似た意味を持つ「私見」(読み方:しけん)と「所見」(読み方:しょけん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「私見」と「所見」という言葉は、どちらも「ある事柄についての考え」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
私見と所見の違い
私見と所見の意味の違い
私見と所見の違いを分かりやすく言うと、私見とは自分ひとりの意見、所見とは見たところの意見という違いです。
私見と所見の使い方の違い
一つ目の私見を使った分かりやすい例としては、「私見によれば英語の早期教育は不要です」「あくまで私見ですがビジネスに遠慮は要りません」「彼の報告書には往々にして私見が入るようだ」「10万円の給付金について私見を述べる」などがあります。
二つ目の所見を使った分かりやすい例としては、「ベテラン社員として所見を述べる」「通知表の所見欄を書くのに時間がかかる」「心電図検査で所見ありとなった」「診察所見で虐待の疑いがみられた」などがあります。
私見と所見の使い分け方
私見と所見という言葉は、どちらも「ある事柄についての意見や考え」を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
私見とは、自分ひとりの個人的な意見を意味します。「報告書に私見が入る」とは、報告書に書き手の個人的な意見が加わっていることを表します。また、「あくまで私見ですが」のように、自分自身の意見を謙遜していう時にも用いられています。
所見とは、見たところの判断や意見を表します。見ることにフォーカスした表現であり、あるものを見て得た情報から判断を下したり、意見を述べることを表します。また、私見のような謙遜の意味合いはありません。
私見と所見の英語表記の違い
私見を英語にすると「personal viewpoint」「private opinion」となり、例えば上記の「私見によれば」を英語にすると「in my personal opinion」となります。
一方、所見を英語にすると「observation」「finding」となり、例えば上記の「所見を述べる」を英語にすると「make a few observations」となります。
私見の意味
私見とは
私見とは、自分一人の意見や見解、自分の意見を謙遜していう語を意味しています。
表現方法は「私見ですが」「私見が入る」「私見を述べる」
「私見ですが」「私見が入る」「私見を述べる」などが、私見を使った一般的な言い回しです。
私見の使い方
私見を使った分かりやすい例としては、「あくまでも私見ですが睡眠は3時間で十分です」「これは私の私見ですがワクチンは義務化すべきです」「市場動向について私見を述べる」「私見を述べさせていただきます」などがあります。
その他にも、「それはあなたの私見ですよね」「私見で恐縮ですが、おすすめの飲食店をご紹介します」「日経新聞の私見卓見をスクラップしている」「レポートで私見を述べる書き方を教えてもらった」「がん治療における最新の知見を踏まえて私見を述べる」などがあります。
私見とは、一個人としての意見や、自分自身の考えのことです。「あくまでも私見ですが」「あなたの私見ですよね」のように、大多数の意見とは違うかもしれない、正解ではないかもしれない、という意味合いのある私的な意見を表します。
また、私見という言葉は、自分の意見をへりくだっていう表現にもなります。「私見で恐縮ですが」「私見を述べさせていただきます」のように、自分の意見を謙遜して述べる際にも用いられています。
私見の対義語
私見の対義語・反対語としては、ある社会の問題について世間の人々の持っている意見を意味する「世論」、ある社会的問題について多数の人々の議論による意見を意味する「輿論」、世間一般の人々の意見を意味する「公論」、全員の一致した意見や考えを意味する「総意」などがあります。
私見の類語
私見の類語・類義語としては、自分の意見をへりくだっていう語を意味する「愚見」、一個人として抱く感想を意味する「私感」、自分一人の意見や個人的な意見を意味する「私議」、非公式に個人として述べる論を意味する「私論」などがあります。
所見の意味
所見とは
所見とは、見た事柄、見た結果の判断や意見を意味しています。
その他にも、ある事についての意見や考えの意味も持っています。
表現方法は「所見あり」「所見を述べる」「所見がある」
「所見あり」「所見を述べる」「所見がある」などが、所見を使った一般的な言い回しです。
所見の使い方
「ガン検診の結果に所見なしと書いてあった」「所見ありの診断結果を放置してはいけません」「医者が所見を英語で記す」「小学校と中学校では所見の内容がまるで違う」などの文中で使われている所見は、「見た結果の判断や意見」の意味で使われています。
一方、「報告書のなかで所見を述べる」「ビジネスモデルについて所見を伺う」「報告書の所見の書き方を先輩社員に教えてもらう」などの文中で使われている所見は、「ある事についての意見や考え」の意味で使われています。
所見という言葉の「所」は動作や行為を表す語の上に付いて「~するところ」「~するもの」の示します。所見とは、「見たところ」「見た結果」が原義となり、見た結果の判断や意見や、ある事についての意見を意味する言葉です。見て判断する医療現場や教育現場で、用いられることが多くあります。
学校における通知表の所見は、教師が生徒の成績や学校生活の記録などをまとめ、その様子などを生徒等本人や保護者へ伝える通信欄のことです。
「偶発的所見」の意味
所見を用いた日本語には「偶発的所見」があります。ある疾患についての検査をしたとき、偶然に別の疾患についての所見が見い出されることです。MRIなどの画像診断や血液検査において多く起こります。
所見の対義語
所見の対義語・反対語としては、前もっていだいている固定的な観念を意味する「先入観」、客観的な根拠なしにいだかれる非好意的な判断を意味する「偏見」などがあります。
所見の類語
所見の類語・類義語としては、物事に対する考え方や価値判断を意味する「見解」、ある問題に対する主張や心に思うところを意味する「意見」、事に触れて心に感じた事柄を意味する「所感」、医者が患者を診察して病状などを判断することを意味する「診断」などがあります。
私見の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分一人の意見、自分の意見をへりくだっていう語を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「私見」と「私感」の違いは、私見は自分一人の意見や考えであることに対し、私感は一個人として思ったことや感じたことにあります。
所見の例文
この言葉がよく使われる場面としては、見た事柄、見た結果の判断や意見、ある事についての考えを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の文中にある所見は、「見た事柄、見た結果の判断や意見」の意味で用いられています。例文5にある所見は「ある事についての考え」の意味で用いられています。
私見と所見という言葉は、どちらも「意見や考え」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、自分ひとりの意見を表現したい時は「私見」を、見た結果の意見を表現したい時は「所見」を使うようにしましょう。