【奇譚】と【奇談】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「奇譚」(読み方:きたん)と「奇談」(読み方:きだん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「奇譚」と「奇談」という言葉は、どちらも珍しい話を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




奇譚と奇談の違い

奇譚と奇談の意味の違い

奇譚と奇談の違いを分かりやすく言うと、奇譚とは物語のニュアンスが強く、奇談とは会話のニュアンスが強いという違いです。

奇譚と奇談の使い方の違い

一つ目の奇譚を使った分かりやすい例としては、「昔から伝わる異聞奇譚を検証してみたい」「祖父の人生は奇譚のようだった」「幸せな気分になる奇譚だよ」「奇譚小説に時間を忘れて没頭する」などがあります。

二つ目の奇談を使った分かりやすい例としては、「そんな奇談は聞いたことがないよ」「学校にまつわる奇談に子供達が聞き入っている」「彼の旅行先での奇談に耳を傾ける」「まるで映画のようなドラマチックな奇談だね」などがあります。

奇譚と奇談の使い分け方

奇譚と奇談という言葉は、言葉の響きが似ており、どちらも珍しい話や不思議な話を表すので、混同して使われる傾向があります。二つの言葉は使い分けが難しい言葉ですが、ニュアンスの違いがあります。

奇譚と奇談の相違点となる「譚」と「談」という漢字に着目すると、「譚」は物語や物語を語ることを表し、「談」は話すことや話した事柄を表すという違いがあります。

つまり、奇譚とは特定の事柄の一部始終や、古くから語り伝えられた話という「物語」のニュアンスが強い言葉であり、奇談とは口頭で伝える「会話」や「談話」のニュアンスが強い言葉だと言えるでしょう。

奇譚と奇談の英語表記の違い

奇譚も奇談も英語にすると「strange story」「anecdote」「mysterious story」となり、例えば上記の「異聞奇譚」を英語にすると「strange stories and curious tales」となります。

奇譚の意味

奇譚とは

奇譚とは、珍しい話、不思議な物語を意味しています。

奇譚の読み方

奇譚の読み方は「きたん」です。「譚」は音読みで、「たん」と「だん」の二つの読み方がありますが、奇譚は「きだん」と読みませんので、注意しましょう。

奇譚の使い方

奇譚を使った分かりやすい例としては、「この異聞奇譚は作り話じゃないよ」「猫には昔から奇譚が付きものだ」「世にも奇妙な奇譚をドラマ化している」「図書館で全国各地の奇譚を集めたコーナーがある」などがあります。

その他にも、「時間が盗まれるという奇譚に夢中になる」「奇譚を素材としたアニメです」「世界の奇譚を集めた本をプレゼントした」「彼の話は信じられたない奇譚だった」「故郷に伝わる奇譚を子供に聞かせる」などがあります。

奇譚という言葉は、珍しくて不思議な物語や言い伝えを意味します。非日常的な普通では考えられない物語だけでなく、ある地域特有の珍しい伝承も表す言葉です。古い文学作品などに見られる言葉であり、現代では使われることが少なくなりました。

四字熟語「異聞奇譚」の意味

奇譚を用いた四字熟語には「異聞奇譚」があり、非常に珍しい話を意味します。「異聞」も「奇譚」も、普通では考えも想像もできない話や、聞いたことがない変わった話を意味する言葉であり、その意味を強調した四字熟語です。

「奇譚ない」「奇譚なく」は誤り

奇譚を用いた誤った言い回しには「奇譚ない」「奇譚なく」があります。正しくは「忌憚ない」「忌憚なく」であり、「遠慮や気兼ねをすることなく」を意味します。

奇譚の対義語

奇譚の対義語・反対語としては、 ありふれた話や日常の話を意味する「常談」、俗事についての話を意味する「俗談」、出まかせのつまらない話を意味する「与太話」などがあります。

奇譚の類語

奇譚の類語・類義語としては、現実には起こりそうにない不思議な話を意味する「伝奇」、珍しい話や珍談を意味する「珍話」、いつまでたっても人が話の種にするような珍しい話を意味する「一つ話」などがあります。

奇談の意味

奇談とは

奇談とは、変わった珍しい話、不思議な話を意味しています。

奇談の使い方

奇談を使った分かりやすい例としては、「ウソのような本当の世界の奇談を集めました」「海外の奇談集も面白いね」「クラブ活動で奇談を発表する」「狩人たちの奇談が綴られた本です」などがあります。

