ったら「いつも申し訳ありません。早く仕事を覚え戦力となれるよう精進してまいる所存です」とメールがきてちょっと感動した。
7.多くのファンの皆様の期待に応えられるよう、これからも日々精進してまいります。
8.記念公演は無事に終了いたしました。これからも精進すると共に、皆様と共に歩んでいけたらと思います。
9.彼は師匠からは、さらに精進すればやがては誰にも負けない技を身につけることが出来るだろうと太鼓判を押された。
10.彼の仕事ぶりをみていたら、この辺でいいだろうと思っていたことを恥じて、精進が足りないと自覚すること出来ました。

この言葉がよく使われる場面としては、ひたむきに努力することを表現したい時などが挙げられます。元々は仏教から来て、神事などにも使われるようになった「精進」という言葉ですが、今日では普通、「ひたむきに努力する」という意味で使われます。

ただし、日常会話で精進するという言葉を使うと堅苦しさがあります。「精進したまえ」や「精進します」という言葉使いもありますが、精進という言葉を使うとほんの少しですが、気取ったニュアンスが出ます。

例文2のような挨拶ないしスピーチ、例文えのような手紙文や、書き言葉の地の文や、日記などの独白で使う分で使う分には問題ありませんが、友人や同僚などとの日常会話の中では、気取って「精進」と場合を除いて、「努力」の方がよいでしょう。

邁進の例文

1.新規事業の成功へ向けて、部署総出で邁進していく所存です。
2.今後とも鍛錬を重ね、邁進する所存です。ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
3.彼女のまさに勇往邁進と形容すべき取り組み方には、感銘を受けざるをえない。
4.家族の支えのおかげで仕事に邁進することが出来て、感謝の念に堪えない。
5.「邁進一筋」という言葉は辞書には載っていないだけではなく、友人の中には「そんな日本語おかしいよ」というやつもいた。だけど僕は「言葉は生きもの」だと思うから、そういう言葉が使われたという事実に注目したい。
6.相当な学力や学費が必要ですが将来は医師になりたいので、国立大の医学部に入れるよう今から夢に向かって邁進するつもりです。
7.あの部署は一致団結し今期の目標に向かって邁進しているが、どのようにチームビルディングしたのかあの部長に是非聞いてみたいものだ。
8.この度はコンクールで金賞を受賞することが出来ました。今後もご期待に添えるよう一層邁進いたします。
9.これからも、アーティストとして変わらず邁進していきますので、どうぞよろしくお願い致します。
10.今年は事業が軌道に乗って邁進の一年になると思うので、立ち止まることなく頑張ってまいります。

この言葉がよく使われる場面としては、目標向かっていくという決意を表現したい時などが挙げられます。例文1や例文5のように、ビジネスなど、かしこまった場面で使うこともありますので、覚えておきたい言葉です。

この言葉のポイントは、目的へ向かって進んでいくという点です。この言葉を使う時には、何が目標なのかを明確にするようにしましょう。

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