似た意味を持つ「リミックス」と「アレンジ」と「カバー」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「リミックス」と「アレンジ」と「カバー」という言葉は、原曲をもとに異なるバージョンを作ることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
リミックスとアレンジとカバーの違い
リミックスとアレンジとカバーの意味の違い
リミックスとアレンジとカバーの違いを分かりやすく言うと、リミックスは構成素材の変更を表現する時に使い、アレンジは曲調の変更を表現する時に使い、カバーは第三者による演奏を表現する時に使うという違いです。
リミックスとアレンジとカバーの使い方の違い
リミックスという言葉は、「ダンスナンバーにリミックスされた」「リミックスアルバムの発売が待ち遠しい」などの使い方で、完成された曲を別のバージョンにする作業を意味します。
アレンジという言葉は、「彼はその曲を歌う時のアレンジが独特だ」「ヘアアレンジが上手い友人にお願いする」などの使い方で、原曲とは異なるジャンルやスタイルで演奏するなどのため編曲することや、配置をすることを意味します。
カバーという言葉は、「カバー曲がヒットしたからか昔の曲を最近よく聞く」「有名アーティストによるカバーは予想していなかった」などの使い方で、ある演奏者や歌手のものとして発表された楽曲を第三者が演奏したり歌ったりすることを意味します。
リミックスとアレンジとカバーの使い分け方
リミックスとアレンジは、どちらも原曲の新たなバージョンを作り上げることを意味する言葉ですが、前者は既存の状態からギターを抜く、ピアノを加えるなど構成する素材を変更することを指し、後者は曲調やメロディそのものを変更することを指します。
また、アレンジは「arrangement」という言葉がもとになっており、「フラワーアレンジメント」「ヘアアレンジ」などのように曲以外にも使われることも多くあります。
一方のカバーは、オリジナル曲を生み出したアーティストではない第三者によって演奏されることを指す言葉です。カバーが行われた時に、アレンジも同時に行われることもありますが、アレンジの有無はカバーに関係ありません。
これが、リミックス、アレンジ、カバーの明確な違いです。
リミックスの意味
リミックスとは
リミックスとは、完成された曲を別のバージョンにする作業を意味しています。
リミックスの英語表記
リミックスは「remix」という英語表記になりますが、「mix」や「mixing」は曲に必要なボーカル、コーラス、ギター、ドラム、ベースなどの音を調整して一つの曲にする作業を指します。
このミックスやミキシングを再度行うのが「リミックス」です。既存の楽曲を素材として再構成したり様々な加工を行うことで、その曲の新しいバージョンを製作します。
「ダンス・リミックス」の意味
リミックスを使った言葉として、「ダンス・リミックス」があります。リミックスはもともと、1970年代後半にアメリカでディスコブームが起きたことによって発展した技術です。
そのため、ダンスナンバーとしてボーカルを除いたり、踊りやすく音が強調されたり、曲の長さを引き伸ばしたりすることを指していました。
リミックスの対義語
リミックスの対義語・反対語としては、変更を加える前のもとの曲を意味する「原曲」があります。
リミックスの類語
リミックスの類語・類義語としては、原料や素材に手を加えて新しい物を作ることを意味する「加工」、不十分と思われるところを改め直すことを意味する「修正」、上辺を取り繕って立派に見せかけることを意味する「粉飾」などがあります。
アレンジの意味
アレンジとは
アレンジとは、編曲することを意味しています。その他にも、配置することや、新しく構成し直すことも意味するため、曲以外のものに使われることもあります。
原曲が指定した楽器編成で演奏するため、原曲とは異なるジャンルなどに変更して演奏ためなどの理由でアレンジは行われています。また、演奏形態を変更するために行うアレンジはクラシックのみに使われています。
例えば、オーケストラのための交響曲がピアノで演奏するために編成が変えられる場合はアレンジと言えます。
表現方法は「アレンジする」「アレンジされた」「アレンジがきく」
「アレンジする」「アレンジされた」「アレンジがきく」などが、アレンジを使った一般的な言い回しです。
「ヘッドアレンジ」の意味
アレンジを使った言葉として、「ヘッドアレンジ」があります。これは、譜面には記さないまま演奏の現場で行われる編曲を指す言葉です。口頭でみんなで話し合いながらアレンジを行いますが、簡単にメモを残す場合も含みます。
アレンジの対義語
アレンジの対義語・反対語としては、案を考え出すことを意味する「発案」、もとになる最初の案を意味する「原案」があります。
アレンジの類語
アレンジの類語・類義語としては、通常の方法に付け加えられる工夫を意味する「ひと手間」、他者によって創り出された文学などを模倣して作り替えられた作品を意味する「パロディ」、敬意や尊敬を意味する「オマージュ」などがあります。
カバーの意味
カバーとは
カバーとは、ある演奏者や歌手のものとして発表された楽曲を他の人が演奏したり歌ったりすることを意味しています。
2000年代になってオンライン上で音楽の購入ができるようになったことでCDが売れなくなり、ディスクの購入を多くしていた団塊世代を狙って過去のヒット曲が多くカバーされるようになりました。
今日では、動画配信サイトにカバーを行った動画が「歌ってみた」動画としてアップロードされることが非常に多くなり、そういった人たちがデビューを果たすこともあります。
表現方法は「カバーする」「カバーされる」
「カバーする」「カバーされる」などが、カバーを使った一般的な言い回しです。
「セルフカバー」の意味
カバーを使った言葉として、「セルフカバー」があります。これは、過去に作って他者に提供した曲を自分で演奏したり歌うことや、過去に自分で発表した曲を新たに録音し直すことを指す言葉です。和製英語であるため、英語として使うことはできません。
カバーの類語
カバーの類語・類義語としては、活力となるような感情などを人の心に吹き込むことを意味する「インスパイア」、感謝や尊敬などの気持ちを表す印を意味する「トリビュート」、もう一度つくることを意味する「リメイク」などがあります。
リミックスの例文
この言葉がよく使われる場面としては、完成された曲を別のバージョンにする作業を意味する時などが挙げられます。
例文1と例文2のリミックスは、アレンジという言葉に置き換えて使うことができますが、リミックスとアレンジでは出来上がった曲に違いがあるため注意が必要です。
アレンジの例文
この言葉がよく使われる場面としては、編曲することや配置することを意味する時などが挙げられます。
例文3のように音楽以外にも「手を加えること」を意味する言葉として使われています。
カバーの例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある演奏者や歌手のものとして発表された楽曲を他の人が演奏したり歌ったりすることを意味する時などが挙げられます。
例文2の「セルフカバー」とは、他者に提供した曲を自分で歌ったり、自身が歌った曲を再度歌い直すことを指す言葉です。
リミックスとアレンジとカバーどれを使うか迷った場合は、構成素材の変更を表す場合は「リミックス」を、曲調の変更を表す場合は「アレンジ」を、第三者による演奏を表す場合は「カバー」を使うと覚えておけば間違いありません。