その他にも、「人生経験豊富な叔父の奇談は興味深い」「信じられない奇談だけどホントの話なの」「奇談シリーズを定期購読しています」「怪談は苦手だけど奇談なら聞きたいです」などがあります。

「奇談集」の意味

奇談という言葉は、珍しくて不思議な話や、世にも珍しい話を意味します。見たり聞いたりした中で、特に珍しくて不思議な話のことです。上記の例文の「奇談集」とは、奇怪な話や世にも不思議な話を集めた本を意味します。

奇談の対義語

奇談の対義語・反対語としては、ふだんの言葉や普通の話を意味する「平話」、あたりさわりのない世の中の一般的な話を意味する「世間話」などがあります。

奇談の類語

奇談の類語・類義語としては、珍しい話や滑稽な話を意味する「珍談」、珍しい話やとっぴで滑稽な説を意味する「珍説」、珍しくて変わった話を意味する「奇話」、世間にあまり知られていない興味ある話を意味する「逸聞」などがあります。

奇譚の例文

1.房総に住む義母が、土地柄を知って欲しいからと房総地方の異聞奇譚を集めた本を送ってきた。
2.子供たちに絶賛されている、あのアニメのストーリーは、各地に伝えられている奇譚をもとに作られているそうだ。
3.旅先で、美少女の座敷わらしの奇譚を聞いて、ひと目見てみたいと思ってしまった。
4.永井荷風の「濹東綺譚」の綺譚は、奇譚にかけた造語で、美しい物語の意味らしいよ。
5.珍しい話を集めた奇譚集を本屋で見つけて買ったので、暇な正月に読もうと思う。
6.外国から帰ってきた友人のお土産話は、外国に行ったことのないわたしからしたらどれも異聞奇譚に感じられ興味をそそった。
7.思うにアニメーションと奇譚は切っても切れない存在であり、宮崎駿監督作品の「千と千尋の神隠し」はまさにそれを代表している。
8.小説家の友人は今、平成時代を題材とした現代奇譚の執筆の準備に取り掛かっているそうなので出版されるのを楽しみにしている。
9.大学入学したてのわたしは何のサークルに入ろうか迷っていた時に、「奇譚研究会」という一風変わった看板にひかれ部室を訪れてみた。
10.わたしは小説家仲間たちと世の中のあらゆる出来事を奇譚化することができないかをとことん探求する奇譚派なる派閥を結成している。

この言葉がよく使われる場面としては、珍しくて不思議な言い伝えや物語を表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「濹東綺譚」とは、永井荷風の小説のタイトルです。綺譚という言葉は辞書にありませんが、「美しい物語」の意味で使われています。例文5の「奇譚集」とは、不思議な言い伝えや不思議な物語を集めた本のことです。

奇談の例文

1.海外旅行を趣味とする従兄の奇談は興味深く、好奇心をくすぐられる。
2.大学で日本文学の教鞭を執る叔父が、江戸時代の随筆集は怪談奇談の宝庫だと言っていた。
3.お気に入りの奇談シリーズを、クリスマスプレゼントでもらえる予定だ。
4.イギリスの地方都市に伝わる奇談を映画化したものが、満員御礼の大ヒットらしいよ。
5.彼がいつも得意気に話す奇談は、この本がもとになっているとネタバレしてやった。
6.インターネット掲示板で突如未来人が現れて皆の質問に答えるという話は、現代版の奇談としてとらえたら面白そうだとして、わたしはくわしく調査することにした。
7.ある奇談をドラマ化するというので制作に取りかかるのだが、出演者に不思議なことが起こったり、スタッフに具合が悪くなるものもいたりした。
8.小説の題材として日本に伝わる奇談を集めているのだが、なぜ日本人はこれほどまでに奇談が好きなのだろうと別の興味が湧いた。
9.大昔にある僧侶が一晩で輪廻転生を何度も体験する奇談は、仏教における一種の悟りを開いた話として語り継がれているようだ。
10.キャンプで彼はおどろおどろしいを話し始めたのだが、焚き火を前に奇談を語る彼の目は爛々として少々気味の悪い感じがしたのを覚えている。

この言葉がよく使われる場面としては、珍しくて不思議な話を表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「怪談」とは化け物や幽霊などの出てくる気味の悪い話であり、「奇談」とは説明のつかない不思議な話を意味します。例文5で使われているように、奇談は口伝えで話すという意味合いを持つ言葉です。

奇譚と奇談という言葉は、どちらも珍しい話や不思議な話を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物語のニュアンスを表現したい時は「奇譚」を、会話や談話のニュアンスを表現したい時は「奇談」を使うようにしましょう。

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